共働き世帯は現在ではめずらしくありません。平成9年には専業主婦のいる世帯を上回り、総務省「労働力調査」によると、平成27年には共働き世帯1,114万世帯に対し、専業主婦のいる世帯は687万世帯となっています。しかし、共働き世帯とはいえ、家計に余裕がないとおっしゃる方も少なくありません。多くの共働き世帯の方とのご相談のなかで、主に問題になっている点を改善策とともにご紹介します。
問題1. お互いの収支を把握していない
改善策:お互いの収支と今後の目標を明確に
支出の項目をそれぞれどちらが負担するかを決めていて、それを継続すると、自分では把握していない支出についての意識が薄くなります。たとえば、住居費・光熱費は夫、食費・被服費は妻が負担すると決めると、夫は食費・被服費に、妻は住居費・光熱費にいくら使っているかあまりわからなくなります。
生活を続けると子どもの費用(保育料やおもちゃ・洋服など)や冠婚葬祭の費用など、当初設定していない項目が増えて、バランスが崩れることもあります。しっかり貯められている人は、何にいくら使っているか大まかに把握している方が多く、毎月積み立てる金額の目標を設定していることも多いです。
へそくりまでは知らせなくてもよいですが、家計全体の収支と今後の目標について、お互いの情報をなるべく共有化しましょう。
問題2. なんとなくお金を使っている
改善策:メリハリをつけて不要な支出を減らす
共働き世帯は家事にかける時間が少ない代わりに、支出が多くなる傾向にあります。時間がかけられない分、外食や家電、家事サービスなどにお金がかかるのは仕方ないとして、腐らせてしまう無駄な食材や不要なサービス(携帯電話やインターネットの有料情報や過剰な保険など)をそのままにしてしまうご家庭が少なくありません。
必要な物やたまのぜいたくを削るより、不必要なものは定期的に(できれば四半期ごと、できなくても半年に一度)見直す習慣をつけましょう。
問題3. 貯めるだけ貯める
改善策:必要な時期や内容を把握して必要なだけ使う
10世帯に1世帯もあるかどうかの割合ですが、貯金をできるだけ多くして、使うに使えない家庭もあります。子どもの進学費用に老後の生活費、病気や介護など将来不安な要因が多くて、お金を使えない状態です。
現在の生活に無理がなければいいのですが、節約しすぎて現在の生活が窮屈過ぎてもいけません。また、車や家電はある程度の時期で買い替えたほうが、トータルでの支出が少なくなる可能性もあります。
やはり将来必ず起こる、または起こる可能性のあるライフイベントについては、どの時期にいくらぐらい必要か試算をして、過剰な不安感を持たないようにすることが大切です。
個々のご家庭の特色や性格はありますが、共働きの世帯は、専業主婦(主夫)のいらっしゃる世帯に比べて、収支や家計管理が大雑把であることが少なくありません。収入だけでなく、支出に対しても夫婦共通の認識を持つ部分を増やして、少しでも無理なくお金が貯まる家庭を目指してください。