何もわからずに臨んだ1人目の出産
私は1人目を妊娠36週2日のギリギリ早産で出産しました。陣痛が始まってから5時間で出産するという、初産にしてはスピード出産。私は痛みに強いほうなのか、便秘だと思い込みトイレでいきんでいたのを助産師さんに止められたのは、今では笑い話です。
赤ちゃんがおりてくるのも早く、陰部が中から押されるような感覚に、自分でも「いよいよだ」と感じたのを覚えています。初産ということもあり、会陰の伸びが悪く、医師から「ちょっと切ろうか」と言われ、会陰切開をすることになりました。
大きすぎる会陰切開の恐怖…
会陰切開が自分の出産に必要な処置であることはわかっていました。会陰が裂けることを防ぎ母体のダメージを軽減したり、赤ちゃんがスムーズに出てきたりするための処置だということは頭では理解しているものの、やっぱり怖かったです。陣痛がきているときに切るから痛みは感じないとは言われましたが、意識しすぎたためか切開時に「ぱちん」と切られた感覚や痛みを感じました。
その後は「いきまないで」という助産師さんの指示のもと、息を小刻みに吸って吐いてを繰り返しながら、無事出産することができました。けれども、その後の陰部への麻酔や縫合時の違和感、産後の会陰の痛みを経験し、「もう次は切りたくないな」というのが正直な気持ちでした。
会陰切開の恐怖再び!
初めての育児や仕事の再開でバタバタしているうちに5年が過ぎ、2人目を妊娠しました。5年ぶりの出産にドキドキしながら妊娠39週を迎え、今回は破水から始まる出産となりました。身支度を整えて病院に向かい、すぐに分娩室へと移動。それまでは冷静にいられたものの、徐々に出産時の痛みや陰部の圧迫感、会陰切開への恐怖がよみがえります。
「どうしよう……怖い」。それがそのときの気持ちです。正直、1人目の出産時は余裕がなく、「しっかりしなくちゃ」「なめられたくない」という若さゆえの意地がありました。でも、今回は素直に助産師さんに気持ちを打ち明けました。「すみません。会陰切開したくないです。怖いです……」。
声に出すことで払拭された私の不安
助産師さんへ素直に自分の気持ちや希望を伝えると、すぐに会陰に触れたり伸びを見たりしてくれ、「この部分(肛門側を触れながら)が余裕がありそうだから」と、希望を受け入れてくれました。ただ、状況によっては会陰切開が必要な処置であることは再度説明を受けました。
そして、陣痛が強まりいざ出産。助産師さんは“余裕がある”と言っていた部分を広げながら、いきむタイミングを指示してくれ、そのサポートのおかげで切開することなく、3時間という早さで出産できました。もちろん、2人目の出産ということもあって会陰の伸びもよかったのかもしれません。でも、自分の気持ちは声に出して伝えないといけないんだな……とつくづく実感したのです。
不安が多く、デリケートな出産。何人ものお産をサポートしている医師や助産師さんに気持ちを伝えるのは、なんとなくハードルが高いと感じていました。でも、出産は自分だけのものです。私は、自分の気持ちを伝えることで最良のサポートが受けられました。勇気を振り絞って「会陰切開が怖い」と声に出したことで、自分だけの素敵なお産を経験できた、怖がりな私の体験談でした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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イラスト/ののぱ
監修/助産師REIKO
著者:菅田ゆうり
1歳・7歳の男児を育てるワーキングマザー。自身の体験をもとに、妊娠や出産、育児、仕事との両立についての体験談を中心に執筆している。