こんにちは、保育士の中田馨です。子どもを育てていると「あと少しでケガをしそうだったかも」という「ヒヤリ」と感じる場面に遭遇することがあると思います。この「ヒヤリ」とする感覚、実は大切にしてほしい感覚なのです。お家で過ごす時間が多くなった今、赤ちゃんにとって安全な環境についてもう一度確認してみましょう。
今回から保育園で実践している安全対策を紹介します。初回は睡眠時の安全対策についてです。
睡眠時に起きる可能性のある事故とは?
睡眠時に起きる可能性のある病気や事故には、乳幼児突然死症候群(SIDS)、窒息死などがあります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、それまでの健康状態および既往歴から、いつ起きるかが予測できない原因不明の病気です。リスク因子として、うつぶせ寝、妊娠中の喫煙、赤ちゃんの周囲での喫煙、人工栄養、未熟児、肺炎などが考えられると言われ、1歳未満児に多く起こります。厚生労働省HP「平成28年人口動態調査」によると、平成28年の0歳児の死因の3位に乳幼児突然死症候群(SIDS)が入っています。
例えば、保育園では乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息死を防ぐために、お昼寝時は5分に1回の呼吸、顔色などの体調面のチェックをおこないます。また、うつぶせや横向きに寝ていたら、その都度あお向けに戻します。ですが、これはあくまで保育園だからこそできること。家庭で寝ているときに5分ごとに睡眠のチェックをするなんてことは、現実的ではありません。
寝ているときの赤ちゃんのチェックポイント
保育園のように5分に1回のチェックはできないにしても、赤ちゃんが寝ているときに、気づいたタイミングで体調面のチェックしましょう。顔色は良いか、呼吸は落ち着いているか、汗をかいていないか、うつぶせ寝をしていないかなどをチェックします。顔色が悪かったり、呼吸が荒かったりなど気になることがあれば、声をかけて起こしてもいいでしょう。
汗をかいている場合は、タオルで汗を拭きとって着替えをし、寝具や室温の調整をしましょう。好んでうつ伏せになる子もいますが、うつぶせ寝をしているときはあお向け戻すようにします。あお向けにすると起きてしまうこともあるので、「せっかくぐっすり寝ているのに……」と思うところですが、あお向けになることが習慣になると、うつぶせからあお向けになっても起きなくなってきます。
寝具のチェックポイント
赤ちゃんが寝ている布団周りを、もう一度確認してみましょう。保育園では以下のように寝るときの環境を整えています。
・大人から寝ている様子が見えるところに寝かせる
・よだれかけを外す
・タオルケットなどの寝具が顔にかからないようにする
・布団のそばにぬいぐるみなどのおもちゃを置かない
・兄弟など年上の子どもが、簡単に手が届かない場所に寝かせる
最近のベビーベッドには、赤ちゃんがベッドの柵に頭を打たないように専用のクッションをくくり付けていることがあると思います。そのくくり付けているひもが緩んでいないかなども、定期的に確認するようにしましょう。
他にも、「まだ寝返りはしないから」と、ベビーベッドの柵を下げたままにしておいたり、ソファーの上に寝かせたりしていると転落することがあります。「もしも」のことを想定し、赤ちゃんが転落しない安全な場所で寝かせるようにしましょう。
部屋の明るさ・温度・湿度もチェック
部屋の明るさもチェックします。保育園では、お昼寝であってもある程度の明るさの中で寝かしています。その理由は、子どもの表情や顔色がわかるようにするためです。日中であれば、部屋の電気は消してカーテンを開けておきます。日差しが強い場合でも、レースのカーテンをする程度です。
夜にあえて明るくする必要はありませんが、おやすみモードの明かりをつけたり、ママのそばにライトを置いておくと、赤ちゃんの声が聞こえたときにすぐ対応できて安心です。
また、室温や湿度も意識しましょう。保育園では、冬は20~23度、夏は26~28度、湿度は60%に設定するようにしています。温度計を置く場所は、子どもの生活する高さにするのがポイントです。
家庭ではすべてをすることは難しいかもしれませんが、赤ちゃんの睡眠を安全に心地よくするためにも、できることから始めてみてください。