不機嫌なA子先輩
初出社で緊張する私に、同じ部署の人々は笑顔で「これからよろしくね!」と迎え入れてくれました。しかし、A子さんという名の女性社員だけは、「また中途社員を入れたの? 経費の無駄……」と不機嫌な様子。
さらに、私の元に来て「しっかり売り上げに貢献してね。足を引っ張るようなら、あの人に言って辞めさせてもらうから」と言ってきたのです。「あの人とは?」と気になったものの、彼女の圧に負け、質問することはできませんでした。
A子さんに何も言えないワケとは
次の日から早速、先輩に仕事を教えてもらっていたのですが、いろいろな場面でA子さんは、「待機電力がもったいないから、コンセントは抜いて!」「先方へのプレゼン資料の印刷も、裏紙で十分!」など、経費の節約を指示してきて……。
休憩時間に同僚たちと雑談をしていると、A子さんから非効率的な経費削減対策を強いられ、社員はみんな困っていると教えられました。私が「誰かA子さんに注意しないんですか?」と聞くと、驚きの言葉が返ってきたのです。
「A子さんは社長の婚約者らしいから、誰も反論できないんだよね」
聞くと、A子さんは自ら「私はもうすぐ社長の婚約者になる」と言いまわっているとのこと。彼女に反論すると、社長からも嫌われてしまう可能性があるため、社員たちは誰も何も言えない状況だったのです。
ついに部長が反論も…
そのような状態のまま、季節は夏になりました。気温が急に上がり、出勤するだけで体力を奪われるような猛暑日が続き、朝礼では、社長から熱中症に気をつけるように話がありました。
しかし、朝礼が終わり社長が去ると、A子さんは、「冷房は無駄!」「部屋を冷やしたら経費がかかる」と言って、エアコンの温度を高めに設定。そのため、私たちが仕事をする部屋は常に蒸し暑い状態でした。
ただ、このような状態では仕事も捗りません。「このままでは仕事の効率が落ちてしまう」と感じた部長は、A子さんにエアコンをつけるように説得。ところがA子さんは、「せっかく部長にまでなったんですよね? ここで仕事を失ったら、いろいろ大変ですよ〜」と聞く耳を持たないのでした。
社長はA子さんに「迷惑だから」
するとそこに、騒ぎを聞いて社長がやってきました。A子さんは、「社長〜! 私、経費削減をして会社のお金を守るために頑張っているんですよ。今だってエアコンの温度を上げたばかりで」と説明。ただ、それを聞いた社長は、あきれた顔をして、彼女にビシッと注意したのです。
「こんなに暑い日にエアコンの温度を上げるなんて、君は何を考えているんだ!」
「ご、ごめんなさい!」と謝罪するA子さんに、社長はさらに詰め寄りました。
「それに、君は僕の婚約者になると周囲に言いふらしているようじゃないか。僕と君は付き合ってすらいないし、そもそも、僕は君に好意を寄せていない。迷惑だからやめてくれ」
どうやら、社長とA子さんは恋人関係などではなく、「婚約者になる」というのは、単なるA子さんの願望だったよう。
その場にいた社員たちはみな、「今までA子さんに気をつかってきたのは、なんだったのだろうか……」と愕然としたのでした。
A子さんの末路
さすがのA子さんも、多くの社員の前で社長から怒られ、反省したよう。それ以降すっかり大人しくなり、経費削減を強要してくることはなくなりました。
一時は「転職先を間違えたかも」と不安に思ったこともありましたが、A子さんの邪魔が入らなくなった今は、やりがいを持って楽しく仕事に取り組むことができています!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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