妊婦健診や母親学級では、妊娠中は体重が増えすぎないようにというお話があるかと思います。
それでも、妊婦さんの中には、努力しても体重がなかなかコントロールできすに、医師や助産師に体重増加について注意されてる場面もあります。今回は、妊娠中の体重についてのお話です。
体重が増えすぎないようにするのはなぜ?
妊娠中の急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になるリスクが高まり、母体や赤ちゃんの成長に影響することがあります。症状によっては、入院が必要だったり重症化すると母体や赤ちゃんが危険になることもあります。また、出産時にも陣痛が弱くなったり、赤ちゃんが大きくなり過ぎたり、産道が狭くなることで、赤ちゃんが通り辛くなり難産になることがあります。
必ずしも体重増加が大きいことで症状が出たり難産になるわけではありませんが、リスクが高まることは知っておいたほうがいいかと思います。
体重増加が多い妊婦さんに対して、少しきつく注意してしまう医師や助産師もいます。とくに、クリニックや産婦人科医院、助産院などはハイリスク妊婦に対応できない施設では、大きな病院へ転院や母体搬送などになることもあります。妊婦さんのことを思うがゆえの、注意喚起なのかもしれません。
体重が増えなさ過ぎるのもよくない?
1990年ごろまで妊婦の太り過ぎが問題視されていたことから、「太り過ぎてはいけない」という指導を行う産婦人科医が多くいました。しかし、近年では2500g未満の低出生体重で産まれる赤ちゃんが増えたため、やせ型や標準体型のママに対しては、これまでより体重を増やして構わないという、妊娠中に痩せすぎない指導も行われています。
低体重児出産の増加に伴い2021年3月には、妊婦の適正体重に対する指標も見直されることになりました。
適正体重はどう変わった?
妊娠中にどのくらいの体重増加が望ましいかは、妊娠前のママの体型がどうなのかBMI値(体格指標)を知ることから始まります。
【BMI値(体格指標)の算出方法】
体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
これを元に、適正体重をみていきます。
適正体重とは、妊娠から出産までの期間中「体重増加をこれくらいにできるよう管理しましょう」という指針です。
【BMIと適正体重の指標】
妊娠前のBMI 妊娠中の適正体重(改正前)
BMI18.5未満(痩せ)・・・・・・ 9〜12kg
BMI18.5以上25未満(普通)・・・7〜12kg
BMI25以上30未満(肥満)・・・・個別対応
BMI30以上・・・・・・・・・・個別対応
妊娠前のBMI 妊娠中の適正体重(改正後)
BMI18.5未満(痩せ)・・・・・・12〜15kg
BMI18.5以上25未満(普通)・・・10〜13kg
BMI25以上30未満(肥満)・・・・7〜10kg
BMI30以上・・・・・・・・・・上限5kgを目安に個別対応
BMI30以上を除き、いずれも従来の体重増加の指標よりも増量を促すことになっています。
妊娠中の体重管理は、増えすぎてしまう妊婦さんにとってはストレスになることもあります。だからと言って、自己判断で食事制限や過剰な運動をするのはやめましょう。妊婦さんは、赤ちゃんのために必要な食事は取らなければいけないので無理な食事制限はできません。ウォーキングやスイミングなどの運動も効果的ですが、妊娠経過によっては運動に制限がかかることもあります。
いろいろ努力してみても、体重増加が多くなってしまう場合は、ひとりで悩まずに、医師や助産師、栄養士に相談してみてくださいね。