夫が義実家で暮らし始めて1年。時々義母から送られてくる夫の様子を伝えるLINEには「やっぱり私のごはんが一番だって言っている」「あなたの料理は薄くて味がしないらしいわね」と、私へのマウントのような発言が綴られています。
いい気分ではなかったものの、私は夫のために我慢していました。夫が転勤先で健康に頑張れているなら――と、自分に言い聞かせていたのです。
けれど義母は、追い打ちをかけるように言ったのです。
「転勤になって、息子も少し気持ちが楽になったみたいよ」「正直、あなたとの暮らしは息が詰まっていたみたい」冗談めかしていうものの、なんだか私の胸に残りました。
義実家から届いた一通の郵便
ある日、義実家から一通の郵便が届きました。封を開けて、言葉を失いました。中に入っていたのは、夫の署名が入った離婚届だったのです。
意味がわからず手が震えながらも「これ、どういうこと?」と夫にメッセージを送りました。
不安と混乱が入り混じったまま待っていると、先に鳴ったのは義母からの着信でした。義母は開口一番「離婚届、届いた?」と聞いたのです。
「どういうことですか?」と尋ねると、義母はあっさりと言いました。「息子の部屋に用意されてたから、出すものだと思って送っておいたのよ」「息子も迷ってる様子だったし、背中を押してあげないとね」
さらに義母は、意味ありげに続けたのです。「こっちに息子のことを気にかけてくれる人がいるみたいなの」「気も合うって言ってたわ」
義母の言葉は、不倫を明言しないものの、十分すぎるほど匂わせるものでした。
慌てて弁解する夫
その直後、今度は夫から電話がかかってきました。明らかに動揺した声でした。
「本当にごめん! あれは手違いなんだ」「母さんが勝手に……俺は提出するつもりなんてなかった」
私は静かに聞き返しました。「でも、署名はあなたの字だよね?」夫は一瞬、言葉に詰まりました。
「……離婚するつもりで書いたわけじゃない」夫は曖昧な言葉を続けました。
義母の言葉と夫の慌てぶりがどうしても気になります。電話越しの説明だけでは真実が見えない気がして、私は居ても立ってもいられなくなり、娘をママ友に預けて義実家へ向かいました。
義実家で鉢合わせ
義実家のインターホンを押すと、少し間を置いて玄関の扉が開きました。出てきたのは義母でも夫でもなく、見知らぬ女性。後から追いかけるように玄関に出てきた義母は驚いた様子で目を見開きました。
玄関には、私のものではない女性用の靴が揃えて置かれています。
義母はすぐに取り繕うように言いました。「ちょうどよかった。こちら、息子のお友だちよ」けれど、その女性は慌てた様子で視線を逸らします。
そのまま家に上がると、リビングでくつろいでいた夫は顔色を変えて立ち上がり、慌てています。その反応だけで、十分でした。私はその場で、すべてを理解したのです。
義母はこの関係を知っていて、むしろ受け入れ、応援していたのでしょう。私たちを前に「息子には、あなたよりもっと合う人がいると思ったのよ」と言って、義母は悪びれる様子もありませんでした。
その瞬間、私の中で何かがすっと冷めました。怒りよりも、深い諦めでした。
不倫を続けるためのダミー
その場で、夫は必死に言い訳を始めました。
「違うんだ。本気じゃない」「離婚するつもりなんてなかった」「転勤先で付き合ってた相手が、いつ奥さんと別れるのかってしつこくて……」
夫曰く、離婚届は浮気相手を納得させるための“ダミー”だったのだそう。「離婚できる準備はしている」と示せば、その場しのぎで関係を続けられると思った――そんな身勝手な理由でした。そして、それを見つけた義母が私に送りつけてきたのです。
その説明は私の心にはもう届きません。私は静かに離婚を決めたのでした。
◇ ◇ ◇
家族が離れて暮らすことになると、少なからず不安を感じるかもしれません。だからこそ夫婦は「ひとつのチーム」だと、互いに実感できる関係であることが大切なのではないでしょうか。
信頼を裏切る不倫は、どんな理由があっても許されるものではありません。
また、相手に不安を抱かせる言動や誠実さの欠如は、その信頼をいとも簡単に崩してしまいます。思いやりと誠実さを持って、相手に接していきたいですね。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。