社長の息子が入社
ある朝、部長が突然、「新人」を連れて出社。「今日から社長の息子さんであるA男くんが、係長としてこの部に配属される」と言うのです。おまけに、教育係に任命されたのは僕。あいさつをすると、A男は気怠い雰囲気で言い放ちました。
「教育係はナシでいいですか? 俺、あんたの上司なんで」
僕は戸惑いながらも、「わかりました……」と返事をしました。
それから数日が経過しても、A男は社内のことも仕事のこともまったく学ぶ気がないようで……。僕が、「これは最低限、目を通しておいてください」と渡した資料も、まったく読んでいないのです。挙句に、「俺、学歴高いんで、大丈夫です。自分の感覚で仕事します」と宣言。
最初こそなんとか話を聞いてもらおうとしていた僕ですが、「あれこれ言うのは逆効果かもしれない」と思い、しばらく放置することにしました。
A男の勝手な言動が原因で…
それから2カ月後、A男が初めての商談に臨む日がきました。僕もついて行こうとしましたが、「来なくてけっこうです」と言われ、1人で行かせることに。そして、帰ってきたA男にどうだったか聞くと、先方から「納期は3週間以内で、有名カメラマンを手配してもらいたい」と言われ、OKしてしまったというのです。
しかし、それはあまりにも非現実的であり、僕は「今すぐ先方に電話をかけて、再度、打ち合わせをしよう」とA男に提案。しかし彼は、「大丈夫です。俺ならできますから、指図しないでください」と逆ギレ。社長の息子ということもあり、僕は彼に逆らうことができませんでした。
それから、A男はいろいろと奔走したようですが、結局、先方との約束を守ることはできず……。先方は非常に怒っており、会社にとって大きな痛手となってしまったのでした。
現実を受け止めた社長
A男をこれ以上放置することはできないと判断した僕と部長は、入社してからのA男の言動を社長に報告しました。社長は、「息子だからと過剰に期待しすぎていた……」と現実を受け止めた様子。「息子は社会の厳しさを学んだほうがいい」と断言し、まずはアルバイトとして、イチからこの会社でやり直すことになったのでした。
社長から「ぜひ君に、もう一度指導係をやってほしい」と言われた僕は、「社長の頼みであれば」と快諾。さすがのA男も今回の失敗はこたえたようで、心を入れ替え、僕の後輩として、今は真面目に仕事に取り組んでくれています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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