親友のマムとほしみがキク宅に遊びに来ていたところに、押しかけてきたキクの母クズエはいつものごとく「孫産め」攻撃。キクも勇気を振り絞って抵抗しますが、「流産した子は天国には行けない」「かわいそうに、あんたのせいでずっと地獄で苦しむ」「早く妊娠しなきゃ、地獄に行った子がこの世界に帰ってこれない」と恐ろしい自論でキクを追い詰めました。
母クズエが「孫産め」攻撃で言いたい放題していると…
キクに言いたい放題の母クズエを止めてくれたのは、親友のマムでした。
マムはクズエに「母親として最低」「娘を『孫を産む道具』だと思ってる?」「母親なら子どもを失う悲しみがわかるでしょ?」と言いました。さらには「なぜ娘の気持ちを尊重してあげないのか、寄り添ってあげないのか」とクズエに問い、「傷つける言い方で(自分の考え方を)押し付けないで」とお願いしたのです。
しかし、マムの必死の願いを、クズエは「他人がえらそうに!」と一蹴。キクに対し「あんたは私に従うわよね!?」「あんた…母親に逆らう気!?」とキクを追い込みました。
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実は、マムは以前「子どもを欲しくない人が理解できない」「キクにもホシミにも、早く子どもをつくってほしい、早く産んだほうがいい」「そうじゃないと幸せになれない」と自分の考えを押し付けていた過去がありました。
しかし、マムは、キクやホシミが子どもを持たない事情を知り、彼女たちをひどく傷つけたことを後悔し、その幸せやその考え方を尊重しなければならないことを学びました。
だからこそ、マムは自分の考えを押し付け、キクを傷つけるクズエのことがなおさら許せなかったのでしょう。子どもを産む選択をするのも、産まない選択をするのも、それぞれの事情や考え方があってこそ。他人が否定する権利はありませんし、ましてや考えを押し付けて人を傷つけることは決してあってはならないことです。
流産にもさまざまな理由があり、多くの場合ママのせいではありません。誰よりも悲しい思いをしているのはママ自身です。だからこそ、周囲は責めるのではなく、寄り添うことが大切なのではないでしょうか。
それぞれの幸せがある――。私たちもそのことを忘れずに、誰かを傷つけるのではなく、そっと寄り添える存在でありたいですね。
※流産(自然流産)とは、医学的には、妊娠22週未満(日本では妊娠12週未満を「早期流産」、12週以降を「後期流産」とすることも多い)で妊娠が自然に終了してしまうことを言います。流産全体の8割ほどが妊娠12週未満に起こります。妊娠12週未満に起きる流産は、胎児側の理由がであることがほとんどであり、もっとも多いのは染色体異常と言われています。40歳代では胚の染色体異常の頻度が上昇するため、高齢妊娠のほうが流産の確率が高くなります。
12週以降に起こる流産に関しては、母体に原因のあるものが増えてきます。子宮奇形や子宮頸管無力症などの子宮の異常の場合や、自己免疫疾患、細菌感染による場合もあります。激しい腹痛や、生理のような出血が出るなど自覚症状があるときは注意が必要です。
尾持トモさんのマンガは、以下のブログにも連載されています。ぜひチェックしてみてくださいね。