英語のコミュニケーション能力を測るTOEIC® L&Rテスト。多くの英語学習者にとって、まずTOEIC600点が一つの目標になります。書店でも「600点突破」を目指す参考書が数多く並んでいます。では、600点とは具体的にどのようなレベルで、どれくらい難しいのでしょうか?また、600点を取るためにはどんな勉強法が効果的なのでしょうか。本記事ではTOEIC600点の意味や難易度、必要な勉強時間、効果的な勉強法、おすすめの参考書に加え、600点を目標にするメリットについても解説します。ぜひ最後まで読んで、目標達成への道筋をつかんでください!
TOEIC600点のレベルや難易度はどのくらい?
TOEICのスコア600点は、受験者全体で見るとおおよそ平均的な英語力と言われます。TOEICは満点990点のテストですが、600点は決して突出した高得点ではないものの、英語の基礎力が身についていると評価されるラインです。この章では、600点がどれくらいのレベルに相当するのか、難易度や他の試験との比較、必要な語彙・文法力、さらに就職・転職での評価について解説します。
600点は平均的な英語力
TOEIC600点はざっくり言えば平均的な英語力です。実際、TOEIC公開テストの平均スコアは年度によって多少変動しますが、直近ではだいたい590~610点前後となっています。たとえば2023年の平均スコアは約612点でした。つまり600点というスコアは受験者全体の平均に近く、日本人の英語力としては標準的と言えるでしょう。
英語力のイメージとしては、中学レベルの基本的な英文法と語彙力が身についている段階です。600点を持っている人は、中学で習う英文法を理解しており、簡単なビジネスメールや日常的な定型表現でのやり取りには対応できます。英文を読んで概要を把握したり、会話を聞いて大意をつかむことができるので、日常生活や職場で限定的な範囲であれば英語でコミュニケーションが可能なレベルです。ただし、話題が複雑な内容や専門的な分野に及ぶと、語彙力や理解力に限界があり、詳細まで正確に理解するのは難しく感じるかもしれません。
TOEIC600点を取るには何問正解が必要? TOEICテストはリスニング100問・リーディング100問の合計200問ですが、スコア換算は単純な正解数比例ではありません。とはいえ目安としては、TOEICのスコアは、正解した問題数そのものではなく、テストごとの難易度差をなくすための統計処理を経て算出される「換算点(Scaled Score)」で示されます。そのため、「何問正解すれば必ず600点」という絶対的な基準はありません。しかし、おおよその目安として、合計200問のうち約65%、つまり130問程度の正解で600点に到達すると考えられています 。TOEICは時間との戦いでもあるため、実際の試験ではこの正答率を効率よく達成できるよう、時間配分にも注意が必要です。
英検なら2級~準1級レベル
TOEIC600点は他の英語検定試験でいうと、英検2級から準1級のレベルに相当するとされています。英検2級は高校卒業程度、準1級は大学中級程度の英語力です。つまりTOEIC600点を取るには最低でも高校卒業レベルの英語力が求められると言えます。英検で2級に合格できる力があれば、おおよそTOEIC600点前後の力はあると考えてよいでしょう。
また、TOEICと英検では試験内容に違いがあります。TOEICはリスニングとリーディングのみでスピーキングやライティングは含まれません。一方で英検2級・準1級では筆記(リーディング&ライティング)に加えて面接でのスピーキングも評価されます。そのため、TOEIC600点=英検○級と完全に同等には言えませんが、英語総合力の目安として2級〜準1級レベルと捉えておくと良いでしょう。
なお、IELTSやTOEFLに換算すると、正確な対応表はありませんが、TOEIC600点はIELTSではだいたい5.5〜6.0程度、TOEFL iBTでは60〜70点台に相当するとの意見もあります。いずれも日常会話には概ね対応できるが、学術的な内容や高度な内容だと難しい、中級レベル(CEFRで言うとB1〜B2程度)の英語力です。
TOEIC600点の大学レベルや偏差値
TOEIC600点は学術的にはどのくらいの位置づけでしょうか。英語力を大学受験偏差値に置き換える試みもあり、TOEIC600点は偏差値換算で約51程度とも言われます。偏差値51前後は大学でいうと日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)レベルに相当します。これは難関大学ほどの高度な英語力ではないものの、平均よりやや上の大学で求められる英語力といったところです。
最近では大学入試でTOEICスコアを活用できるケースも増えてきました。大学によっては、TOEICなど民間の英語試験で一定以上のスコアを持っていると、入試で加点されたり英語試験が免除になったりする制度を設けているところもあります。すべての大学で有利になるわけではありませんが、もし大学受験を控えているなら志望校がTOEICスコアを活用しているか調べてみるとよいでしょう。TOEIC600点を持っていれば、大学入試で英語科目の一部免除や優遇措置の対象になる大学が見つかるかもしれません。
単語数は5,000以上で文法は中学レベル
TOEIC600点を目指すには、どの程度の語彙力・文法力が必要でしょうか。TOEIC 600点取得に必要な語彙力の目安は、一般的に約5,000語とされています 。これは大学受験で求められる4,000~6,000語とほぼ同等の水準です。ただし、この5,000語はゼロから新たに覚える単語数ではありません。中学・高校の基礎学習で習得する基本的な単語(約3,000~3,500語)が含まれており、それに加えてTOEIC頻出のビジネス関連語彙などを1,500~2,000語程度上乗せするイメージです。したがって、学習の中心は、すでに知っている基礎単語の知識を固めつつ、TOEICに特化した語彙を効率的に習得していくことになります。TOEICではビジネス関連の語彙が多く出題されるため、大学受験レベルの単語に加えてビジネスで頻出の単語を重点的に覚えていく必要があります。例えば「買う」という単語一つとっても、日常会話では”buy”で通じますが、ビジネスでは”purchase”(購入する)のようなフォーマルな語彙が登場します。このように日常ではあまり使わないがビジネスでは頻出の語も習得しておきましょう。
一方、文法については中学レベルの基礎英文法をしっかり理解できていれば十分対応可能です。TOEICでは難解な英文法問題はほとんど出題されません。実際、文法問題が全問解けなくても他のセクションでカバーすれば600点に届くケースもあるため、語彙に比べれば優先順位は下がる傾向にあります。しかし土台となる文法力が不十分だと読解やリスニングの理解にも支障が出るため、中学英語を完璧に身につけることが大切です。特に語順(文型や品詞の知識)と動詞の使い方はTOEICで頻繁に問われるポイントなので、基礎をおさらいしておきましょう。中学レベルと侮らず、一度テキストで文法総復習をしてみると、実はあやふやだった部分が見つかるかもしれません。
就職や転職が有利になり始めるレベル
TOEIC600点は社会人にとって履歴書に書ける最低ラインとも言われます。実際には「○点以上なら履歴書に書いて良い」という決まりがあるわけではありませんが、世間的な感覚として600点以上あれば英語力をアピールしたいときに記載する価値があると考える人が多いようです。500点台だと「平均並みか少し下くらい?」という印象ですが、600を超えていれば「平均より上で基礎はできているんだな」という評価につながりやすく、企業側も参考にしやすくなります。
事実、IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の「2019年 英語活用実態調査」によると、新卒採用で約49%の企業がTOEICスコアを何らかの要件・参考にしていると回答しています。また中途採用(特に仕事で英語を使う部署)では約53%の企業がTOEICを要件・参考にしているとのことです。その企業が採用要件・参考とするスコア平均は、新卒で555点、英語使用部署の中途採用で620点というデータがあります。これを見ると600点はちょうど企業が求める水準に合致しており、英語力を備えた人材として評価される可能性が高まる点数だと言えます。
もっとも、600点はあくまで「英語も一応できます」というアピールにはなりますが、ビジネスの場で通用する高度なバイリンガルという評価には至りません。そのため大手企業やグローバル企業を目指すなら700点以上が望ましい場合も多いです。人気の高い大手日系企業の中には応募条件にTOEIC700点以上を掲げているところもありますし、800点を超えれば海外との交渉が多いポジションや外資系企業も射程圏内になります。900点となれば全受験者の上位数%に入るハイスコアで、どんな企業でも高い英語力があると認められるでしょう。
とはいえ、TOEIC600点を持っていることで就職・転職の選択肢が広がるのは間違いありません。企業によっては社員がTOEICで一定スコアを取得すると資格手当を出したり、昇進の条件にTOEICスコアを含めたりするケースもあります。実際、一部調査では役職者の平均TOEICスコアが主任・係長クラスで515点、役員クラスで600点というデータもあり、社内昇進に600点が目安とされている例も見られます。これからキャリアアップを図りたい人にとって、600点は英語力向上の一つのマイルストーンとなるでしょう。
TOEICで600点レベルの取得に必要な勉強時間
「現在の英語力から600点を目指すには、どれくらい勉強すればいいの?」という疑問は多くの学習者が抱きます。TOEIC600点を取るために必要な勉強時間の目安を紹介します。ただし個人差も大きいので、あくまで参考として捉えてください。
オックスフォード大学出版局が発行した資料 “A Teacher’s Guide to TOEIC Listening and Reading Test” によると、一般的にTOEICスコアを100点上げるのに必要な勉強時間は約200~300時間が目安とされています 。例えば現在400点程度の実力の人が600点を目指す場合、+200点アップが必要なので合計で400~600時間の学習が必要になる計算です。同様に、500点の人が600点(+100点)を目指すなら約200~300時間が目安となります。
実際の期間に換算すると、仮に1日3時間コンスタントに勉強時間を確保できるなら、200時間なら約2~3か月、400時間なら約5~6か月といった具合です。社会人や学生で毎日そんなに時間を取れないという場合は、1日1~2時間の学習でも構いませんが、その場合6か月〜1年ほどの長期計画で取り組む必要があるでしょう。
具体例を挙げると、TOEIC400点台の初級者が600点を取るには約450時間、毎日3~4時間の勉強で3~5か月程度かかったというデータがあります。また、TOEIC500点程度の人が650点を取るには約225時間(1日5時間勉強すれば45日=1.5か月)とも報告されています。ただしこれらはあくまで机上の計算です。仕事や学業と両立しながら勉強する場合、想定通りの時間を確保できない日もあるでしょう。計画を立てる際は少し余裕を持ったスケジュールにすることをおすすめします。また、闇雲に時間を費やすより**限られた時間で何をどのように勉強するか(勉強の質)**も重要です。次章では効率的な勉強法について詳しく見ていきましょう。
メモ: 現在のスコア別に見ると、ゼロから英語を始める初心者がいきなり600点を取るのは簡単ではありません。まずは300点台→500点台と段階的に実力をつけていくのが現実的です。焦らず基礎固めからコツコツと進めましょう。
※なお、TOEIC700点を目指す場合の勉強法などは別記事「TOEIC700点のレベル」で解説していますので、さらなる高得点を狙いたい方は参考にしてください。
TOEICの600点レベルを突破する勉強法
TOEIC600点を突破するには、英語の基礎力強化とTOEIC形式への対策の両輪が重要です。闇雲に問題を解くだけでは伸び悩むことも多いので、ポイントを押さえた勉強法で効率よくスコアアップを目指しましょう。この章では600点取得に向けた具体的な勉強法やコツを、いくつかの観点から紹介します。「勉強しているのに600点の壁を越えられない…」という方も、ぜひ参考に実践してみてください。
基本的な英語力を強化する
TOEIC600点を取るためにまず大事なのは、英語の基礎力を盤石にすることです。スコアが伸び悩んでいる人の多くは、単語や文法など基本的な知識が不足しているケースが見受けられます。TOEICは確かにテクニックや慣れも重要ですが、土台となる英語力が弱いままではいずれ限界が来ます。
単語力アップ: 前述したように、600点には最低でも5,000語程度の語彙が必要です。まずは頻出の基本単語・熟語を確実に覚えましょう。TOEIC頻出単語をまとめた単語帳を繰り返し学習し、見た瞬間に意味が分かる単語を増やすことが大切です。単語の暗記は1日○個とノルマを決めるより、同じ単語に何度も触れて記憶に定着させる方が効果的です。通勤・通学時間やスキマ時間も活用し、繰り返し単語帳を見返す習慣をつけましょう。また音声が用意されている教材なら積極的に活用し、発音を耳から覚えると記憶に残りやすくリスニング対策にもなります。
英文法の習得: 文法についても、中学レベルの基礎英文法をおろそかにしないようにします。TOEICのPart5(文法・語彙問題)では品詞の識別や動詞の適切な形の選択など、基本文法の理解が問われます。例えば時制・態・助動詞・関係詞など、中学〜高校初級で習う文法事項を一通り復習しましょう。基礎的な文法知識がしっかり身についていれば、長文読解でも文構造を正確につかめるようになり、内容理解がスムーズになります。市販の「TOEIC向け文法問題集」や「基礎英文法参考書」を使って学び直しをするのがおすすめです。文法は単調に感じるかもしれませんが、土台固めだと思って丁寧に取り組んでください。
こうした単語力・文法力の強化によって、リーディング・リスニングいずれにも良い効果が現れます。実際、長文を読むにもリスニングで内容を捉えるにも、知っている単語が多く文構造を正しく理解できることが前提となります。基礎力が万全になれば、600点突破への足場がしっかり固まるでしょう。
英語の読解に慣れる
TOEICで600点を取るには、リーディングセクションで確実に得点することが不可欠です。しかしTOEICのリーディングパート(Part5~7)は問題数も多く、限られた時間内に長文を読み解かなければなりません。そこで重要なのが英語の読解に慣れるトレーニングです。
まず、長めの英文を読む訓練を積みましょう。TOEICのPart7では比較的長い文章(メール文、記事、広告など)を読んで設問に答える必要があります。普段から短い英文しか読んでいないと、本番で長文に圧倒され時間切れになってしまいます。最初は難しすぎる文章にいきなり手を出す必要はありません。自分のレベルに合った英文を選び、徐々に読解スピードと理解度を上げていきます。TOEIC600点レベル向けの英語長文読解教材や、興味の持てるジャンルの英文記事などを活用してみてください。
効率的な方法の一つに、**同じ文章を繰り返し読む(音読も含めて)**練習があります。1つの英文を何度も精読・音読して内容を完全に頭に入れることで、英文の構造や単語の使い方に自然と慣れていきます。はじめは理解に時間がかかった文章も、繰り返すうちにすらすら読めるようになるでしょう。この「読める英文」を増やすことが自信につながり、読解力向上に直結します。
また、「難しい文章=良い訓練」とは限りません。高度すぎる内容だと理解できず時間ばかり浪費してしまい、かえってやる気を失う原因になります。TOEIC600点レベルに相当する難易度の英文をたくさん読む方が効果的です。市販のTOEIC読解問題集でレベル感を掴みつつ、海外のニュースサイトや英語記事も易しめのものからチャレンジしてみましょう。興味のあるテーマの記事を選べば内容理解へのモチベーションも上がります。日々の積み重ねで「英語を読むのが当たり前」になれば、試験本番でも焦らず読解に取り組めるようになります。
リスニング力を鍛える
TOEICでスコアを伸ばすには、リスニングセクションの得点を底上げする戦略も有効です。実はTOEICは「リーディングよりリスニングの方が点数を取りやすい」と感じる人が多く、短期間で点数を上げるならリスニング強化が近道とも言われます。リスニング力を伸ばすことで英語全体の処理能力も向上し、結果的にリーディング力アップにも役立つというメリットもあります。
効果的なリスニング学習法の一つがシャドーイングとリピーティングです。シャドーイングとは、音声を聞いて少し遅れて影のように追いかけながら復唱する練習法で、英語の音のつながりやリズムに慣れるのに効果抜群です。最初はTOEIC Part1・2のような短い文から始め、ナレーターの発音やイントネーションをそっくり真似ることを意識しましょう。慣れてきたら文章の長さを徐々に伸ばしていきます。
リピーティングは、音声を一度区切りのところまで聞き終えてから、聞いた内容を思い出しながら復唱する練習です。音声が完全に流れ終わった後で繰り返すことで、内容理解と保持の力が鍛えられます。シャドーイングと組み合わせて取り入れると、集中力と定着度がさらに上がります。
また、リスニング力向上には英語独特の音の変化やリズムに慣れることも大切です。英語は単語同士が連結して音が脱落したり変化したりします(例えば “going to” が “gonna” のように聞こえる 等)。さらに強弱や抑揚など、日本語にはないリズムがあります。こうしたポイントも意識しながら音声を真似る練習を積むと、「聞き取れる音」が格段に増えてきます。
毎日の中で英語の音に触れる時間をできるだけ確保しましょう。通勤中にTOEIC公式アプリでリスニング問題を聞いたり、英語ニュースや洋画を英語字幕付きで視聴するなど、耳を英語モードに慣らす工夫をします。「聞くだけ」で終わらず、必ず自分でも声に出してみることがポイントです。英語の音を自分で再現できるようになると、聞き取る力も飛躍的に伸びていきます。
テスト形式に慣れる
TOEIC特有の試験形式に慣れておくことも600点突破には欠かせません。いくら英語力があっても、出題パターンに戸惑って時間をロスしては実力を発揮できません。そこで公式問題集や模擬問題を使って、TOEICの出題形式・傾向に早めに慣れておきましょう。
TOEIC公式問題集は、実際のテストを制作しているETSが出版しているため、内容や難易度が本番に極めて近いのが特徴です。リスニングの音声も本番と同じナレーターが担当しているので、耳慣れという点でも最適です。受験を決めたら、まず本番同様に2時間ぶっ通しで公式問題集を1回分解いてみることをおすすめします。これによって問題形式や全体の流れ、時間配分の感覚を体験できます。
初めて模擬試験を解くと、想像以上に時間が足りなかったり、後半で集中力が切れたりといった課題が見えてくるでしょう。一度模試を経験したら、必ず解答の復習を念入りに行います。間違えた問題の単語や文法事項をチェックしたり、リスニングで聞き逃した部分の音声を繰り返し聞いてみましょう。自分の弱点が分かったら、集中的に補強します。
そして試験日が近づいてきたら、もう一度2時間通しで模擬試験を解き直します。最初に解いたときよりもスムーズに問題を解けるか、時間配分は適切かを確認しましょう。何度か模試を経験しておけば、本番でも落ち着いて実力を発揮できるはずです。TOEICは独特の形式(写真描写→応答文→会話文→説明文→短文穴埋め→長文読解という構成)なので、場馴れしておくことがスコアアップの近道です。
TOEIC用の参考書で勉強する
英語の基礎固めと並行して、TOEIC対策用の参考書もしっかり活用しましょう。TOEICには頻出の単語・フレーズ、定番の設問パターンがあります。市販のTOEIC向け参考書や問題集はそうした傾向を踏まえて作られているため、効率よくスコアメイクにつながります。
参考書を選ぶ際のポイントは、自分のレベルに合ったものを選ぶことです。まだTOEIC受験経験が浅い初心者であれば、「入門」「はじめてのTOEIC」といったタイトルの書籍や、目標スコア600点向けと明記されたテキストがおすすめです。難しすぎる本に手を出すと消化不良になりがちなので避けましょう。
勉強法としては、何冊も買い漁る必要はありません。単語帳と総合対策本の2冊程度に絞って繰り返し学習する方が効果的です。例えば単語帳で語彙力を強化しつつ、総合対策本で各パートの解き方やテクニックを学ぶ、といった形です。文法が不安な人は文法特化の問題集を1冊追加しても良いでしょう。
また、TOEIC直前期には実践形式の問題集も活用してください。模試形式の問題集や公式問題集を使って、本番さながらの環境で問題演習を行います。制限時間を計って解くことで時間感覚が身につき、弱点分野も把握できます。本番直前に新しい参考書に手を出すのではなく、これまで使ってきた参考書の復習や模擬試験で仕上げるのがポイントです。
問題集を試験本番と同じ時間で解く
前述のように、模擬試験形式の問題集を使って試験本番と同じ2時間で問題を解く訓練を積みましょう。600点を目指す多くの人にとって、時間内に全問解き終わること自体が一つのハードルになります。Part5で時間を使いすぎて長文が終わらなかった…という話もよく聞きます。
時間配分の目安としては、リスニング(Part1-4)は音声が流れるスピードに合わせるしかありませんが、リーディング(Part5-7)は75分の中でPart5&6(文法・短文穴埋め)に25分、Part7(長文読解)に50分程度割り振る人が多いです。長文問題は設問ごとに解く時間を決め、難しくて時間がかかりそうな問題は思い切って飛ばす決断も必要です。600点狙いならすべて正解する必要はなく、捨てる問題を見極めることも戦略のうちです。
模擬演習では、実際に静かな環境で時間を計って取り組み、本番さながらの緊張感を味わっておきましょう。何回か練習する中で、「ここで時間を使いすぎると最後まで解けない」といったペース配分のコツがつかめてきます。また、塗り絵(最後にマークをまとめて塗る)になってしまった問題はどのパートだったか振り返り、その部分の解き方を改善しましょう。リーディングで難しい問題に固執せず飛ばす勇気や、解ける問題を優先する判断力は、一朝一夕には身につきません。日頃の模試練習の中で少しずつ時間との戦い方に慣れていってください。
英語学習を習慣付ける
600点突破のためには英語学習を日々の習慣にすることが何より大切です。中には「中学レベルの英語なら短期間詰め込めば600点取れるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、覚えた知識を定着させ本番で使いこなせるようにするには、継続的な反復学習が不可欠です。
例えば「週1回、休日に5時間まとめて勉強する」よりも、「毎日30分〜1時間でもいいから勉強する」方が着実に力がついていきます。人間の記憶は忘れる生き物なので、1度学んだことも間隔を空けずに何度も復習してこそ身につきます。毎日の学習をルーティン化し、英語に触れない日をなるべく作らないようにしましょう。
習慣化のコツとして、学習時間をあらかじめ確保してしまう方法があります。例えば「朝起きて出社するまでの30分は単語を覚える時間」「夜寝る前に必ずリスニング問題を1セット解く」など、自分の生活の中で英語勉強の時間帯を固定します。そうすることで勉強の優先度が上がり、「忙しくて今日はやらなかった」という日が減ります。
また、スマホアプリやオンライン教材を活用するのもおすすめです。通勤電車の中やちょっとした待ち時間に単語クイズに挑戦したり、リスニング問題を解いたりできます。最近はTOEIC対策アプリも充実しており、ゲーム感覚で問題演習できるものや、AIが苦手分野を分析して出題してくれるものもあります。アプリを使えば重い参考書を持ち歩かなくてもどこでも勉強できるので、忙しい社会人でもスキマ時間を有効活用できます。
継続は力なり。 最初はスコアに直結しないように感じても、毎日の小さな積み重ねがやがて大きな伸びにつながります。習慣的に英語に触れている人は、試験直前に焦って詰め込む必要もなく、実力を自然体で発揮できます。無理なく続けられる学習計画を立て、コツコツと英語力を伸ばしていきましょう。
TOEICの600点レベルを目指す人におすすめの参考書
最後に、TOEIC600点を目標とする方におすすめの参考書・問題集を紹介します。単語力強化用、文法・総合対策用、模擬試験用といった観点で3冊ピックアップしました。それぞれの特徴を活かして学習に取り入れてみてください。
- 『TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ』 – 朝日新聞出版
TOEIC学習者に定番の「○○フレーズ」シリーズの一冊で、600点未満の初心者〜中級者向け単語帳です。頻出度の高い単語やフレーズが厳選された約1,000語が収録されています。コンパクトな新書サイズで持ち運びやすく、スキマ時間学習に最適です。見出し語にはTOEIC形式の例文がついており、実際の出題パターンの中で語彙を覚えられます。付属の音声を活用して発音も同時に確認でき、リスニング対策としても有効です。まずはこの「銀のフレーズ」で基本単語を固めて、余裕があれば上級者向けの「金のフレーズ」に進むと良いでしょう。 - 『TOEICテスト 中学英文法で600点!』 – アルク
文法に不安がある方におすすめなのがこちらの一冊です。タイトル通り、中学レベルの英文法を復習しながらTOEIC600点に必要な力を養う内容となっています。各文法項目について丁寧な解説と例文があり、その後TOEIC形式のミニ問題で理解度をチェックできます。「なぜその選択肢が正解になるのか/不正解なのか」という解説もわかりやすく、独学でも躓きにくい構成です。文法問題だけでなく長文問題も掲載されており、基礎文法を押さえつつ読解力も強化できます。中学英語を侮ることなくやり直したい人にピッタリの一冊です。 - 『はじめて受けるTOEIC L&Rテスト 全パート完全攻略』 – 旺文社
TOEIC初心者が最初に取り組む総合対策本として好評なのがこの本です。Part1からPart7まで全パートについて解き方のコツや攻略法がまとめられており、各パートごとに練習問題も付いています。「初めてでも600点が取れる」を目標に作られているため解説が非常に親切で、TOEICの基本をこの一冊で一通り学ぶことができます。別冊で模擬試験1回分(200問)が付属しているのも大きな特徴です。付属CD-ROMや音声ダウンロードによりリスニング音声や練習用アプリも活用でき、本番形式の模試で実力試しもしっかりできます。まずこの参考書でTOEICの全体像と問題傾向を把握し、弱点分野を見つけて集中的に補強していくという使い方がおすすめです。
以上の参考書はあくまで一例ですが、600点レベルを目指す学習者から評価の高いものばかりです。自分の弱点に合った書籍を選び、ぜひ繰り返し活用してみてください。
TOEICで600点レベルを目標にするメリット
最後に、TOEIC600点を目指すことのメリットを整理しておきましょう。600点は「平均的な英語力」とはいえ、取得することで様々な恩恵があります。
- 英語力のアピールになる: 600点は客観的な指標として自分の英語力を示すのに十分なスコアです。英検2級〜準1級相当であることから、「高校卒業〜大学中級レベルの英語力がある人」と認識されます。また約5,000語もの単語を習得していることにもなり、努力して語彙を増やした証として自信を持ってアピールできます。
- 就職・転職で有利になる: 先述の通り、多くの企業が採用時にTOEICスコアを参考にしています。600点以上あれば履歴書に記載して**「使える英語力があります」と積極的にアピール可能**です。英語を使う求人の応募条件を満たしやすくなり、応募できる企業・職種の幅が広がります。また社内でも「英語ができる人材」として評価され、業務を任せてもらえる機会が増えるかもしれません。
- キャリアアップにつながる: 社内昇進や海外赴任の条件にTOEICスコアを設定している企業もあります。そのラインが600点である場合、取得しておけば昇進要件をクリアできます。資格手当の対象となるケースもあり、自己研鑽の成果が報酬や役職という形で返ってくる可能性があります。グローバル化が進む現代では英語力のある社員は貴重な戦力とされるため、600点の取得は将来的なキャリアアップへの足がかりになるでしょう。
- 学習目標として適切: 600点という目標スコアを掲げて学習に取り組むこと自体にも意義があります。闇雲に英語を勉強するより「○月のTOEICで600点を取る」と具体的な目標がある方がモチベーション維持に効果的です。600点を達成できれば大きな自信となり、「次は700点を目指そう」「今度はスピーキング力も伸ばそう」とさらなる挑戦へ良い循環が生まれます。
TOEIC600点は決して楽に取れるスコアではありませんが、適切な努力を積めば多くの人が到達可能な現実的な目標でもあります。600点を取れば英語力の証明となり、就職やキャリアにおいても新たな道が開けてきます。ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に、計画的かつ継続的に学習を続けて、TOEIC600点突破を勝ち取ってください。あなたの健闘を祈ります!