
大好きな祖父が他界
祖父は認知症が進行し、私の母と一緒に住むことになったので、実家が近い私と姉は子どもたちを連れてよく遊びに行っていました。
子どもたちは一緒に遊んでくれる祖父のことが大好きで、「おおじーじ」と呼んで親しんでいたのです。
そんな祖父が肺炎で他界し、葬儀では私と姉が受付を担当することに。私たちは、祖父との思い出の写真やメッセージをコルクボードに飾って、お別れの準備をしました。
静かな葬儀場に響いた息子の声!
当日、葬儀が進む中、夫と一緒に一度外へ出た息子は、入り口付近にはいたものの、部屋に入るのを嫌がっていました。独特な雰囲気を感じ取っていたのかもしれません。読経中は部屋の扉を少し開けてもらい、夫と息子は途中から会場の外で過ごしていました。
家族葬とはいえ、祖父方の親戚の中にはあまり面識のない方もいて、「息子のことを騒がしく思われないかな」と周囲の目が気になって仕方なかった私。
そんなとき、受付のコルクボードに飾られた写真を見ていた息子が、ふいにこう話したのです。
「おおじーじ、恐竜さんの上で楽しそう! また一緒に公園行きたい」
その言葉に私は思わずうるっとしたものの、ちょうど読経も終盤で、静かな会場に響いてしまった息子の声。後ろを振り返る方がいて「しまった、うるさかったかも……」と焦りました。
私は夫に抱っこされている息子に向かって笑顔でうなずきながら、「静かにね」とジェスチャーで伝えました。
親戚のおかげで笑顔でお別れできた
最後の別れの儀式でお花を手向けるときに、息子は積極的に参加し「おおじーじ、ねんねしてるの? ボクだよ」と話しかけていました。
すると、大叔母(祖父の妹)が「◯◯(祖父)はひ孫との思い出がたくさんあってうらやましいわ。幸せだったのね。ありがとう」と私たちに声をかけてくれたのです。
その一言に救われたような気持ちになり、悲しみに包まれた中でも、最後は笑顔で祖父の顔を見ることができました。
幼い息子を連れての葬儀への参加は心配でしたが、参列者の方々の理解もあり、悲しいだけではない、ほっこりとしたあたたかい時間になりました。当時2歳の息子の中に、しっかりと祖父との記憶が残っていたことが、私自身とてもうれしい出来事でした。
著者:藤井 はな/30代女性。2017年生まれの女の子と2021年生まれの男の子のママ。出産を機に専業主婦になり、たまに在宅ワークをしている。元気いっぱいでやんちゃな2人に振り回されながら毎日育児に奮闘中! 趣味はピアノを弾くことと、簡単でおいしい料理を作ること。
作画:まっふ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)