ここ最近の夫は、それまで以上に様子がおかしく、週末はほとんど家にいません。平日の夜も帰りは遅く、週末は土曜の朝に出かけると帰りが日曜の夜になることも。出かける理由も不自然で、遠方の友人の結婚式が連続したり、友人の引っ越しの手伝いが連続したり……。
そもそも私は以前から、出産準備もしたいので、週末は予定を空けておいてほしいと夫に頼んでいました。夫にも付き合いがあるのはわかりますが、私はだんだん不信感を募らせていました。
ベビー用品を選ぶ夫。その隣にいたのは…
夫が引っ越しの手伝いと言って出かけた日、私はベビー用品をそろえるため、夫を買い物に誘っていました。ネット通販も便利ですが、やはり実物を見て、2人で一緒に準備を進めたかったのです。しかし夫は、「俺にはよくわからないから」と同行を拒否。結局、私はひとりで買い物に……。
お店に入り、ベビー服を見ていたら、ふと1組の男女が目に入り、私はあまりの衝撃で思わずフリーズしてしまいました。私と同じくらい大きなおなかをした女性と、その隣に夫がいたのです。
しかも夫は、私との買い物を拒んだときとは別人のような笑顔で、女性と楽しそうにベビー用品を選んでいます。「もうすぐ会えるね」と女性がおなかをなでながら話すと、夫もやさしい表情でうなずいていて……。
頭の中が真っ白になりました。夫は今日、友人の引っ越しを手伝っているはずです。立ち尽くす私と目が合った夫は、血の気が引いたように青ざめました。その様子に気づいた女性が、「どうしたの? 知り合い?」と夫に尋ねます。しかし、夫は何も答えません。
「この人の妻です」女性の顔色が変わり…
私は震える声で言いました。
「知り合いじゃありません。私、この人の妻です」
「妻って……どういうこと?」
女性は一瞬、何を言われたのかわからないような顔をしました。そして夫を見て、「どういうこと?」と問い詰めますが、夫は「違う、これは……」としどろもどろになるばかり。私は女性に、自分も妊娠中で、もうすぐ夫との子どもが生まれることを伝えました。すると女性は真っ青になり、おなかを押さえながらその場に立ち尽くしました。
話を聞くと、女性は夫から「独身だ」と聞かされていたそうです。交際を始めたころ、夫は「仕事が不規則で出張も多い」と説明しており、休日に会えないことがあっても、女性は仕事のせいだと思っていたとのこと。
さらに女性が妊娠してからは、「結婚はする。ただ、今は親の体調が悪くて、いろいろ落ち着いてから籍を入れたい」と言われ、結婚を先延ばしにされていたそうです。
女性はすでに妊娠8カ月。出産後に一緒に暮らすための部屋も探そうと言われ、生活費の一部も夫から受け取っていたため、まさか自分が既婚者にだまされているとは思っていなかったようでした。
「私、この人が浮気してるんじゃないかとは思ってたんです。でも……まさか、私のほうが……」
「誤解なんだ」言い訳する夫に、離婚を決意
女性はそう言って泣き出しました。私も、夫が不倫をしていたことだけでも信じられませんでしたが、別の女性に「結婚する」と嘘をつき、妊娠までさせていたことに言葉を失いました。
夫だけが私たち2人の間で、「話を聞いてくれ」「誤解なんだ」と繰り返します。しかし、何が誤解なのでしょう。妻である私には「友人の引っ越し」と嘘をつき、女性には「独身」だと嘘をついていたのです。
女性は何度も私に「ごめんなさい」と謝りました。しかし、話を聞く限り、女性も夫が既婚者だとは知らなかったようです。「あなたが謝ることじゃないですよ」私はそう伝えました。怒りの矛先を向けるべき相手は、目の前でオロオロしている夫です。
その場で女性と連絡先を交換し、私はいったん実家へ帰ることにしました。夫からは何度も「話し合いたい」「離婚だけはやめてくれ」と連絡がありましたが、私の気持ちは変わりません。
出産を目前に控えた妻に何カ月も嘘をつき続け、別の女性にも将来を約束するような言葉を重ねていた夫を、もう信じることはできませんでした。私は両親に事情を話し、弁護士にも相談。夫とは離婚に向けて話し合いを進めることになりました。
それぞれが子どもを守るために選んだ道
その後、弁護士を通して協議し、私は夫と離婚。夫には不倫について慰謝料を請求し、生まれてくる子どもの養育費についても取り決めました。離婚の際、義両親にも事実を伝えました。義両親はひどくショックを受け、「息子とは絶縁する」と話し、私に何度も謝罪してくれました。
一方、あの女性も夫との交際を解消。おなかの子どもについては、出産後の認知や養育費など、父親として必要な責任を果たしてもらうため、専門家に相談しながら手続きを進めることにしたそうです。
私と彼女はどちらも、夫との関係を終わらせることを選びました。そして何より、生まれてくる子どもたちの生活を守ることを最優先にしようと決めたのです。
その後、私は無事に出産。両親のサポートを受けながら、初めての子育てに奮闘しています。
◇ ◇ ◇
今回のように、信じていた相手から長い間うそをつかれていたと知れば、大きなショックを受けるのは当然。ましてや出産を控えた大切な時期なら、心身への負担も小さくありません。どのような選択をするにしても、自分と子どもが安心して暮らせる環境を第一に考えていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。