コロナ禍で無痛分娩を断念。覚悟を決めて自然分娩に!
髙橋さん:はい。最初は東京で産もうかなと思っていたんですけど、予定日の2月に旦那が家にいるのかわからない状況で、旦那も「1人目でわからないことも多いから、自分のお母さんの近くで産むのがいいんじゃない」って言ってくれたので、地元の奈良県で自然分娩にて出産する予定です。痛みに弱いので、無痛分娩がいいなと思っていたんですけど、地元で唯一、無痛分娩ができる病院が、コロナ患者の受け入れをしていて、無痛分娩できるかわからないようだったので、もう腹をくくって自然分娩にするしかないなって思いまして。今は毎日、出産レポを読んだり、友達に出産の体験談を聞いたりしていて、覚悟を決めています(笑)。
ーパパはスケジュールが合えば、立ち合い出産をご希望ですか? コロナ禍では立ち合い出産も産院によって対応が異なるようですが、髙橋さんの出産される産院ではいかがですか?
髙橋さん:私は自分のお母さんに立ち合ってほしかったんですけど、お母さんに「いや、そこは祐樹くん(パパ)でしょ」って言われました(笑)。でも、旦那もそういうシーンを見るのが無理っていう人じゃないし、立ち合いたいと思ってるようなので、旦那の立ち合い希望で産もうと思ってます。産院からも、そこまで細かいことはまだ言われていないんですけど、立ち合い自体は可能みたいです。
ーパパのスケジュール、合うといいですね!
髙橋さん:はい。それだけを願ってます!
苦しいことも楽しんで、お母さんのような親に!
ー妊娠報告をされたときに、「自分のお母さんのような母親になりたい」と書かれていましたね。お母様にそのことを直接伝えたりしましたか?
髙橋さん:この間、実家に帰ったときに、お父さんに「あの文章をお母さんが読んで、すごい感動してたよ」って言われたんですけど、そのときも「もうマジで本当にそう思ったよ! 」って伝えました。私はいつも、競技のときでも、悪いことも「大丈夫、どうにかなるや! 」って思える、ポジティブなタイプなんです。でも、つわりで自分の身体がきつかったときは、早く終わらないかなーとばかり考えてしまって、すごいネガティブになってしまったんです。まだ産んでもいないのに、ふと「お母さんってこれを2回も乗り越えたんだな」って、お母さんのすごさと、ありがたみを改めて感じたんです。
ーそうなんですね。では、”お母さんのような母親になりたい”と思う理由を教えてください。
髙橋さん:私は2人姉妹で、妹とお父さんとお母さんと、とても家族の仲が良かったんです。私がバドミントンを本格的に始めるまでは、毎年旅行や遊園地や、いろんなところに連れて行ってもらって、親なんだけどなんでも言い合える友達みたいな感じで、子どものときは楽しい思い出しかないんです。なので、髙橋家のような家族になりたいし、自分のお母さんみたいな親になりたいし、今まで自分がしてもらったことを子どもにもやってあげたいってすごく思います。
ーお子さんが生まれたら、”こんな育児をしたい”っていうイメージはありますか?
髙橋さん:育児を楽しみたいなと思っています。バドミントンをやっていた選手時代ははつらかったんですが、それを乗り越えたんだから、育児も絶対乗り越えてやる! って強い気持ちを持てるようになりました。
ーやっぱり家族3人でバドミントンをするんでしょうか?
髙橋さん:お父さんも日本代表で活動してて、お母さんもオリンピックに出ているので、子どもがバドミントンをやるとなると、両親と比べられてしまうと思うので、それはかわいそうだなぁって思って。なので、できればなるべくやらせない方向でいきたいです。ただ、子どもがやりたいって言ったら全然いいですけど、教えるのは旦那に任せます。私は一歩引いて見てる感じがいいですね。
母、妻、指導者として、周りに頼りながら頑張りたい
ー競技を引退されてから、妊娠前にやりたいお仕事が見つかったとも仰っていましたが、詳しく教えていただけますか?
髙橋さん:引退してから、人前に出てしゃべったり、テレビに出たり、バドミントンの指導をするお仕事をさせていただいています。その中で、やっぱり私はバドミントンを教えているときが一番自分が楽しそうにやっているなと感じました。子どもに教えることが増えて、初心者の親子教室や、「ライオンのグータッチ」という番組もさせていただいて、指導者として教え子が結果を出すことが、こんなにうれしいんだ! って感動を味わいました。競技を引退したらバドミントンとは距離を置きたいと考えていたのが、一気に変わっちゃって、教える仕事は続けていきたいなと思っています。子どもができたから辞めたいっていうのはないし、必要としてくれるなら、もっともっと教えていきたいですね。
ーパパは競技生活の中で、育児分担や関わり方についてお話されますか?
髙橋さん:遠征や合宿で家にいないことが多くなるから「絶対忘れられちゃうよ」ってからかうと、旦那は「いや、普段ママとずっと一緒にいて怒られたりしてるから、パパが帰ってきたときに甘やかせば、絶対俺に懐く」みたいに言っていて(笑)。旦那的には、とりあえず、私が怒ってパパは甘やかすっていうのが理想みたいです。ただ、私もワンオペ育児が多いことを想定しながら、やっていかないといけないですね。
ーそれについて、髙橋さんはどう思いますか?
髙橋さん:結局はずっと子どもと一緒にいるのは私なので、私に甘えてきますよね(笑)。でも「どっちが好き? 」って聞かれて、「どっちも好き! 」って言ってくれるような子にしたいな。パパが家にいないことが多い分、寂しい思いもさせちゃうこともあるとは思うんですけど、旦那もちょっとでも時間があれば電話してくれると思うし。私もなるべく家や子どもの状況を伝えて、離れているときも2人で育児していきたいですね。とはいえ、アスリートである旦那は、練習もきついですし、睡眠時間も大切なので、負担にならないように私も頑張っていけたらと思います。
ー髙橋さんご自身も、頼れるところは頼って、無理なさらないでくださいね。
髙橋さん:はい、ありがとうございます。旦那の実家が埼玉なので、サポートもしてもらいながら、みんなで育てていきたいなと思っています。
ー最後に、これからママになる方たちに、メッセージをお願いします。
髙橋さん:コロナ禍の妊娠・出産・育児ということで、やっぱり大変なこともあると思います。私も、産後も旦那が何カ月もいないことが増えると思うし、みなさんも、旦那さんが外で働いている方が多いんじゃないかなと思うので、すべてを1人でやろうと抱え込むんじゃなくて、誰かに頼りながらやっていきたいですよね。私もみなさんと一緒に頑張っていけたらなと思います。
今回髙橋さんに取材のオファーを送ると、「同じような悩みを抱えている方に向けて、私の体験や経験を発信することで、誰かのお役に立てれば……」と前向きに快諾してくださいました。インタビューの質問にも丁寧に答えてくださり、どうもありがとうございました! 初めてのご出産ということで、期待も不安も大きいかと思いますが、ご無事に出産日を迎えられることを願っております。
PROFILE:髙橋礼華さん
1990年4月19日生まれで、奈良県橿原市出身。日本の元女子バドミントン選手。松友美佐紀さんと「タカマツ」ペアとして女子ダブルスで活躍。第17回アジア競技大会では準優勝。2016年10月30日付の女子ダブルスのBWF世界ランキングでは1位に輝く。そのほか、数々の試合で好成績を残し、同年のリオデジャネイロオリンピックでは、松友と女子ダブルスの代表に選出され、オリンピックでの金メダルを獲得した。2020年8月に現役引退を発表。また、同年の12月、日本ユニシスのチームメイトであった金子祐樹との結婚を発表する。