しかし、義父が突然の病死。夫は心の準備もないまま急きょ社長職を引き継ぐことになりました。最初は戸惑っていた夫でしたが、少しずつ変わっていってしまったのです。
社長になった夫が変わっていく
夫は「人脈づくりだよ」と言って飲み会に出かける日が増え、見た目にも気を遣いはじめました。やがて「なんか最近、モテ期きたわ」と口にするように。
家事も育児も一切せず、少し掃除が行き届かないだけで大きくため息をつき、料理に文句をつけるようになった夫。その態度は亭主関白どころか、まるで自分を王様だと思っているかのようでした。
文句に対して私が反論すると「社長の俺に文句あるのか!?」と言うようになりました。小さな違和感が、私の胸の奥でじわじわと広がっていきました。
疑いが確信に変わった日
「おかしい」と思った私は弁護士に相談し、その紹介で探偵に夫の調査を依頼しました。
後日送られてきたのは、夫が見知らぬ女性と手を繋いで歩く写真でした。胸が締め付けられました。しかし資料にはそれだけではなく、浮気相手が会社の後輩であること、その女性に高額なプレゼントを頻繁に贈っていたこと、私に「出張」と嘘をついて2人で旅行へ行っていたことが発覚。
さらに、自宅に届いたクレジットカードの督促状で、リボ残高が膨れ上がっていることも分かりました。
「もう、限界だ……」
静かに、離婚を決めました。
夫と不倫相手と遭遇
ある日、探偵から共有されていた行動パターンとGPSの位置情報を確認すると、夫が家の近くの商業施設にいることがわかりました。私はそこへ向かい、夫と不倫相手のデート現場に遭遇したのです。
2人は凍りつきましたが、急に開き直り、夫が言いました。
「離婚してくれよ! 夫を敬えない妻はいらない!」と言ってきたのです。
驚くほど私は冷静でした。 むしろ胸がスッと軽くなったほどです。
「ありがとう! 実は私もあなたとは続けられないと思っていたの。あなたのほうから言ってくれて“助かります”」
2人は一瞬困惑した表情をしました。きっと不倫相手は夫の借金を知って後悔することになるでしょう。
不倫夫と女の自業自得な末路
私は弁護士へ連絡し、 夫と不倫相手の双方に慰謝料を請求。調査報告書と写真、旅行履歴、クレジット明細など証拠は揃っていたため手続きはスムーズに進み、ほどなくして支払いが正式に認められました。
その後、夫の不倫と借金の事実は会社にも伝わり、社長としての信用を失い、退職を余儀なくされたと聞きました。新しい職もなかなか見つからず、不倫相手にも借金がバレて別れたとのこと。夫は実家にも戻れず、狭いワンルームで一人暮らししているそうです。
不倫相手のほうも、社内での関与が問題視されて処分を受け、異動を命じられたうえに周囲からの信頼も失ったそうです。不倫したことを激しく後悔していたと噂で聞きました。
穏やかな生活を取り戻した
私は娘とともに実家へ戻り、両親に支えられながら穏やかな日々を取り戻しました。毎日のごはん作り、娘とのお風呂、寝る前のお話。 その一つひとつが、前よりずっと愛おしく感じられます。
夫が失ったものは夫自身が選んだ結果。 私はもう、振り返りません。これからも娘と前を向いて歩いていきます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。