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夫「早くマンションに来い!」私「もう部屋にいるけど?」引越し当日に裏切り計画を企てたクズ夫が自滅した致命的なミス

都内の新築分譲マンション――そこは、夫の3年にわたる九州単身赴任が明け、ようやく手に入れた家族団らんの場となるはずでした。

しかし、入居初日の慌ただしい空気の中、1本の電話が私を凍りつかせます。仕事でも私生活でも完璧主義だった夫が漏らした、あり得ない「間違い」。それが、私の信じていた日常が音を立てて崩れ去った、長い1日の始まりとなったのです……。

「おい! 引っ越し屋のトラック着いてるぞ! どこにいる?!」

「新居の鍵、お前が持ってるだろ!どこにいるんだ、早く開けろ!」

 

福岡での単身赴任を終えた夫と再び暮らすため、私たちは都内の新築マンションを購入しました。晴れ晴れしい門出のはずなのに、スマートフォンから聞こえてくる夫の声は、いらだちで尖っていました。

 

私は朝一番で管理事務所から鍵を受け取り、午前中に私自身の荷物の搬入をすべて終えていました。夫は福岡から昼過ぎに到着する手はずだったのです。

 

「搬入なら終わったけど? あなたいまどこにいるの? 私はもうA棟の部屋にいて、荷解きを始めてるんだけど……?」

 

私の返答に、電話の向こうで夫が息を呑みました。 「えっ、A棟……? ああ、そうか、そっちか……」 力なくつぶやいたあと、彼はあわてて取り繕うように叫びました。 「悪い、最近忙しくて寝てないから、別の入り口と勘違いしたみたいだ。すぐそっちに行く!」

 

10分後、部屋に現れた夫は、冷房の効いた部屋で異常なほど汗をかいていました。「ごめんごめん、棟がたくさんあるから迷っちゃって」 そう笑う彼の顔はどこか引きつっており、荷解きを手伝い始めても、何度もスマートフォンの通知を気にしては、落ち着かない様子で部屋の中をウロウロしていました。

 

踏みにじられた3年間

夫が「ちょっと管理事務所に書類を出してくる」と席を外して、1時間ほど経った頃でした。 私のスマートフォンが見知らぬ番号からの着信を告げました。

 

電話に出ると、聞こえてきたのはひどく取り乱した女性の声でした。

 

「……あの、突然すみません。でも、もう、どうしたらいいかわからなくて」

 

彼女は、夫と同じ会社の派遣社員だと名乗りました。福岡支店で夫のサポートをしていたと言います。

 

「彼、独身じゃなかったんですか……? 私、彼を信じて仕事を辞めて、福岡からついてきたんです。今、彼と一緒に住むために、このマンションの『B棟』に入居したんですけど……」

 

心臓がドクンと跳ねました。B棟。夫がさっき「入り口を間違えた」と言っていた場所です。

 

「彼に『搬入中は邪魔だからエントランスのラウンジで待ってて』と言われて……。でも、なかなか彼が戻ってこないから、渡されていた鍵で勝手に部屋に入っちゃったんです。少しでも片付けを進めようと思って届いた荷物を開けたら、手続き用の重要書類ファイルが入っていて……。 その中から、このマンションの『A棟』の売買契約書が出てきたんです」

 

そこには私の名前と電話番号が書いてあったと言います。

 

その瞬間、すべての点と線がつながりました。あの日、あの時、夫がなりふり構わず怒鳴り散らしていた電話。あれは私に向けられたものではなく、目の前のトラックを前にして、頭が真っ白になった夫が、B棟から私に怒鳴り電話をかけた失態だったのだと。

 

「そんな……私には、『火曜から木曜しか一緒にいられない。それ以外は出張で全国を回るんだ』と言っていたのに……!」

 

彼女の絶望した声が、私の心に冷たく突き刺さりました。同じ敷地内で私と彼女の2人を「効率よく管理する」ための拠点にしようとした夫の狡猾さに、激しい吐き気を覚えました。

 

 

崩れ去った信頼

その日の夜――。

 

夫は「急なトラブルで会社に泊まる」とメッセージを残し、部屋を出ていきました。おそらくB棟で彼女への言い訳に追われているのでしょう。

 

私は、福岡から届いた夫の残りの荷物を調べ、決定的な証拠を見つけました。配送伝票の住所欄、一度は「B棟」と書かれた文字が二重線で消され、その横に夫の筆跡で「A棟」と書き直されていました。

 

2部屋分の引っ越しを同日に設定するという無謀な計画を立て、2つの棟を往復してアリバイを作ろうとした結果、発送直前で判断力が鈍り、荷札を貼り間違えるという致命的なミスを犯したのでしょう。

 

中身は、私とは縁のないペアのマグカップや、おそろいのパジャマ、そして例の彼女からの手書きカードでした。

 

『新生活おめでとう。ずっと一緒にいようね』

 

今日は火曜日。夫が「仕事」と偽って彼女と過ごすはずだった日です。その文字を見た瞬間、私の中に冷たく静かな怒りが満ちていきました。

 

エリートの失脚

1週間後――。

 

私は夫の帰りを、弁護士とともに待ち受けていました。私の隣に座るスーツの男性を見て、夫は一瞬たじろいだものの、「なんだよいきなり」と平静をとりつくろいました。

 

「……この配送伝票とこの荷物の中身。それから、あなたが『宿泊代』として、共有口座から引き出していたお金について、説明してくれる?」

 

夫は顔をそらし、目は明らかに泳いでいました。言い訳を重ねる夫に、私は無言で証拠を突きつけ続け、最後に離婚届と慰謝料の合意書を叩きつけました。

 

「私はあなたと離婚します。離婚以外の選択肢はもうないもの」

 

「ち、違う! 俺は被害者なんだ! 最初は遊びのつもりで……でも彼女が本気になっちゃって……! 勝手についてきて……!」と夫。

 

この期に及んで、何も知らなかった彼女に罪を着せようとするなんて……。私の夫への愛情は完全に冷め切り、もはや嫌悪感しか感じませんでした。

 

「彼女も、あなたの会社に報告する準備をしているそうよ。幹部候補が不倫の末に女性を騙して退職させたなんて知れたら、どうなるかしらね?」

 

夫は新築マンションを2部屋も動かせるほどのエリートでしたが、その万能感が仇となりました。自分の生活圏ですべてをコントロールできると過信した結果、小さな書き間違いで自滅したのです。

 

 

 

その後――。夫の勤務先にトラブルが知れ渡るのに時間はかかりませんでした。

 

不倫の末に社内スタッフを騙して退職させたスキャンダルは、幹部候補としての彼のキャリアを完全に終わらせました。周囲の冷ややかな視線に耐えきれず、夫は自ら退職を願い出たと聞きました。

 

私のほうの離婚手続きも滞りなく完了しました。 裏切りの象徴となったA棟の部屋はすぐに売却に出しました。幸い新築未入居に近い状態だったため高値で売れ、ローンの残債を完済した上で、かなりの額が手元に残りました。

 

「宿泊代」として彼が私に無断で使い込んだ共有財産の全額返還と、高額な慰謝料、そして売却益。これらを合わせたお金を元手に、私は全く別の場所に、自分だけの新しい住まいを購入しました。

 

浮気相手の女性もB棟から引っ越したらしく、今はA棟のあの部屋も、B棟のあの部屋も、別の家族が暮らしているようです。

 

 

人は完璧な計画を立てる時ほど、足元の小さなミスに無自覚になるのかもしれません。夫はエリートとしてのプライドから、自分の生活圏で効率良く私と彼女を支配できると過信しましたが、結局はその傲慢さが、証拠の誤配送などのミスを招きました。

 

誰かの手のひらで踊らされ、都合良く管理される人生なんてこりごりです。新しい部屋で手に入れたのは、何にも縛られない自由な時間。二度と誰かの操り人形にはならないと心に誓い、新しい一歩を踏み出します。

 

 

【取材時期:2025年10月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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