周りから印象が良くない国
私の親はアメリカやイギリス、オーストラリアなどが「普通のきちんとした国」であって、夫が転勤することになったA国は普通ではない国という認識でした。特に日本人からすると印象の悪い国ということもあり、周りにA国へ行くことを伝えると、あまり良い反応はしてもらえませんでした。
心配してくれているのかもしれませんが、「空気や町が汚いから〇〇病になる」「民度が低くて治安も悪いらしい」など不安を煽るような、ネットで見ただけの悪い噂話をされることがとても多かったです。
「子どもがかわいそう」のオンパレード
A国の悪い噂を聞かされたあと、周りからかけられた言葉が「子どもも一緒に連れて行くの? かわいそう……」でした。「空気が汚いから子どもが病気になるかもしれない、それでもいいの?」「子どもを連れて行くのは親のエゴ」「言葉も通じなくてお友だちもいないところに行くなんて、子どもはかわいそうだね」という心ない言葉を次々にかけられました。
息子を誰よりも一番に愛している私は、子どもを海外に連れて行くべきかよく考えました。そのうえで出した結論でしたが、周りから言われた言葉を思い出しては悲しくなり、息子に対する罪悪感にも似た感情を拭いきれないまま日本を出国しました。
現地の子どもたちと遊ぶ息子
私と息子はA国に到着してからしばらくは、現地の生活になかなか慣れずにいました。公園に行っても、周りで遊んでいる子どもたちを横目に息子と2人で孤立して遊ぶことが多かったです。
ある日、公園に行くと顔は知っているけど話したことのない現地のママさんが、息子に向かって一緒に遊ぼうとジェスチャーを使いながら話しかけてくれました。すると周りの子どもたちも集まってきてくれて、一緒に滑り台を滑ったり、シーソーに乗ったり、追いかけっこしたり!
言葉はわからなくとも、息子は現地の子どもたちと目をキラキラさせながら遊んでいました。今ではお友だちが家に帰ろうとすると、泣いて嫌がるほど現地の子どもたちと遊ぶことを楽しみにしています。
周りから「子どもがかわいそう」と言われ、気にしないようにしようと思っても、どうしても胸に何か引っかかるものがありました。しかし、息子が現地の子どもたちと楽しく遊んでいる姿を見て、かわいそうかどうかは周りではなく、子ども自身が決めることだと改めて気付かされた体験でした。
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監修/助産師 松田玲子
イラストレーター/ちひろ
著者:米久 熊代
1歳児男児の母。人材会社や人事の仕事を経験し、夫の転勤を機に退職。現在はフリーランスとして前職関係の仕事とライターをしながら、プレママ・新米ママ向けブログを運営中。