伊東市民病院(静岡県伊東市)産院ごはん

注目ポイントは「オリーブオイル」を使った行事食!

取材した日のランチは、オリーブオイルを活用した「オリーブプロジェクト」の行事食
「オリーブプロジェクト」の行事食
  • 人参とブラックオリーブのピラフ
  • 鶏肉のオリーブオイルマリネ焼き
  • じゃが芋のイタリアンサラダ
  • 野菜たっぷりスープ
  • みかんのはちみつオリーブかけ

服部栄養学園 服部津貴子氏の指導のもと、オリーブオイルの魅力を引き出す献立に仕上がっています。体にいいオリーブオイルをたっぷり使ったメニューですが、油っぽさを感じることはありませんでした!デザート「みかんのはちみつオリーブかけ」も酸味にまろやかさが加わり、何個でも食べたくなってしまうおいしさです。

「みかんのはちみつオリーブかけ」のイベント用の試食品準備。みかんはもちろん伊豆産

伊東市民病院が掲げる「おいしい病院食プロジェクト」

栄養室 管理栄養士の杉本尚子さん

杉本さん「当院の栄養室は、治療以外にも”おいしい食事で少しでも早く元気になってもらいたい”という気持ちから、2015年4月より『おいしい病院食プロジェクト』を始めました。季節を感じる料理、伊東の名物を使用した料理、健康に導く食についての情報提供など、さまざまな取り組みを行っています。厨房業務を担う、株式会社LEOCのスタッフや院内はもちろん、漁協や地元企業などの地域も巻き込んでおいしい食事づくりを進めていきたいと考えています」

こだわりは、地元の新鮮な食材を使用した「伊東らしい献立」

「第4回Fish(フィッシュ)-1グランプリ」ファストフィッシュ商品コンテストでグランプリを受賞した「いとうナゲット」
サバのボロネーゼ

「おいしい病院食プロジェクト」で地元の食材を積極的に活用するなか、地元・いとう漁港で水揚げされた新鮮なサバをすり身にした「さば男くんのすり身®」を使用した「いとうナゲット」や、「さばのボロネーゼ」などの伊東名物を使用した食事が週1回は産科メニューとして提供されています。

オリーブを活用したおいしい病院食へ

「おいしい病院食プロジェクト」で地産の新鮮な食材を使用し、伊東らしさを求め続けて見つけたのが「オリーブ」です。栄養部門のアドバイザーである東京大学 名誉教授 脊山洋右氏の発案のもと、地元オリーブの活用の企画を始めました。伊豆急ホールディングスが取り組んでいる「伊豆オリーブみらいプロジェクト」で栽培されたオリーブに着目し、病院側から伊豆急ホールディング株式会社に話を持ちかけ、2016年9月からオリーブを活用したおいしい病院食プロジェクトが始動しました。メニューづくりにあたっては、オリーブに精通する、服部料理研究会 会長 服部津貴子氏を訪ね、和食の献立やより魅力を引き出す調理方法などの直接指導を受けました。

伊豆急ホールディングスは、みかん畑の耕作放棄地の増加や伊豆にブランド食材が少ないといった状況を踏まえて、地域経済の回復を図りたいということがきっかけで「オリーブプロジェクト」を発足しました。「伊豆オリーブみらいプロジェクト」の試みのひとつとして、4種類のオリーブ栽培を始めています。

オリーブの栽培は今年で3年目となり、今後は伊豆産のオリーブオイルを伊東市の新たな名産品にしようと本格的に動き出しています。また、オリーブオイルには、動脈硬化予防や抗酸化作用、便秘改善といったさまざまな効果があり、病院食に活用することでその効果が期待されています。

病院食とは別のカフェスタイルの産科食

伊東市民病院の産科では、病棟の患者さんが食べる病院食とは別に、朝とお昼のごはんとおやつを「カフェスタイル」のメニューとして提供しています。

地域柄、病院にくる患者さんの年齢層が上がってきているため、病棟ではそういった患者さんを意識した病院食となっています。一方、妊婦さんは「病人」ではないことと、産科のスタッフの思いから、LEOC調理師も交えて話し合いを重ね、カフェスタイルにたどりつきました。

病院食とは別のメニュー表、栄養についてのアドバイスも
まるでお店の料理のような食事が提供されています!

産科の食事はどれもボリュームたっぷりで、患者さんのアンケートでは「具だくさんのスープがうれしい」「お店の料理のようで目でも楽しめました」「病院食はおいしくないイメージでしたが、予想よりはるかにおいしかったです」と好評なのだそうです。

食事アンケートにはびっしりと文字が!
お母さんの産後のお祝い膳は、市内の旅館「青山やまと」の伊豆素材を使用した懐石弁当

メニューも食材も「伊東らしい」ものを

調理にも携わる、株式会社LEOC 管理栄養士の松澤裕美さん

松澤さん「メニュー作りも石井栄養士さんと相談しながら行っています。食材選びも伊東らしいものを使用するため、地元の八百屋さんに直接相談して、できる限り新鮮な野菜を仕入れて、生の野菜を使用するようにしています!」

調理場では新鮮な野菜が使用されています
株式会社LEOC 調理師の小佐井祐一さん

小佐井さん「調理のほかに、配膳業務もしています。患者さんから直接『おいしかった』と言われることもあります。中には厳しい声もありますが、その意見を大事にして改善するように心がけています。患者さまの声を直接聞けるのがとっても励みになっています!」

食事に不安なことはなんでも相談してください!

栄養室 カフェスタイルの献立を作成した石井千恵さん

石井さん「当院の栄養室では、管理栄養士4名、栄養士1名で栄養の相談を行っています。大切にしていることは『栄養指導』をする立場ではなく、同じ目線にたって不安を聞くようにしていることです。とくに若い方だと、ふだんの食生活での栄養の取り方や、料理の仕方がわからないといった相談が多いです。食べたものを書き出していただくことで、『こんなものを食べていたんだ!』と改めてご自分の食生活を見直していただいています」

栄養室 管理栄養士の露木奈摘さんと佐藤ありささん

露木さん・佐藤さん「産科での栄養相談でも、どうしたらいいのかわからないという相談が多く、不安になっているお母さんが多いですね。そんなお母さんには『それでいいんだよ』と伝えることで、安心と自信を持っていただくようにしています」

栄養室 管理栄養士の杉本尚子さん

杉本さん「お母さんには、入院期間中にゆっくりと食事を楽しみ、これから始まる子育て生活にむけて、簡単だけど栄養面もOKなレシピを覚えていってほしい。そのために伊東市民病院では”県下一おいしい食事を目指して”プロジェクトを進めています!」

地域医療に貢献するだけではなく、地域そのものの発展に貢献する

伊東市民病院の管理者・荒堀憲二先生

荒堀先生「市民の生命と健康と生活を守り、地域発展に寄付するという理念のもと、管理者として伊東市民病院の全体を見るだけでなく、私も産科医としても現場にも出ています。人口減少や高齢化問題などの地域医療課題。そこを改善するために、一環として『おいしい病院食』のプロジェクトに取り組んできました。その中で『医食同源』(栄養のある食事をとることで病気を予防していくという考え方)はもちろん、伊東市民病院ではさらに『良質な医療』と『良質の食事』を提供することで、病気の人を癒していきたいとの思いでプロジェクトに取り組んでいます。患者さんに治療以外に楽しみを見つけでいただきたい、それが『食事』だと思っていただけるようなものを今後も提供していきたいと思います。そのためのプロジェクトを、栄養室のみんながさまざまな工夫を通して、盛り上げていってくれています」

荒堀先生「地域の医療に貢献するだけではなく、地域そのものの発展に貢献をしていきます」

新病院へ移転、改名をきっかけにさらなる充実へ

伊東市民病院は、平成25年3月1日新病院への移転と病院名の改名をきっかけに、施設やサービスともにさらにパワーアップしました!山と海の両方の幸に溢れる地で成長を続ける伊東市民病院に、ぜひ一度訪れてみてください。

ナースステーション
産科の個室
人間ドック用の温泉施設
ドクターヘリが来るヘリポートからは伊東の海が見渡すことができる
伊東市民病院の外観

ベビーカレンダー編集部


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