ある朝、保育園から電話が入り、感染症の流行により休園すると連絡がありました。
保育園が臨時休園!? 突然の連絡
一瞬頭が真っ白になりました。近くに頼れる親戚もおらず、当日急に預けられる人もいません。仕方がない……部長に事情を説明して承諾をもらい、思い切って娘を連れて出勤することにしました。
出勤中に気がかりだったのは、仕事に対して厳しい課長にはまだ報告できていなかったこと。娘には「みんなお仕事するから、静かにするんだよ」と何度も言い聞かせ、いざ職場へ。
執務室に入ると、同僚たちがやさしく迎え入れてくれて少しホッとしたそのとき、課長が出勤してきました。
娘を見た課長の反応は
娘を見た課長が驚いた顔をしました。
「なぜ子どもが……?」
子連れ出社できる会社とはいえ、突然のことで驚いたようです。私は事情を説明しました。保育園都合の休園で預けられなかったこと、部長の許可を得ていること。課長は「そうか。わかった」と言い、いつも通り仕事を開始。
私は安堵しつつ、娘の面倒をみながら仕事をしました。
しかし夕方前になると、さすがに娘も飽きてしまい、ぐずりだしてしまいました。そんな娘の様子を見た課長は給湯室に向かい、プリンを持って現れたのです。「娘さんにプリンあげていい?」と私に聞いたうえで、
「プリン、食べるか?」
「誰かが困っているときに支え合うのが、この会社の文化だから」
突然差し出された大好物に、娘は「ありがとう!」と嬉しそうに笑い、にこにこ笑顔でプリンを食べ始めました。
私は、課長の思いがけないやさしい一面を知り、驚きと同時に感謝の気持ちでいっぱいになりました。その後、課長にも娘と同じくらいの年齢のお子さんがいると聞き、「子育てだけでも大変なんだから、仕事は無理するな。みんなで頑張ろう」と声をかけてくださり、涙が出そうになりました。
プリンのおかげですっかり上機嫌になった娘は、会社の人たちにたくさん声をかけてもらったおかげで、終業時間までおとなしくしてくれました。
夕方、仕事を終え娘と手をつないで会社を出るとき、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じました。突然の保育園休園に慌てましたが、改めてたくさんの人に支えてもらっているなと感じた幸せな一日でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。