「相手の親を出してください!」はNG
特に低年齢児の場合、保育園で過ごしていると「噛まれた」、「引っ掻かれた」などが起きてしまうことがあります。しかも、いつも同じ子が同じ子を噛むことが多いのです。保育士としても「あぁ、また防ぐことができなかった」と落ち込んでしまうことなのですが、保護者の方も同じ気持ちだと思います。
「どうして毎回、うちの子ばかり噛まれるんですか?」と、その思いを保育士に相談することもあると思います。時には感情的になり「相手の親を出してください」と言われることもあるのですが、責任はすべて保育園にあります。
実は、噛まれる側がきっかけを作っていることもあります。私の保育園のAちゃんはBちゃんを何度か傷つけてしまいました。直前に大きなトラブルがあるわけではないので、疑問に思って見守っていました。
すると、わかったことがありました。Aちゃんの安心できるパーソナルスペースは、ほかの子に比べ広かったのです。好意的にBちゃんが近くに寄ってくるのが、Aちゃんにはしんどかったのでしょうね。
保育園に相談する場合は、子どもの性格の背景や過ごし方など確認してみると、それぞれの子どもに思いがあったことがわかり、傷つけられた原因が見えてくるかもしれません。原因がわかれば、保育園に対応してもらいやすくもなります。
言ってほしくない言葉を注意するのはNG
これも本当に保育園あるあるなのですが、親が使ってほしくない言葉は保育園で覚えてくることも多いようです。特に年齢層の広い保育園では、年上の子どもたちから毎日たくさんの言葉のシャワーを浴びていますので、言葉を発し始めた子どもはすぐに取り入れます。子どもにとって、今それが流行りですので、ある程度その言葉を使うことは仕方ないと思ってください。
そんな使ってほしくない言葉に関して、「保育園で〇〇と言っている子がいるんですか?」と保護者の方に相談されることがあります。対策としては、大人が言ってほしくない言葉は「反応しない」が一番効果的です。
「それは言わないで」、「言ってほしくないな」もNG。「あっ」と表情で反応するのも避けましょう。聞こえていない、私は知らない、とスルーするのです。最近知ったおもしろい言葉を使いたくて仕方ないのですから、大人が反応するとうれしくなってどんどん使うのです。
ただし、人を傷つけるような言葉に関しては「それ言ったらお母さんかなしい!」と強く叱ってください。
余談ですが、「保育園で〇〇と言っている子がいるんですか?」とおっしゃったお母さん。「いませんね」と伝えると、後日「先生、あの言葉はうちのお兄ちゃんでした」と。子どもは、親やきょうだい、テレビ、動画など、さまざまな場面で言葉の獲得をします。保育園だけが使ってほしくない言葉の獲得の場ではないことも知っておいてくださいね。
保育園でお友だちと関わり遊ぶことは、ここから長い人生の人間関係構築の土台づくりです。お友だちとの関わりで気になることがある場合は、まずは保育士に相談してみましょう。