エレベーターで会うとマウントばかり
翌日、私は息子と一緒に買い物に行くことに。エレベーターでA子に出会ったのですが、「30階からここに来るまでの道のりがとーっても長いの」と嫌味を言ってきます。
また別の日には、「低層階の住人のせいで各駅停車!」と低層階の住民がエレベーターを使うのが面倒だと言い、私には階段を使えと言う始末。
私はA子と会わないタイミングでエレベーターを使いたいのですが、なぜか偶然よく会うのです。A子は、その後も会うたびにマウントや嫌味を言ってきます。
A子が交通事故で車椅子生活に
私はしばらくA子と距離を置いていたのですが、ご近所さんの噂によるとA子夫婦は交通事故に遭ったそう。旦那さんは亡くなり、A子は車椅子生活になったとのこと。
そんなある日、エレベーターを待っているとA子が車椅子で現れ、エレベーターに乗ろうとしています。しかし、まだ車椅子に慣れていないからか、エレベーターの壁にぶつかってうまく乗れない様子。皆でA子を手助けしようとすると「不愉快だわ! そこどいて! 私を見下ろさないでくれる?」と拒絶。
結局見かねた私が手助けをしてエレベーターに乗せて家まで送り届けましたが、感謝の言葉もなくA子は何も言わずに去っていきました。
エレベーターでよく遭遇していた理由が明らかに
数日後、またA子とエレベーターで遭遇。すると、小さな声で「この間は、あ、あ、あ……あり……がとう……」とお礼を言って私が降りる3階のボタンを押してくれました。私はA子と話をするうちに、じつは素直な人だとわかりました。そして、A子は家に招いてくれたのです。
A子は引っ越してきたばかりで友だちがいなく、誰かと話し相手が欲しかったと本音を打ち明けてくれました。どうやら、私と会うためにエレベーターで遭遇するフリをして待ち伏せをしていたんだとか。
でも何を話せばいいのかわからず嫌味やマウントになってしまっていたとのこと。本心を聞けて、すっかり打ち解けた私たちは友達になることに。
すれ違いを乗り越えて親友に
私は、隣の部屋が空いていることを教え、引っ越すことを提案してみました。A子は泣きながら大喜び! 今ではA子が私の子どもたちの面倒も見てくれたりと、すっかり親友になっています。
出会いは最悪でしたが、素直な気持ちを打ち明けることで相手を理解できるのですね。その後、A子はマンションの住人とも打ち解け、第2の人生を歩み始めています。