熱性けいれんからてんかんに移行しますか?
7月に2歳になった息子は、その翌月に発熱とともに初めての熱性けいれんを起こしました。けいれんは両手両足だけ20秒から30秒ほどで、意識もすぐに戻ったため、病院では「単純型熱性けいれん」と診断されました。しかしその後、発熱の有無に関係なく、寝ているときに、体の一部がビクビクしていたり、ピクッと跳ねたりすることがあります。ただしこれは、今まで気にして見ていなかっただけかもしれません。熱性けいれんからてんかんに移行することもあると聞いたので、とても心配しています。また、夫が先日「睡眠てんかん」と診断されたため、なおさら心配です。
熱性けいれんは乳幼児期に好発し、日本では小児人口の約8~9%の発症率と言われています。また、遺伝的要因が関っており、両親、きょうだいが熱性けいれんを起こしていると、本人の熱性けいれんの発症率は高くなります。「単純型熱性けいれん」の特徴は、(1)年齢は生後6カ月から5歳 (2)全身性のけいれんで、持続時間は15分以内 (3)発熱してから24時間以内のけいれん (4)24時間以内に再発がない (5)けいれん後の睡眠状態が30~60分程度で長くない (6)神経学的異常がない (7)基礎に発達の遅れや神経学的異常がないなどです。これから外れるものは、「複雑型熱性けいれん」と呼ばれます。
次に、てんかんへの移行についてご説明します。熱性けいれんを起こした子が25歳までにてんかんを発症するリスクは、7%と言われています。てんかんの発症に関わる因子には、(1)熱性けいれんを起こす以前から発達の遅れや神経学的な異常があった (2)複雑型熱性けいれんである (3)両親、きょうだいにてんかんの患者がいる、といったことが挙げられます。一般人口のてんかんの発症率は、1%と言われています。上に挙げた3つの因子のうち、1因子が当てはまる場合、その発症率は2%、2因子以上は10%となります。ご質問のお子さんは、お父さんがてんかんと診断されていることから1因子が当てはまり、てんかんへの移行率は2%くらいと考えられます。「てんかんに移行するのでは」と怯えながら毎日を過ごされるより、お子さんが規則正しく健康的な毎日を過ごすことができるように、気を配っていただくことが何より大切かと思います。