子育て持論&お説教モードのママ…
そのママ会は、保護者同士の親睦会ということで、それぞれ家族に子どもたちを任せて、夕方の18時ごろから保育園の近所の小さな居酒屋で開かれました。お酒を飲みながら、雰囲気も和やかです。保育園では送り迎えの時間がバラバラなこともあり、ほとんどの参加者がほぼ初対面。私も、ママ同士でしっかり話すのはこの日が初めてでした。
その中にいたのが、教育熱心で噂のAくんママ。明るくて話し好きな印象の方で、分け隔てなく、誰にでも積極的に話しかけてくれるタイプでした。ただ、その発言の一つひとつが、どこか圧が強くて、話すたびに場がシーンと静まり返ることも……。
アルコールも入り、盛り上がってきたママ会の中盤。ママたちの話題は、5歳の子どもたちの習い事について。「どのくらい習い事してる?」という質問に、私は何気なく「うちはスイミングだけ」と答えました。すると、すかさずAくんママが、「えっ? 習い事1つだけなの? 信じられない! 子どもがかわいそうじゃない?」とひと言。驚いて固まる私をよそに、「うちは、習い事12個やらせてるわよ!」と一気に話し出したAくんママ。スイミング、サッカー、体操、ピアノ、バイオリン、そろばん、プログラミング……。その勢いに、ただただ圧倒されました。
さらに、「うちは平日も土日も、朝から晩まで習い事の予定がびっちり」「子どもにはどんどん投資しなきゃダメ! 月に10万以上はかけないと」「1つしかさせてあげられないなんて、子どもの才能を潰してるようなもんよ」と、子育て持論&お説教モードに突入……。私はただひたすら、黙って聞くしかありませんでした。
その後もAくんママの話は止まらず、小学校受験の話や「大学は○○以上に行かせなきゃダメ」など、まるで自分の子育てこそが正解と言わんばかり。そんな話の内容に私がうんざりしていたころ、Aくんママは、「ちょっと失礼」と言いながら、その場で電子タバコを吸い始めたのです。
場の空気がすっかり重たくなったそのとき、Bちゃんママが静かに口を開きました。「でも、人それぞれご家庭の方針がありますよね。うちはひとつも習い事はさせてなかったけど、上の子は小学校受験して合格しました。習い事してないからダメってわけでもないですよね。もう少し周りの方の気持ちも考えて、発言したほうがいいと思いますよ。あと、タバコは、喫煙所でお願いします」と言うと、その場は一瞬静まり返り、Aくんママは目を丸くして沈黙。黙ったまま逃げるように喫煙所へ消えていくと、ようやくその場の空気が少し緩みました。私はBちゃんママに「ありがとうございます」と伝え、子どもの話で再度盛り上がりました。帰ってきたAくんママは静かに座っていたのでした。
その後も、何度かママ会が開催されましたが、Aくんママのマウントをとるような発言は激減しました。Aくんママのように、子どもにたくさん習い事をさせる方針の家庭もあるでしょう。それが悪いこととは思いません。しかし、いくらお酒の席とはいえ、それを当たり前のように他の家庭に押しつけるのは、された側も見ている側も気分のいいものではありません。どんなに自分の育児方法に自信があったとしても、他の家庭を尊重する気持ちは、最低限持っておかなければならないと、改めて感じた出来事でした。
著者:春野つぐみ/30代・ライター。コミュニケーションおばけの5歳の娘と恥ずかしがり屋の3歳の息子を育てる母。最近のマイブームは、某アイドルグループの推活。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)
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