これからお産が始まると直感…
出産予定日10日前の夜中の出来事です。これといって生まれそうな気配もなく、健診のたびに体重が増え大きくなるおなかの赤ちゃんに恐々しながらも、その日も先生に「まだ生まれそうにないね」と言われて帰りました。
夜中の2時ごろトイレに行きたくなり起きた私は、トイレを済ませ、キッチンにあった食器を洗って布団に戻りました。しかし、再びトイレに行きたいと思ってトイレに行くと少し出血が……。
このときはまだ陣痛らしきおなかの痛みはありませんでしたが、「これは1人目のときと同じだ!」と、1人目の陣痛開始のときと同じ雰囲気だったのでこれから陣痛が始まると直感し、入院準備の確認を始めることに。
入院の準備をしているとおなかが痛くなってきて、「やっぱり……」と思いつつ、まだまだ痛みは強くはなく、動ける余裕がありました。間隔を計ってみると5分間隔……。これも1人目のときと同じで、はじめから間隔が短いのが私の陣痛の特徴のようでした。
突然の痛みに身動きがとれず…
するとそのとき、普段はどんなことがあっても起きない夫が珍しく起きてきたのです。「どうしたの?」と聞かれ、「たぶん陣痛。間隔何回か計ってから病院に電話するわ」と伝えると、夫はトイレへ。夫が戻って来たときには5分間隔が3回、4回続いていたので、病院へ電話することに。
電話口で、陣痛が始まってまだ20分くらいしか経っていないけれど、5分間隔であること、1人目も同じような感じで出産まで6時間と早かったこと、出血もあったことなどを伝えると、「経産婦さんだとさらに早く生まれることもあるので、念のため病院に来てください」と言われて電話を切りました。
その途端、今までの痛みとはまったく違う痛みが襲ってきたのです。「いたたたたー!」と叫びおなかを抱えて動けなくなる私。
「早く車へ乗って!」と焦る夫。痛みが治まっても次の痛みまで1分くらいしかなく、痛みの余韻もあってなかなか動けず、痛みと痛みの間に移動できる距離はわずか。
この痛みは「ただ事じゃない」と思い、痛みの合間で夫に「病院に電話して」と伝えましたが、「病院の電話番号は?」と今さらなことを言う始末……。携帯電話に登録させておけばよかったと思っても後の祭り。
なんとか私の携帯電話のロックを解除し、電話してもらったところで痛みが最高潮……。部屋から3mくらいしか離れていない玄関にようやくたどり着いたところで病院に電話がつながり、夫がどうすればいいか対応を聞いていたとき、私は「もう動けません! 痛い!」と叫んでいました。
ズボンの膨らみの正体とは……!?
そしてそのとき、突然痛みがなくなり、「動ける! 今なら行ける!」と立ち上がったら、股に違和感が……。
ふと足の間を見ると、パジャマのズボンの中に何やら膨らみが。
「赤ちゃんが……!」と急いでズボンを下ろすと、膜に包まれたままの赤ちゃんがズルリと出てきてしまったのです。
夫が急いで膜を破ると赤ちゃんが見え、泣き声も聞こえました。電話越しに助産師さんが慌てているのが聞こえてきましたが、私は突然の出産に放心状態。夫がなんとか状況を説明し、赤ちゃんを冷やさないようにバスタオルに包んで病院へ連れて行くことに。
車に乗せるまで、私は自分で赤ちゃんを抱き抱え、まだつながっているへその緒に気をつけながら駐車場まで歩きました。車に乗ろうとしたところ、ズルリと胎盤が出てきた感触があったので下を見ると、駐車場に胎盤が落ちてしまいました……。
自分で胎盤をつかみ上げ、胎盤も車に乗せて夫の運転で病院へ急ぎました。夜中だったこともあり他の車が走っていなかったので、5分くらいで病院へ到着。こんな事態なのにコロナ禍もあって中に入れない夫は、無念にも駐車場でバイバイすることに。
1人目を上回る出生体重!
赤ちゃんは3,700gのビッグベビー。少し低体温になっていましたが、とても元気で、半日保育器に入っただけでなんの問題もないとのことでした。私は、股も切れてなかったようで「縫う必要もないね」と先生に言われ、他に異常もなく、母子共に健康で奇跡の自宅出産となりました。
入院中、あらゆる看護師さんや助産師さんに「あんな大きい赤ちゃん、よく自宅であのスピードで産めたね」と感心され、出産に慣れている人たちたちにとっても珍しいことなんだなと実感しました。
ちなみに夫は、病院からすごすごと帰って、部屋の中や駐車場に散らばった血を明け方の眠い中、必死に掃除していたそうです……。
2人目は早いと聞いていましたが、まさかの陣痛開始から出産まで40分もないスピード出産でした。しかも本気で痛い陣痛は10分くらいだったと思います。2人とも無事だったので笑い話、武勇伝として話せますが、「夫がいるときの陣痛でよかった。そして赤ちゃんに本当に何もなくてよかった」と思うと共に、もし3人目を産む機会があるなら、今度はどれだけ早く出てくるのか……と、ふと思うのでした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:すほママ
3歳と1歳の女の子のママ。親戚も友だちもいない土地にて専業主婦として家事に育児に大忙しの日々を過ごす。毎日、娘たちとどう過ごすのか、どこに行くかを考えるのに、頭を悩ませている。