裏アカウント発覚! “違和感”が形になる
投稿を遡ると、日付と献立が私の夕食とぴたりと重なっていました。よく見ると「今日の麻婆豆腐は見た目35点、味5点、トータル20点」と書かれてあり、さらには「嫁は掃除が雑」「洗濯の畳み方が下手」などの悪口が続き……。さらにDMには、若い女性たちとのやりとりが! 待ち合わせの日時・場所・目印など複数人と会った形跡があったのです。
私は胃のあたりが冷たくなるのを感じながら、深く息を吸って落ち着きを取り戻しました。感情でぶつからないように、まずは投稿とDMを時系列でスクリーンショットに残し、待ち合わせの情報を手帳に写し取り、動画がしっかり撮れるようスマホの容量も整えました。
その夜は普段どおりに食卓を囲み、何気ない口調で「ねえ、裏アカって持ってる?」と夫に問いかけました。すると夫はフォークを止め、すぐに笑顔を作って「も、持ってないよ!このカレー、ほんと美味いなぁ~!」と誤魔化すのでした。その日から夫の裏垢がピタリと止まりました。私の中で女性との密会現場を見に行くスイッチがはっきり入ります。
待ち合わせの現場で“推測”が確証に
裏アカのDMにあった女性との約束の日。私は待ち合わせ30分前に現地へ向かい、広場を見渡せるカフェの窓際に席を取りました。そして待ち合わせ10分前、夫が到着。落ち着かない手つきでスマホを確認し、周囲をキョロキョロと見渡す夫。やがてDMどおりの目印である「シンプルなロゴ入りトート」を持った若い女性が現れたのです。
私はカフェを出て、会話が拾える距離で録画を開始しました。すると夫が「はじめまして。まずLINE交換しない? 裏アカ持ってるんじゃないかって怪しまれてて! あとでゆっくり話そ」とひと言。そんな夫の言葉をよそに、女性は夫の顔とスマホの画面を見比べ「プロフィールの写真と雰囲気、全然違いますよね。今日は失礼します」と短く会釈すると、足早にその場を去っていきました。
取り残された夫は「写真、盛りすぎたか。次は若いころのやつに差し替えよ」 とポツリ。その後、夫からPCを借りるたびにSNSをチェックし、女性との密会現場を押さえました。私は録画を日付順に整理し、聞き取りづらい箇所に短い文字起こしを添えて保存しました。
結婚記念日に嘘を暴露
結婚記念日の食事会の前に、私はある作戦を立てました。当日、お互い両親をわが家へ招き穏やかな時間を過ごしていました。そして場が落ち着いたところで、私はスマホの画面をテレビに映して再生を始めました……。画面の映るのは「まずLINE交換しない?裏アカが妻にバレたっぽいんだよね〜」と笑う夫の姿。
その瞬間、部屋が静まり返りました。咄嗟に義母が「これは本当にあなたなの!?」とひと言。私の両親はあ然とするばかり。すると夫が「ち、違う!これはネタなんだ!」と必死に抵抗します。慌てる夫をよそに私は「言い訳は通用しないわよ!」と言い、夫を正面から見据えます。続けて「表では100点満点!って褒めて、裏では裏アカで私を採点して同情を集める。その採点、今日で終わり。離婚しましょう」と言い放ちました。夫はしばらく黙り込み「こんなはずじゃなかったのに……。離婚に同意するよ」と呟きました。
私は離婚届と一枚の封筒を手渡し「これは時系列にまとめた女性との密会場面の写真とDMのスクショ。それと……今、この場で裏アカを消して」と伝えました。夫は震える指で操作し、「削除完了」の表示が出た瞬間を私は静かに撮影しました。私はテレビに映していた画面を消して両親と共に玄関へ向かい一緒に家を出ました。ドアが閉まる音と同時に胸のつかえがスッと消えました。
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SNSの裏アカウントでは、時に本音や愚痴が吐露されることがあります。しかし、悪口や他人を採点するような行為は、相手に伝わった時に信用を失ってしまう危険性があります。たとえ匿名の空間であっても、常に自分の言動に責任を持ち、他人を尊重する気持ちを忘れないようにすることが大切です。夫婦なら尚のこと、お互いを尊重しあって生活したいですね
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。