理由を言っても責め続けられ…
長男が3歳のころ、初めての七五三で親の私たちもわからないことが多く、服装や装飾品についてたくさん調べてから準備をしました。当時1歳だった長女を抱っこする場面が多いことと、次女を妊娠し安定期に入ったばかりだったため、動きにくくおなかを締めつける着物は諦め、フォーマルなワンピースを着用することに。
神社でのご祈祷は2組ごとに行われました。祈祷中、もう一組のお孫さんの七五三に同席していた60代ぐらいの着物を着たおばさんから視線を感じます。最初は「なんで見てくるんだろう。知り合いだったかな?」と思っていました。祈祷が終わり、先にもう一組の家族が本殿を出て賽銭箱の手前で記念撮影。続いて私たちも同じ場所で写真を撮り横に避けていると、先に撮影を終えていた家族の一行らしいそのおばさんが話しかけてきたのです。
「あなたね、子どもの七五三の参拝にワンピースなんてありえないでしょう。普通は着物を着るのよ。うちの嫁もなんとか着物を着せたけど、これだから若い人たちは……」とため息をつきながら呆れた様子のおばさん。おばさんの家族は近くにはおらず、私の夫が長女を連れてトイレに行ったタイミングで話しかけてきたのです。自分なりに調べて服装を決めていた私は「長女もまだ小さく連れて歩くには着物は動きにくいので諦めました。それに妊娠しているので、締めつけを避けてワンピースにしたんです」と毅然とした態度で伝えました。
しかしおばさんは「昔は妊娠していても着物を着ていたのよ。それはあなたの甘えでしかないわ」と、私が着物を着ない理由を伝えたにも関わらず、まだ責めてくるのです。ついには「こんな常識知らずなお母さんで、子どもたちもかわいそうね」と、私のそばにいた長男に向かって言うではありませんか。
さすがに私も我慢できなくなり言い返そうとしたそのときです。神主さんが「神様の前ですから、穏やかにお願いしますね」と通りがけに言いました。おばさんは「すみません……でもこんな格式高い場所なのに、妊娠中を言い訳にワンピースだなんてダメですよね」と神主さんに話します。すると神主さんは「七五三の参拝で大切なのは“子どもの成長を願い、生まれてきたことを喜ぶこと”ですよ。服装なんてなんでもいいんです。なにより子育て中で大変なときに七五三の参拝をして、お子さんたちのためにワンピースを選ぶ。この方は自分よりも子どものことを考えた立派なお母さんじゃないですか」と言ってくださったのです。
その言葉におばさんはたじろぎ、バツが悪そうにその場を去っていきました。私は神主さんの言葉がうれしくて泣きそうになりながら「ありがとうございました」とお礼を言うと、「お母さんもお父さんも頑張っているね。子どもの顔を見ればわかるよ」と言って神社の中に戻っていかれたのでした。
私自身も、たくさん悩み、自分なりに考えて服装を決めたので、昔ながらの考えを押し付けるおばさんには驚き、困惑しました。神主さんの言う通り、七五三は形式よりも、子どもを祝う気持ちが大切だと思います。ある程度のTPOはわきまえつつ、子どもを想う気持ちを最優先にできる親であり続けようと、改めて思えた出来事でした。
著者:下野香月/30代・ライター。面倒見のいい7歳の長男と、ひょうきんな5歳の長女、甘えじょうずな3歳の次女を育てている元保育士ママ。在宅勤務をしながらスキルアップ中。日々子どもたちに癒やされながら、忙しくにぎやかな毎日を送る。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
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