「そんなに痛いなら、ごはんはいらないよね」
その日、私は買い物の帰りに原付で道路の左端を走っていました。すると、背後から来た車がウインカーも出さずに急左折。とっさにブレーキをかけてなんとか衝突は避けたものの、その日の夕方から腰に激しい痛みが出て、起き上がるのもつらい状態になってしまいました。
仕事中だった夫に連絡し、「帰りにごはんを買ってきてほしい」とお願いしたのですが、帰宅した夫は手ぶら。理由を聞くと、「腰が痛くてもごはんくらい作れるでしょ」とのこと。とても動ける状態ではないと伝えると、「そんなに痛いなら、ごはんなんて食べられないよね!」と吐き捨てるように言って、自分の分だけ買いに出かけてしまいました。
「ゲーセンに行ってくる」
夫は自分の夕食だけを買ってきて食べ終わると、「今からゲーセンに行ってくる」と言いだしました。私は「今日は家にいてほしい、トイレにひとりで行くのも大変なほどなんだよ」と頼みましたが、夫は私の話を聞くことなく玄関へ。
なんとか立ち上がって引き留めようとするも、夫は私の肩を強く押し、私は腰の痛みでそのまま尻もちをつき倒れました。それでも「お願いだから、今日だけは手を貸してほしい」と必死で立ち上がりましたが、また肩を押されて転倒……。これが何度か繰り返されたのち、夫は逃げるように家を出ていきました。玄関先に取り残された私は、情けなさと悔しさで涙が止まりませんでした。
「一番ダメージが来そうな方法で足止めしてやった」
その夜、共通の友人から電話がありました。
「大丈夫?(夫の名前)が『一番腰にダメージが来そうな方法で足止めして、ゲーセンに来てやった!』って笑ってたよ。彼、腰の痛みを知らないんだろうね。いつか自分が同じ思いをしたとき、ちよちゃんのつらさがわかるよ」
その言葉を聞いて、「今すぐ離婚」の選択肢が頭をよぎっていたものの、「そのときが来てからでも遅くない」と、気持ちを落ち着けることができました。
夫が帰宅してから「明朝、病院に連れていってほしい」とお願いしましたが、「家族なんかのことで男が仕事を休めるわけがないだろう。世間知らずにもほどがある」と強い口調で突っぱねられてしまいました。その後、ようやく自力で起きられるようになるまで2週間ほど、腰の痛みは1カ月以上続きました。
まとめ
数年後、夫は会社のスポーツ大会で腰を痛めました。あのとき私が味わった痛みを、夫が自分の身で経験したとき、ようやく私のつらさに気付いたようでした。けれど、だからといって過去が帳消しになるわけではありません。
この出来事を通して、私自身も「人にしたことは、いつか自分に返ってくるかもしれない」ということを痛感しました。その後、夫とは別の道を歩むことになりましたが、あの日の痛みと涙は、現在築いている新しい家庭を温かいものにするための大切な土台となっています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:遠藤ちよ/30代女性・主婦
イラスト/Ru
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)
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