大口注文40個…配達先で待っていた「あの顔」
ある日、近所の大手IT企業から社内イベント用の大口注文が入りました。弁当40個規模で、個人店としてはかなり大きい売り上げになる案件です。
僕は準備を終え、自ら配達へ。その受け取りに出てきた社員の中に、ある顔を見つけた瞬間、体が固まりました。
小学校時代に僕をいじめていた“首謀者”がそこにいたのです。
男もこちらに気づいたようで、びっくりした表情をしたあと、なにか思いついたのかニヤリと笑いました。そして周囲の社員に聞こえるように言ったのです。
「お、パシリじゃん。底辺の仕事頑張ってるね」
弁当のフタを勝手に開けて「写真よりショボい」「これ、なんだよ、クソまずそう!」と笑い、「総務に改善要望出しとくから」とわざとらしく口にします。
さらにはおかずを1つつまんで「うお、こいつはひどいや。オレ、いらね」とそばにあったゴミ箱に僕が運んだ弁当を投げ捨てたのです。
周囲の人も「え、そんなにまずいの!?」「食べて大丈夫かな?」とヒソヒソ。
僕はいたたまれず、何より心を込めて作ったお弁当がそんな扱いをされたことに我慢がならず、思わずオフィスを飛び出していってしまいました(配達はすべて終えていて、あとは挨拶して退出するタイミングではありましたが)。
後日、本当に該当の会社から「弁当屋の態度が悪かった」といったクレームが。小さな店が一方的にプレッシャーを受ける形です。
小学校の教室と今のオフィスが重なり、“かっこうの餌食”という屈辱の思い出が蘇りました。
仕込みの合間に始めたYouTube……登録者数十万人の人気チャンネルに
一方で僕には、店の仕込みの合間に始めたYouTubeチャンネルがありました。コンセプトは「弁当屋店主のまかない・おかずアレンジ」。
余った食材や安い惣菜を使ったリアルなレシピ動画がバズり、登録者は数十万人規模へ。食品メーカーやスーパー、他のデリバリーサービスなどからコラボ依頼が次々と届く、引く手あまたの人気チャンネルになっていたのです。
そんな中で届いたのが、件のIT企業の親会社からのオファーでした。
「新しいランチサービスの開発で、ぜひメインパートナーになってほしい」
社内ではすでに「人気YouTuber◯◯さんと組む」前提で企画が通っているとかで、女性のプロダクトマネージャーが熱心に通ってきてくれました。因縁があった会社でしたが、その情熱にほだされ、最終的に受けることを決断したのでした。
打ち合わせでまさかの再会……!
打ち合わせ当日。僕は弁当屋オーナー兼人気YouTuberとして会議室に入りました。そこでまさかの光景が目にすることに。
プロジェクト側のメンバーとして、かつてのいじめの首謀者が「運用担当」として同席していたのです。
彼は僕の顔を見た瞬間、血の気が引いたような表情になりました。
例のプロダクトマネージャーは過去の配達トラブルを知りません。企画の説明が一通り終わったところで、僕は静かに口を開きました。
「ありがとうございます。ただ、一つお話ししておきたいことがあります」
「実は以前、御社関連会社に配達に行ったとき、こういう扱いを受けました」
僕は事実だけを淡々と話しました。パシリと呼ばれたこと。弁当を勝手に開けて笑われたこと。さらには、その場で捨てられたこと。理不尽なクレームが送られてきたこと。
「そんな態度の人間が関わるサービスと組むのは不安です」
その場でプロジェクトから外された結果
プロダクトマネージャーの表情が一変しました。
「……本当なの!?」
男は言葉に詰まり、視線を泳がせています。
プロダクトマネージャーは深く頭を下げました。
「申し訳ございません。すぐに確認します。取引先を馬鹿にする態度を取っていたメンバーは、このプロジェクトから外します」
もともと“どうしても組みたい人気YouTuber”である僕の信頼を失いたくない彼女にとって、彼のほうがいらない人間となった瞬間でした。
その場で、男はプロジェクトから外されることになったのです。
雨の日も風の日も、一人で店を守ってきた日々。小さな弁当屋は“底辺”ではなく、多くの人に支持される価値を生み出していました。
「パシリ」と笑った彼と、立場が完全に逆転したのです。
人を見下すことは、いつか自分に返ってくる。今回の件で、それを改めて実感しました。
※AI生成画像を使用しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。