低出生体重児で難航する母乳育児
在胎36週6日、緊急帝王切開で生まれた娘は、2,100g台の低出生体重児でした。娘の口が小さくおっぱいを吸う力も弱いことに加え、低血糖症の治療のために通常よりも頻回の授乳を必要としていました。
私も初産かつ正期産直前の緊急帝王切開による出産だったため、産前の乳頭マッサージなどもできないまま出産を迎えた状態。そのせいもあってか母乳がうまく出ず、母乳育児ははじめからかなり難航していました。
私の気持ちをわかってくれない実母
娘の退院後も、「低月齢のうちは血糖値が基準値以下になればすぐに病院へ」と言われたため、血糖値が下がらないよう母乳のあともこまめに育児用ミルクを飲ませました。
そのころ、実母が娘がどのくらい母乳を飲んでいるかを確認するLINEを毎日送ってきたのです。
きっと母は母乳育児は赤ちゃんに良いことだから、当然私もそうするものだと思って悪気は一切なかったと思うのですが、母乳があまり出ない私にとってはプレッシャー以外の何物でもありません。それどころか母乳育児がうまくいかないと相談しても、食事や生活習慣を容赦なく指摘され、気持ちが削がれるばかりでした。
助産師さんのやさしい言葉に涙…
産後5カ月ころ、心身ともに限界だった私を心配して「離乳食始まるし断乳したら?」と夫が言ってくれました。断乳のことを実母に話すと、「まだ生後5カ月なのに断乳なんて娘ちゃんがかわいそう!」と猛反対! 理解してほしかった実母に今まで以上に責められ悲しくなった私は、助産師さんに思いを打ち明けることに。
すると助産師さんは「お母さんが笑顔でいられることが娘ちゃんにとっても一番。だからその決断に誇りを持って」とやさしい言葉をかけてくださり、私の中でいろいろな思いが溢れて涙が止まらなくなってしまいました。
他のママの授乳になぜか心が痛む
順調に断乳を終え、大好きなお酒も飲めるようになって心に平穏を取り戻せたはずでしたが、実は心の奥深くに爪痕が残されていました。母乳育児が順調な周囲のママたちの授乳の場面に遭遇すると、なぜか心がキリキリと痛むのです。
特に義実家で義妹が授乳し始めたときには、「兄嫁さんと違って私は母乳育児うまくいっていますよ」と見せつけられている感じすらして、悔しすぎて逃げ出したくなるほどでした。
母乳育児に関してはそれぞれ事情があるのだから、あれこれ口を出さずそっとしておいてほしいというのが本音です。いつか娘が母となる日がきて、もし母乳育児がうまくいかなくても、娘の判断を尊重し、そっと見守れる母でありたいなと思います。
作画/はたこ
著者:金岡莉緒
1女の母。独身時代から住宅関連企業に勤務し、産休育休を経て時短勤務中。妊娠・出産・子育てに関する自らの経験を中心に執筆している。