「なんで俺が!?」検査を拒否する夫
ある日の夕方、私は意を決して「一度、2人で検査を受けない?」と夫に声をかけました。すると夫はスマホから目を上げずに「俺には関係ないだろ。問題あるなら女性側だろ?」と言い放ったのです。
あまりにも良い加減な返答に胸がすっと冷えました。それでも私は引き下がらず「原因は一つとは限らないよ? 原因がハッキリしたら次の一歩が決めやすくなるよ!」と言うと、夫は渋々同意してくれました。
そして検査当日。夫は待合室で腕を組み、あくびをしながら「はぁ〜時間の無駄。付き合ってやってる俺、優しいよな」とひと言。そして、検査が終わると夫はスマホを開き「あ、幼なじみから誘いがきてる。今から飲みに行くから、相談はまた今度な」と言い出かけたのです。同じ“結果待ち”のはずなのに、気にしているのは私だけで……。私たちの心は別の方向を向きはじめていると痛感しました。
突然の「妊娠」宣告
それから数週間が過ぎ、結果説明の予約の日なのに夫は「ごめん! 予定入っちゃったわ〜! 1人で聞いてきて」と言い放ったのです。相手は、例の幼なじみの女性……。 私は「結果は2人で聞きたい。聞いたうえで、これからの一歩を一緒に決めようよ」と気持ちを伝えました。それでも夫はスマホから目を離さず「うーん、まぁ……結果が出たら教えて!今日は無理!」と私の気持ちを踏みにじるのでした。
結局、私は1人で検査を受けたクリニックへ向かいました。検査の結果、夫に問題があり自然妊娠は難しいということが発覚したのです。帰宅後、私が今後について考えているとガチャっと玄関の開く音がしました。夫が帰ってきたと思ったら隣には幼なじみの姿が……。夫は私を見るなり「子どもができた。離婚してくれ」とひと言。すると、幼なじみが微笑んで 「運命だと思うの」と続けました。私は2人の言葉に「何も知らないのね……」と小さく呟きました。2人は一瞬不思議そうな表情を見せたのですが、すぐに2人の世界へ。
それから私は静かに頷き「おめでとう! どうぞお幸せに」と呟きテーブルに置かれていた離婚届を手に取り、私の欄に署名して差し出しました。“今は”夫の検査結果を伝える必要はないと思いながら……。
裏切り者へ静かな仕返し
数カ月後、私は元夫に用があり会うことになりました。実はそのとき、私は“仕返ししてやる”という気持ちで元夫に会いに行ったのです。
指定された時間に行くと、元夫と幼なじみが並んでいました。 私は淡々と「もう入籍は済んだの?」と声をかけ、一枚の紙を渡しました。中身を見た元夫の顔色が一瞬で変わり、幼なじみはみるみる青ざめていきます。そう、その紙は夫が見ることのなかった検査結果! 私は穏やかに「以前受けた不妊検査の結果だけど、これあなたの結果ね。自然妊娠が極めて難しいんだって」と告げました。動揺する2人を確認してから、私はバッグを肩にかけ「結果だけお伝えして失礼しますね。だって、もう私は他人ですから」と言いその場を去りました。
その後、元夫と幼なじみがどうなったかは知りません。私は穏やかな日々を取り戻し幸せに暮らしています。
◇ ◇ ◇
夫婦は、同じ方向を向くことが何より大切です。どちらかがよそ見をした瞬間、関係は静かに崩れます。裏切りは心を大きく揺らします。信じたい気持ちがあっても、目の前の現実は変わりません。まずは自分を傷つけない場所へ。それが、次の一歩に繋がります。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。