今まで、ケガをしたら傷を消毒して、ガーゼを当てて乾燥させる治療法が一般的でしたが、今は「湿潤療法(しつじゅんりょうほう)」と呼ばれる治療法が主流になってきています。
湿潤療法は、ケガをしたら流水でよく洗い流し、被覆材(ひふくざい)で傷口を覆い、乾燥させない治療方法のことです。この湿潤療法に基づいて、実はやってしまいがちな手当てについて解説します。
NG1:「ケガをしたらすぐ消毒」はNG!
お子さんが転んでひざを擦りむいたとき、消毒液でちょんちょんと消毒しておしまいにすることはありませんか? 実は、消毒するだけなのはあまり良くありません。
消毒は絶対にしてはいけないものではないですが、消毒することで大事な細胞を傷つけたり、良い菌まで殺してしまうとも言われており、基本的には不要です。消毒よりもしっかり洗い流すことを大切にしましょう。
擦り傷、切り傷ができてしまったら、まずは流水でしっかり洗いましょう! 砂や泥などが傷についたままだと感染の原因になります。水でジャージャー流して傷をきれいにすることが大切です。
NG2:「洗わず絆創膏」はNG!
ばい菌は栄養たっぷりな血液が好物です。傷口をしっかり洗い流さずに絆創膏を貼ってしまうと、化膿する原因になりますので、注意が必要です。絆創膏を貼りっぱなしにするのも、感染予防の観点からは避けましょう。
NG3:「傷口を乾かす」のはNGな場合も
傷を乾かさない湿潤療法のほうが傷が早く治るため、今は「傷は乾かさないほうがいい」と言われています。とはいえ、湿潤療法は上記「NG2」のように感染の危険も少しある治療法なので、個人的にはすべての傷を湿潤療法で治すほうが良いとは思っていません。
軽い擦り傷程度であれば、しっかり洗ってそのまま放置でも良いかと思います。乾かすか乾かさないかは傷の状態によって判断し、心配なら受診して様子を診てもらいましょう。
正しい傷の治療方法は?
軽い傷の場合、傷口を流水で洗ったら、しっかり拭いてそのままにしても良いでしょう。血がにじむような傷の場合は、傷を洗い流したあと、水分をしっかり拭き取って、湿潤療法対応の市販の絆創膏をペッタリ貼りつけます。ジョンソン・エンド・ジョンソンの「キズパワーパッド(TM)」はこの治療方法を用いた商品として有名ですね。
湿潤療法の絆創膏の場合、1~2日に1回貼り換えながら様子を見ていきます。貼り換えはお風呂のあとで良いと思いますが、化膿していそうなど心配な兆候があったら、再度洗って受診をしましょう。絆創膏から体液(滲出液/しんしゅつえき)が溢れてきた場合は、その都度貼り換えましょう。
傷はしっかり洗い流し、清潔を保つことが大事!
傷の処置で一番大切なことは、ばい菌による化膿を防ぐことです。そのためには消毒よりもしっかり傷口を洗い流すことが大切です。傷口に血や砂、泥が残っているのは危険です。
洗っても砂などが残っている、なかなか血が止まらない(じわっとしているくらいなら大丈夫なことがあります)、傷がパックリ割れている、動物に咬まれた傷などは診察を受けたほうが良いので、外科や皮膚科の先生に診てもらいましょう。傷跡が残ると目立ちやすい場所の傷は、形成外科が一番適切かもしれません。適切な対処法でスムーズにケガが治ればいいですよね!