嫉妬した上司の嘘と、理不尽な雇い止め
数年前、僕はとあるデザイン会社で契約社員として働いていました。丁寧なヒアリングで顧客の要望を深く理解し、形にすることにやりがいを感じており、契約社員ながらもいくつかの大きな案件を成功させていました。
しかし、当時の上司は自分の手柄を優先する人物。僕が大きな成果を上げるたびに、苦々しい顔でこう言うのでした。
「契約社員のくせに、でしゃばるな」
そして、契約更新を目前に控えたある日、僕は会議室に呼び出されました。
「来月末で、君との契約は更新しないことになった。次の契約はないから」
突然の通告に、僕は思わず聞き返しました。
「どうしてですか!?業績は評価されているはずですが……!」
すると上司は、鼻で笑いながらこう言いました。
「さあな。会社には『何も成果を上げていない無能な契約社員』だと報告しておいた。お前の代わりなんて、いくらでもいるんだよ」
僕の成果は、すべてこの上司に握り潰されていたのです。どうやら僕の成績を妬み、会社には虚偽の報告をしていたようでした。契約社員という弱い立場ではそれに抗う術もなく、僕は「契約期間満了」という形で、悔しさを胸に会社を去るしかありませんでした。
転職先でまさかの再会「よう無能w」
幸いにも、僕はすぐに別の会社に正社員として転職することができました。その会社は、僕が前職でやりたかった「顧客一人ひとりに寄り添う」という方針を掲げており、僕の経験とスキルは高く評価されました。
数年後、僕はその功績を認められ、主要事業部の責任者を任されるまでになりました。
そんなある日のこと。中途採用で一人の男性社員が入社してきました。その顔を見た瞬間、血の気が引きました。――僕を退職に追いやった、あの元上司だったのです。
彼は僕に気づくと、ニヤニヤしながら近づいてきました。
「おぉ、佐藤じゃないか!お前もここにいたのか。まぁ、無能なりにせいぜい頑張れよ」
「また俺にクビにされないようにな!」
その場の空気が凍りつきました。
立場逆転!「何か勘違いしていませんか?」
すると、その場にいた女性役員が、冷たく言い放ちました。
「――何か、大きな勘違いをしていませんか?」
その声に、元上司は「は?」と下品に彼女を睨みつけます。
女性役員は、そんな彼の態度にも一切動じず、静かに続けました。
「あなたが今『無能』と呼んだ佐藤は、この会社の事業責任者であり、あなたの上司にあたる人間ですが」
「……え!?」
元上司の間の抜けた声がフロアに響き渡ります。僕が彼の上司だと知った瞬間、彼の顔はみるみるうちに真っ青になっていきました。
パワハラ上司の哀れな末路
その後、彼は僕の指示をことごとく無視し、「俺のやり方で結果を出してやる」と独断で仕事を進めましたが、時代遅れのやり方が通用するはずもありません。次々とトラブルを起こし、クライアントからのクレームが殺到しました。
僕は彼を呼び出し、彼の考えや仕事の仕方を改めることを求めました。
「あなたのやり方は、お客様にも、会社の利益にも繋がりません。これまであなたが『無駄』と切り捨ててきた、一つ一つの小さな信頼の積み重ねが、大きな結果を生むんです」
ところが彼は頑なに僕からの提案を拒み、最終的には「ここは俺のいるべき場所じゃなかった!」と自ら退職届を叩きつけて会社を去っていきました。
その後同業者の知り合いから、彼はあちこちのデザイン会社の面接を受けているものの、なかなか再就職先が見つからず、最近は自暴自棄になっているらしいと聞きました。
理不尽に人を追い出す人間は、結局自分の居場所を失う。今回の件でそれを痛感しました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。