「育休=ラク」と本気で思っている夫
夫は家にいても、驚くほど育児に関わろうとしませんでした。おむつがパンパンになっていても、娘が泣き叫んでいても、スマホから目を離さず関わろうとしないのです。たまに何かを頼もうとすると、決まって「やり方わかんないから無理」「泣かれると俺じゃどうしようもないんだけど」と面倒そうに返されるだけでした。
さらには、「育休なんだから、家事と育児はお前の仕事だろ」と、まるで私が一日中遊んでいるかのような言い草で……。結局、すべてを私一人が背負うことになりました。寝不足のまま朝を迎え、泣き止まない娘を抱えながら、立ったままで冷めきったごはんを胃に流し込む……。そんなボロボロの私を横目に、休日の夫はソファでゴロゴロしながら優雅に動画を眺めています。
それでも当時の私は、「起業したばかりで余裕がないんだ」と夫をかばっていました。そう思い込まなければ、孤独なワンオペ育児の中で正気を保てなかったのだと思います。
高熱の私に放った「俺にうつすなよ」
そんな「夫を信じたい気持ち」が完全に粉砕されたのは、私が39度の高熱を出した日でした。朝から体が鉛のように重く、関節が突き刺されるように痛む。体温を測ると、見たこともない高い数字が出ていました。
立っているだけで視界がぐにゃりと歪み、ミルクを作る数分間ですら息が切れる。私は藁にもすがる思いで「ごめん……本当にしんどくて……今日だけでも娘のことお願いできないかな」と夫に頼み込みました。ところが、夫は私の顔を見ることすらなく「は? 俺にうつすなよ。大事な時期なんだからさ」と吐き捨てたのです。さらには「出かけてくるわ!」とそのまま家を出て行ってしまったのです。玄関のドアが閉まる音が、空っぽの部屋に響きました。その日、私は朦朧とする意識の中で、泣きじゃくる娘を必死に世話し続けました。涙が溢れても、それを拭う力すら残っていませんでした。
夜遅く、お酒の匂いをさせて帰ってきた夫は、玄関先でヘラヘラ笑いながら「風邪うつるから俺に話しかけるなよ〜」と言ったのです。その瞬間、私の中の何かがスッと冷めていくのを感じました。この人は、私が倒れても、苦しんでいても、何も感じないんだと確信したのです。
「誰でもできる」と豪語した男の末路
翌朝になっても、夫は私の心配をすることはなく「育休って何もしなくても金もらえていいよな!」と嫌味を言い、挙句の果てには「家事も育児も、誰でもできることだろ! お前みたいな怠け者は出ていけ! 子どもなんていらねーし、離婚だ!」と怒鳴り散らすのです。
夫の言葉に私の心はすっかり折れてしまいました。私はすぐに荷物をまとめ、娘を連れて実家へ帰り、離婚することに。それからしばらくして、元夫から信じられないような連絡が届くようになりました。元夫は「ごめん……やり直したい。洗濯ってどうやるんだっけ? 保険証がどこにあるか分かんなくて困ってる」といった、情けない内容ばかり。家事も育児も「誰でもできる」と豪語していた男が、一人になった途端、まともな生活すら送れなくなっていたのです。
私は、何の感情も湧かず「誰でもできるんでしょ?」とだけ返して、すべての連絡を断ち切りました。「育休は休み」なんて、経験したこともない人間の身勝手な言葉です。母親は機械ではありません。今、私は娘と二人、穏やかな朝を迎えられることに心から幸せを感じています。あのとき、勇気を出して一歩踏み出して、本当によかったと思っています。
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守るべきだったのは、“形だけの夫婦”ではなく、自分と子どもの心と生活です。我慢し続ける優しさより、子どもと自分を守る決断をしたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。