【医師監修】母乳外来とは?診療内容や利用方法、費用について

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師北川 博之 先生
産婦人科 | 医療法人至誠会 梅田病院院長

昭和56年愛媛大学医学部卒業。その後愛媛大学付属病院にて産婦人科講師、助教授として勤務。愛媛県立医療技術大学教授を経て、平成20年より現職の梅田病院に院長として就任。現在も愛媛大学、広島大学などで非常勤講師として教育にも従事。

母乳外来

 

赤ちゃんが生まれたら、自然におっぱいが出て、赤ちゃんは上手に吸ってくれるものと思う方もいるのではないでしょうか。実際には、何の悩みもなく、スムーズに母乳哺育(ほいく)が上手くいく方は少ないです。ましてや初めてのお子さんの場合はなおさらです。おっぱいは足りているの? 育児用ミルクを足さなくてもよいの? 乳首が痛くて授乳がつらい。 赤ちゃんが上手く吸い付いてくれない。 お乳が張って痛い、乳腺炎では? などなど、多くのお母さんが悩みを抱えているものです。


そんなときに役立つのが、産婦人科や助産院などで実施されている「母乳外来」です。今回は、母乳育児をしたい女性をサポートしてくれる「母乳外来」について、何をするところか、利用方法や費用はいくらくらいかかるのかなどについて解説します。
 

 

 

母乳外来とは?

「母乳外来」は、授乳中におこるおっぱいトラブルや母乳育児に関するさまざまな不安や悩みを相談できる場所です。「状態は悪くないがおっぱいのケアを受けたい」、「断乳や卒乳を考えている」といったママのサポートもしてくれます。母子の絆が深まるともいわれる母乳育児ですが、授乳中に乳頭トラブルや乳腺炎等の乳房トラブルが起こることがあります。トラブルがなくても、母乳が足りているのかといった不安や悩みを感じる人は多く、だれにも相談できず一人で抱え込んでしまうケースが少なくありません。母乳育児に関して困ったことや、相談したいことなどが少しでもあれば、「母乳外来」を利用してみるのも良いでしょう。

 

 

母乳外来を利用したい場合

授乳中のママをサポートしてくれる母乳外来ですが、「行ってみたいけれどどこにあるの?」という方もいると思います。母乳外来を行っている施設や受診方法について見ていきましょう。

 

母乳外来を行っている施設

出産した病院や助産院で母乳外来を行っているケースが多いです。里帰り出産などで出産した産院の母乳外来に通うのが難しい場合は、近くの産婦人科がある病院や地域の保健センターへ相談・問い合わせてみるのもいいでしょう。


助産院であれば、日本助産師会のホームページから全国の助産院を探すことができます。助産院であれば、訪問型の乳房ケアを行っているところもあるので、助産師さんに訪問していただき、自宅にいながら乳房ケアを受けることも可能です。また、独自で○○式といった手技を勉強し開業している助産院もあるので、施術内容などを確認の上、興味のある施設に問い合わせてみましょう。(※益社団法人日本助産師会 全国助産所一覧  2017年12月19日アクセス)

 

受診を希望するときの予約方法

母乳外来は、個別でのケアとなるため、事前予約制とされているところがほとんどです。母乳外来が開設されている病院や助産院を見つけたら、まずは電話で問い合わせ、予約をしましょう。病院によってはインターネットで予約できるケースもあります。

 

 

母乳外来で行われること

母乳育児が順調に行えるための指導や乳房ケア、今抱えているトラブルや、不安や悩みの相談など、母乳育児全般のサポートが受けられることがほとんどです。具体的には、以下のようなものがあげられます。

 

赤ちゃんの体重チェック

母乳外来では、受診のたびに赤ちゃんの体重測定を行い、一日当たりの体重増加量をチェックします。母乳育児が順調であるかの一つの指標となります。

 

授乳状況と1回授乳量のチェック

授乳回数が多い、一日当たりの体重増加量が少ない、母乳が足りているのかわからない、などの悩みがある場合、きちんと赤ちゃんがおっぱいを吸えているのか、1回あたりどれくらい母乳を飲んでいるのかを確認するために、母乳外来を受診中に、実際に授乳してもらうことがあります。授乳量の確認方法は、授乳前後に赤ちゃんの体重を測定し、その差から判断するのが一般的です。

 

乳房や乳頭のチェック

乳房や乳頭の痛みや異常などがないかを確認します。乳腺炎などのトラブルがあったり、母乳分泌が少なかったりなど、適切なケアが必要と判断された場合、乳房マッサージがおこなわれます。

 

そのほかの相談

「赤ちゃんがうまくおっぱいを吸えていない」「断乳や卒乳を考えている」「育児用ミルクと母乳の混合ではなく母乳だけにしたい」など、母乳育児に関するあらゆる相談ができ、一人ひとりに合ったアドバイスや指導が受けられます。

 

 

 

母乳外来の費用

母乳外来は、基本的には保険診療外のため全額自費となります。費用によっては利用する地域や病院、助産院によって異なりますが、初診の場合3,000円~8,000円、再診の場合2,000円~6,000円前後となるケースが多いようです。(私の所属する梅田病院では、少しでも多くの母親が気軽に母乳哺育の援助を受けることができるように、750円という安価で母乳外来を開いています)。また、訪問型に関しては別途交通費などもプラスされることがあります。


出産した施設で、産後1カ月以内なら無料で相談にのってくれるところもありますが、病院や助産院によってかかる費用が異なるため、予約の際に確認しておきましょう。 詳しくは、各医療施設にお問合せしてご確認ください。また、最近は多くの自治体で、出産後、育児に不安がある、お世話の仕方が分からない、お産と育児の疲れから体調がよくない、ご家族などから十分な育児支援を受けられないといった場合でも、安心して子育てができるように、市が委託する産科医療機関で産後のお母さんのサポートを「宿泊」や「日帰り」で受けることができる「産後ケア事業」が行われています。費用の一部は公費が負担してくれます。山口県光市では、デイサービス(通所型、午前9時から午後5時まで、昼食代含んで自己負担として800円)、ショートステイ(宿泊型、一泊二日、3食付きで自己負担として3,000円、その後一日ごとに1,500円)の産後ケア事業が行われています。それぞれお住いの市町村に問い合わせてみるのも良いでしょう。

 

 

母乳外来を受診するメリットと注意点

「おっぱいが出にくい」「母乳をうまく飲んでくれない」「乳房が痛い」など、母乳育児の悩みは尽きません。さまざまな悩みや不安が重なると、「自分のせいかもしれない」と一人で抱え込んでしまうママもいますが、母乳外来を受診することで、多くのママの悩みを解決でき、納得した母乳育児ができる可能性があります。母乳育児に関して困ったことがあるのであれば、母乳外来をうまく活用しましょう。


受診時の注意点として、母乳外来では、相談内容によっては、赤ちゃんを誰かに預けるか診察中に見てもらえる人に同伴してもらわなければならないケースがあります。病院や助産院によっては赤ちゃん以外の子どもや男性が診察室へ入室できないこともあるため、事前に確認しておきましょう。

 

<事前に確認しておきたいこと>
・赤ちゃんと一緒に行っても大丈夫か
・赤ちゃん連れの場合、同伴者が必要か
・赤ちゃん以外の子どもを連れて行っても大丈夫か
・男性はどこまで入れるか(待合室までなら大丈夫かなど)

 

また、母乳外来は限られた時間で行っている施設が多く、自分が遅れると後の人に迷惑をかけてしまうため、予約時間よりも少し前に訪れるのがベストです。特に、初診時は問診票の記入などがあることも多いので、早めに行くようにしましょう。

 

 

まとめ

母乳育児は、子供にとっても母親にとってもメリットがたくさんあります。しかし、乳房のトラブルや悩み、不安、困ったことを抱えた状態では、母乳育児を楽しく長続きさせることができなくなっていきます。もし、母乳育児に関して悩みや不安があるのであれば、一人で抱え込まず、プロの力を借りて解決するのもひとつの方法です。母乳育児を楽しみながら行えるようにするためにも、ママの強い味方である母乳外来を上手に活用しましょう。

 

一人で悶々と悩むより、気軽に母乳外来で助産師さんに相談することにより、アドバイスをもらうことにより、多くのお母さんが育児そのものを楽しく行うことができています。

 

 

 

 

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