「元も子もない」の『元』と『子』の正体
「元も子もない」って、よく耳にする言葉ですよね。「そんなことしたら、元も子もないよ!」なんて言われた経験がある人もいるのではないでしょうか。
なんとなく意味は理解していても、「元」と「子」が何を指しているか、パッと説明できる人は少ないのではないでしょうか。
次のうちから選んでみてください。
①『元』は元金、『子』は利子
②『元』は元の場所、『子』は子供
③『元』は元凶、『子』は結末
正解は……
正解は……①の『元』は元金、『子』は利子でした!
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「元」とは、商売を始めるための元手(もとで)、つまり、お金の本体を指します。
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「子」とは、その元手が生み出す利子(りし)、つまり、利益のことです。
もともとこの言葉は、元手も、そこから得られる利益も、すべて失ってしまう状況を表す言葉でした。それが転じて、「すべてを失ってしまい、何も残らない」という意味で使われるようになったのです。
ちなみに、「元も子もない」は、元手と利子という元の意味から離れて「すべてを失う」という意味で使われているため、ことわざではなく慣用句です。
ことわざと慣用句の違い
ことわざ:
昔から伝わる教訓や風刺を短い言葉で表したもの(例: 「石の上にも三年」)
慣用句:
二つ以上の言葉が結びつき、本来の意味とは違う意味で使われるようになった言葉(例: 「油を売る」)
イラスト/タワシ