妹の自分勝手な振る舞いは、私が中学生のころから始まっていました。私の部屋に断りなく入っては、「私のほうが似合う」と言って、洋服やアクセサリーなど私のものを何でも持ち去ってしまうのです。両親が叱っても、妹はまったく聞く耳を持たず……。
妹から解放され、手に入れた幸せ
高校3年生のときには、とうとう当時付き合っていた彼氏まで奪われてしまいました。「私のほうが魅力的だから仕方ないよね?」と笑う妹と、あっさり心変わりした彼を見て、私は深く傷つきました。
こんな妹とは一日も早く離れたい。その一心で、私は高校を卒業すると同時に就職し、実家を飛び出したのです。
一人暮らしは快適で、仕事にもやりがいを感じる日々でした。そんな平和な生活を続けて、5年が経ったころ、取引先の若手社長である素敵な男性と出会い、私たちは恋人同士になりました。やさしくて誠実な彼との交際は順調で、このまま幸せになれると信じていました。
彼と交際して2年、私の誕生日に彼がプロポーズしてくれて、私はもちろん快諾。妹に干渉されない人生は、こんなにも幸せなのかと、うれしくてたまりませんでした。両親にも電話で報告をして、両家へのあいさつの日取りなども決め、いろいろと準備を進めていたのですが……。
悪夢再び、信じた彼が…
ある日、彼と一緒にいるところを偶然妹に目撃されてしまったのです。案の定、妹は彼をいたく気に入り、「あんな素敵な人、お姉ちゃんにはもったいない! 私がもらうから!」と、信じがたい略奪宣言。
それからというもの、彼の仕事が急に忙しくなり、なかなか会えない日が続き私は不安に感じていました。そしてその不安は的中することに……。
彼の仕事が落ち着かないことを理由に、予定していた両家へのあいさつは先延ばしに。式場や新居探しも中断したまま1カ月が経ったころ、妹から「婚約者を紹介する」と実家に呼ばれたのです。
そこにいたのは、私の恋人で婚約者だった彼でした。この1カ月間、ずっと不安で嫌な予感がしていた私。なんとなく予想もしていましたが、現実を突きつけられると、やはりショックでした。
「ごめん。君の妹さんと結婚することにしたんだ」と言う彼と、得意げな妹。私は必死に平然を装い、怒りを抑えて「…そう、仕方ないわね」と、あっさり妹に彼を譲りました。本心では彼に怒りや悲しみをぶつけ、言いたいこともたくさんありました。
しかし、一度心変わりした人にすがっても幸せにはなれないと思い、私は意外にも冷静に諦めがついたのです。
妹が迎えた自業自得の結末とは
その後すぐ2人は入籍し、豪勢な結婚式を経て、妹が彼の家に嫁いで3カ月が経ちました。気持ちを整理して、私がようやく、平穏な日常を取り戻したころでした。突然、妹が泣きじゃくりながら電話をかけてきたのです。
「お姉ちゃん、助けて……!」
泣き叫ぶ妹の話をまとめると、衝撃の事実が明らかになりました。
彼はちょうど私と出会ったころに、父親の跡を継いで社長になりました。彼の祖父の代から続く会社を彼の父親が大きくし、ご実家は資産家。彼は生まれたころから裕福な生活をしていました。
そんな彼のご実家に嫁ぎ、セレブの仲間入りを果たしたと妹は思っていたようなのですが、実は、彼と彼の母親は「文句を言わず、家事をこなす都合のいい嫁」を探していたそうで……。
結婚後、彼の母親から朝から晩までこき使われ、家事や家族の世話に追われる日々を送っているという妹。家事が苦手な妹は精いっぱいやっても、「雑だ」「手を抜くな」「そんなこともできないのか」と、彼の母親から罵声を浴びせられ……心身ともにすっかり追い詰められている様子でした。
少しかわいそうにも思いましたが、それも自業自得です。これまで私にしてきた仕打ちを思い出し、私は「自分で選んだ道でしょう」と突き放しました。電話口で泣き崩れる妹の声を聞きながら、私は心から「彼と結婚しなくてよかった」と思ったのです。
一方の私は、最近、中学の同窓会で再会した男性と結婚を前提にお付き合いを始めました。私のことを大切にしてくれる彼と、幸せな未来を築いていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
裏切った人から離れるという決断は、つらいながらも未来の自分を守るための最善の選択でした。感情的にならず、冷静な判断をしたことが、新たな幸せな未来を引き寄せたのでしょう。彼のことも妹のことも忘れ、幸せになってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。