私の実家は不動産関係の仕事をしています。義両親はそれを知っているため、金銭面でどこか期待されているような気配もありました。
そんなある日、義両親と夫が「お前の実家の別荘で家族旅行をしよう」と言い出しました。断るわけにもいかず、予約などはすべて夫に任せ、一緒に旅行に行くことに同意しました。
別荘での違和感
当日、私たちは父が所有している別荘に到着しました。父の所有ではありますが、利用する場合は一般客と同じように宿泊費がかかる仕組みです。
ところが、部屋に入ったとき、私は違和感を覚えました。ベッドが一つ足りないのです。私が首をかしげていると、義母が笑いながら言いました。
「あなた、アウトドア好きなんでしょ? 外のテントで寝たらどう?」
外を見ると、テラスの隅に小さなテントが置かれていました。冗談のような口調でしたが、義父も夫もヘラヘラ笑っているだけ。私のベッドがないということは、どうやら本気のようです。
夫は「まあまあ、こういうのも楽しいじゃん」と軽く言いました。私はその場で、何も言えませんでした。
静かに一人で帰ることにした
その夜、私は一人で荷物をまとめ、誰にも告げず、別荘を後にしました。これ以上、ここにいる理由が見つからなかったからです。
翌朝、スマホが鳴りました。電話に出ると、夫の焦った声が聞こえてきます。
「おい、お前どこ行ったんだよ!」
どうやら朝起きたら私の姿がなく、私が電話に出ないので、慌てて管理棟に確認し電話したそうです。
するとスタッフに、こう言われたといいます。
「奥様でしたら、昨夜お帰りになりましたよ」
その瞬間、夫は青ざめたそうです。
今回の旅行、実は最初から宿泊費を私に払わせるつもりだったからです。見栄っ張りな義両親は別荘に泊まりたい一心で「家族旅行だ」と言い出したものの、私はハナからお金を出すつもりはないのだろうと思っていました。
私が伝えたこと
私は電話口で、「ちゃんと自分たちで払ってね」と静かに言うと、夫は小さな声で「いや……それはさ……」と言い困惑した様子。どうやら宿泊費は、思っていたよりも高かったようです。
すぐそばで義両親も慌てている様子が聞こえてきました。
「ちょっと、どうするのよ!」
「そんなお金、急に言われても……!」
私は静かに伝えました。
「最初からお金を払うつもりもない人が、見栄で旅行なんてするからでしょ」
「それと、もうあなたとは一緒に暮らせない。別れよう」
電話の向こうで、夫は言葉を失っていました。結局、宿泊費は夫と義両親が折半して支払ったと後で聞きました。
新しい一歩
電話を切ったあと、胸の奥が少しだけ軽くなりました。家で最低限の荷物をまとめ、その足で実家に帰り、両親にその日の出来事を伝えました。
父はしばらく黙って話を聞いていましたが、最後に低い声でこう言いました。
「うちの別荘で、うちの娘をテントで寝かせようとするなんて、どういうつもりだ!」
そして父は、その日のうちに夫へ電話を入れ、夫をかなり厳しく叱ったようでした。
「うちの娘を粗末に扱うなら、もう関わる必要はない!」
そう言われて、夫は何も言い返せなかったそうです。義両親も慌てて弁解していたようですが、父は取り合わなかったと聞きました。
その後、夫とは離婚し、義両親とも二度と会うことはありませんでした。
私はこれまで、理不尽な夫や義両親の言動をずっと我慢してきました。でも、大切にしてもらえない場所に、無理に居続ける必要はないと気づきました。これから先の人生は、もっと自分を大切にしながら歩いていこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。