安全なおもちゃの選び方 - STマーク
おもちゃを買ってあげて、子どもの喜ぶ姿を見ることは、ママにとってもうれしい瞬間です。創造性や感性を豊かに、遊びを充実させてくれるおもちゃは、子どもたちの生活になくてはならないもの、せっかくの楽しい時間を、ケガや誤飲などで台無しにすることの無いよう、慎重におもちゃ選びをしてあげたいものです。また、最近は塗装や素材などについての安全性の話題もあり、気になるところです。 そこで、日本のおもちゃメーカーのほとんどが加入し、現在流通している日本メーカーのおもちゃの、なんと約70%が受けている安全性の検査(STマーク付与のための検査)基準を定める、日本玩具協会にお話を伺いました。 安全なおもちゃってどんなものなのか?子どもたちが安心して遊べるおもちゃの見分け方は?など、さまざまな疑問にお答えいただきました。
日本のおもちゃの安全基準「STマーク」とは、どんなものですか?
STマークとは、Safety.Toy(セーフティ・トイ)の略で、文字通り"安全なおもちゃ"のしるしです。日本玩具協会が定める「玩具安全基準」に基づいて、発売前のおもちゃを提出していただき、安全性の検査を実施、これに適合した商品に対して付けている認証マークになります。
このマークの使用許諾契約をしているメーカーは全国で約360社(2021年現在)、主要な玩具メーカーのほとんどが契約されています。ですので、業界自主基準ではありますが、現在の日本のおもちゃの安全性に関しての大きな目安としていただけると思います。
STマークの付いていないおもちゃは安全ではないのですか?
STマークを付けるか付けないかは義務ではなく、あくまでも業界の自主マークという位置づけです。マークがなくてもおもちゃを一般に販売することも、もちろん可能ですし、付いていないからといって、「安全でない」ということではありません。ただし、マークをつけるためには、厳しい検査を受ける必要がありますので、手間も費用もかかります。このマークをつける手間と費用をかけたおもちゃというのは、メーカーの安全性への自信とこだわりのあらわれと考えても良いかもしれません。
STマークは玩具業界の自主的な制度ですが、現在、日本で流通しているおもちゃの約70%にSTマークが付けられています。
具体的にどのようなポイントでおもちゃの安全を審査するのでしょうか?
大きく分けて、3つの要素に分かれます。
「機械的および物理的特性」:おもちゃの形状や強度に関する安全性
その商品の先端が鋭すぎないか、などを検査、さらに落下テストでは、落として壊れたときに危険な壊れ方をしないかも検査します。特に、対象年齢18カ月未満の検査の場合は、赤ちゃんの口腔を模した試験板の底より突き出ないかどうかを調べ、玩具がのどの奥に達する恐れがないかを検査します。
「可燃性の特性」:燃えやすさに関する安全性
特にぬいぐるみや、子どもが身に付けるもの(キャラクターの扮装ができる衣装など)など、布でできたおもちゃに関して行われます。子どもの身の回りのおもちゃは、燃えやすいものはだめだということです。バーナーなどを使い、実際に火を当てて検査をおこない、燃えた面積などから安全性を判断します。
「化学的特性」:玩具への塗料や使用素材などについての安全性
お母さんたちが気にされることの多い、塩ビ製おもちゃを軟らかくするための可塑剤として使用されることの多かったフタル酸のうち、厚生労働省が現在使用を規制しているものについても、しっかり検査しています(規制対象は口のなかに含むことを目的にしたおもちゃ、あるいは乳幼児向けのおもちゃの一部など、年齢によって検査項目が異なります)。さらに表面の塗料が安全なものかどうかなど、目に見えない部分についても検査しています。
これら3つを柱とした数多くの検査をパスし、適合と認められたおもちゃにSTマークが付けられるという制度になっています。
すべての子ども向け製品がSTマークの対象になりますか?
どこまでが玩具なのか?ということが問題になりますが、「おもちゃ」として開発されていないなど、実用品やホビー(大人向け商品)については除外となります。例えばスポーツ用品がそうです。ただし、スポーツ用品を模して作られた(皮製品ではない)幼児向けのグローブやプラスチックのバットなど、明確に子ども向けの遊び道具として開発されている製品は、おもちゃとみなしてSTマークの対象になっています。また、公園や児童館などに常設されている公共の場所にある大型遊具はおもちゃとは見ませんが、家庭・室内で組み立てて遊べる規模のものに関しては対象になります。
輸入玩具と国内メーカーのものとでは、安全基準に違いはあるんですか?特に素材や塗料など、輸入玩具は安全をうたった商品が多いようですが。
着色料、塗装の検査というのは、厚生労働省で定められた食品衛生法の中の検査項目の中に入っていますし、日本のメーカーも力を入れています。世界に目を向けると、玩具の安全マークや基準には、CEマーク(ヨーロッパ)やASTM基準(アメリカ)があり、その安全性へのこだわりが最近着目されていますが、日本のSTマークの検査内容の項目もこれらの基準とほぼ同じレベルと考えて大丈夫です。
(取材協力:社団法人 日本玩具協会)