では、コロナ禍で結婚が決まったとき、リモートワーカーは会社への結婚報告をどのようにおこなうべきなのでしょう?
コミュニケーションマナー講師・松原奈緒美さんに、『コロナ禍でリモートワークが続いている状況での会社への結婚報告のマナー』についてお話を伺いました。
結婚報告をする場合、ベストな報告手段は?
現状がリモートワークで、対面での結婚報告が叶わない場合は、メールで報告するのがベストです。
本来はやはり、直接顔を合わせて結婚報告をすべきなのですが、リモートワークで出勤する機会がないのであれば、リモートワーク中に連絡がとりやすい通信手段でもっともフォーマルな、メールを選ぶことをおすすめします。メールはチャットやビデオ通話よりもフォーマルな通信手段ですし、メールであれば、上司や同僚が手の空いた時間にメールを開くことができ、相手の都合も考慮できるという利点もあります。(松原さん)
Q.チャットでの結婚報告は避けるべき?
Q.普段から社内連絡でチャットをメインにしている企業も多いと聞きますが、チャットでの結婚報告は避けるべきでしょうか?(編集部)
A.できれば、簡易的な印象となってしまうチャットは避けて、メールで連絡をするほうがいいです。しかし、普段からチャットしか使っておらずメールでの連絡ができない場合は、チャットでもいいと思います。(松原さん)
Q.オンラインでのビデオ通話や、電話で結婚報告するのはOK?
A.オンラインのビデオ通話をする機会があり、話せるような環境であれば、その際に報告するのもいいかと思います。そのときは、上司への報告は1対1でおこなうようにし、相手の時間に余裕があるか状況を考慮した上で、「私事ですが」と、プライベートな内容であることを伝えて報告するようにしましょう。また、普段から頻繁に電話をとりあっているのであれば、電話での報告もいいと思います。(松原さん)
会社に結婚報告をするときの正しい順番は?
リモートワークに限らず、会社への正しい結婚報告の順番は、
直属の上司
↓
上司の上司
↓
同じ部署の同僚
↓
他部署の同僚
↓
総務関係の部署
です。
この順番を守らなかったときにどうなるかというと、例えば、仲の良い同僚に、上司よりも先に結婚報告をしたとしましょう。すると、その同僚から上司に結婚の話が漏れたりして、上司が「聞いてないんだけど…」と気分を害してしまうこともありえるのです。
そのため、結婚報告をする際は、できるだけ上記の順番を守るようにしてください。もし、やむを得ない状況で、上司よりも先に、仲の良い同僚に結婚報告をしてしまった場合は、上司への報告がまだであることを伝えて、口止めしておきましょう。順番を守れていないと、上司から「結婚報告すらきちんとできないなんて、普段の仕事でも、コイツは報連相ができていないはずだ」と思われ、あなたの仕事に関する評価が下がってしまうおそれもあります。(松原さん)
Q.社長に自ら報告すべきかどうかは、どうやって判断すればいいの?
A.自ら社長に結婚報告すべきかは、会社の規模によります。会社の規模が小さい場合(従業員数が数十人程度)や、社長と会議やメールで直接やりとりをする機会がある方は、自ら社長に報告したほうが良いでしょう。逆に、会社の規模が大きく(従業員数が数百人以上)、社長と普段から接する機会がない方は、社長に自ら報告する必要はない場合が多いでしょう。
もし、社長に自分から報告すべきかどうか迷った場合は、最初に結婚報告をした上司に相談してみるのも、ひとつの手です。そのときに上司が「伝えておくよ」と言ってくれるかもしれません。また、過去に結婚した先輩にそれとなく「社長への結婚報告はどうしましたか?」と探りを入れてみるのも、いいかと思います。(松原さん)
同じ部署の同僚・他の部署の同僚には、別々に連絡すべき?
A.これに関しては『一斉送信でもいい』とは言い切れず、他部署との接点や関係性、会社規模によって異なります。
そもそも、会社規模が大きく従業員数が多い場合は、必然的に、自分と関わりのない他部署も多くありますよね。その場合は、他部署への結婚報告が必要とは限らず、自分が所属している部署に加えて、普段から接点のある他部署だけに報告するのが自然かなと思います。
本来は、同じ部署→他の部署の順で別々に送るものですが、他部署との距離感がとても近い場合は、まとめて一斉送信でもいいかもしれません。まとめて送信する場合には宛名の書き方に迷う方もいるでしょう。所属部署と他部署の一斉送信の場合には、宛名を『関係各位』とします。
一斉送信による簡易的なあいさつという印象を避けたい場合は、宛名を『○○部各位』とし、別々に送るようにすると、それぞれの部署の方々によりていねいな印象を与えられるでしょう。(松原さん)
結婚報告のメールの文面はどうすればいい?
今回はコロナ禍ということを踏まえて、結婚式を親族のみで挙げることが決まっており、個人宛てに結婚報告をする際の例文をご紹介します。
結婚報告メールで気をつけたいのは、相手が知りたい情報を先回りして考えた上で記載することです。
■親族のみで結婚式をおこなう場合のメール文面
いつもご指導いただき誠にありがとうございます。(日頃のお礼)
私事で恐縮ですが、この度結婚する運びとなりました。(結婚の報告)
コロナ禍ということもあり、挙式は親族のみでささやかにおこなう予定です。(挙式の予定)
なお、結婚に伴い、名字が変わりますことを併せてご報告させていただきます。
新しい名前は、○○ △△です。(名字の変更)
今後は仕事と家庭を両立できるよう精進してまいりますので、今後ともご指導よろしくお願いいたします。(結婚後の働き方)
本来ならば、直接お会いしてお伝えすべきところ、メールでのご報告となり失礼いたします。(メールでのご連絡となったことのお詫び)
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。(今後のお願い)
(署名)
また、ご自身の状況に応じて、以下を参考に文面を変えるようにしましょう。
■挙式の場合
(結婚式を挙げない場合)入籍のみとなるため、結婚式や披露宴はおこなわない予定です。
(結婚式に招待する場合)結婚式は○月○日に○○ホテルにておこなう予定です。○○部長(同僚の場合は「○○さん」)にも、ぜひご列席いただきたいと存じます。式の詳細については、後日あらためて招待状を送らせていただきます。
■結婚後の働き方
(退職する場合)結婚後は退職させていただく運びとなりました。
ちなみに、結婚報告をする時点で挙式や名字をどうするか決まっていない場合は、その旨を正直に伝え、後日、決まった段階で改めてお知らせするとよいでしょう。(松原さん)
リモートワークでも業務時間外を避けて結婚報告すべき?
『結婚報告はプライベートなことなので、できるだけ就業時間外におこなうのがマナー』と聞きました。コロナ禍でリモートワークであったとしても、メール・ビデオ通話・電話・チャットでの結婚報告は、業務時間外におこなうべきなのでしょうか?(編集部)
どの時間帯に結婚報告をすべきかは、ケースバイケースといえるかもしれません。ポイントは、相手の仕事に支障をきたさないタイミングを見計らうことです。
メールやチャットで結婚報告をする場合は、相手が手の空いたタイミングで内容を確認できるよう、就業時間前の朝の時間帯に送っておくのがいいでしょう。
ビデオ通話や電話で報告する場合は、あらかじめ、業務開始前もしくは休憩時間中に、メールで上司に「プライベートに関する報告があります」と伝えた上で、上司の都合の良い時間を伺ってみてください。その際、上司に「次の面談のときに聞くよ」と言われたらそれに従うなど、相手の都合に応じて調整するのがベターです。(松原さん)
会社への結婚報告はいつまでにすべき?
コロナ禍でリモートワークになっていたとしても、結婚報告のタイミングに影響はしないものです。結婚はプライベートなものですが、社内の手続きや業務に関わることです。報告は早めにしたほうがよいでしょう。
先に結婚式をおこなう場合は、挙式の3カ月前くらいが適切です。新婚旅行を予定している場合は、新婚旅行に行く3カ月前くらいには会社に報告するようにしましょう。先に入籍をする場合は、できれば入籍の1カ月前には伝えておきたいところです。
急遽、入籍が決まった場合でも、社内手続きなどを考えると入籍前には伝えるのがベターです。急に結婚することが決まった場合も、できる限り早く伝えるよう心がけましょう。(松原さん)
今回は、コミュニケーションマナー講師である松原さんに、『コロナ禍における会社への結婚報告のマナー』についてお話を伺いました。インタビュー中、松原さんの回答でもっとも印象深かったのが、「マナーとは引き算なんです」のひと言。
マナーには一般通念上「こうするのが一番フォーマル」という方法があります。でも、状況によってそれが叶わない場合は、そこから相手の目線に立った上で引き算をしていき、今の自分にできるベストな選択をすることが、大切なのだそうです。
今まさに会社への結婚報告で悩んでいるという方は、ぜひ参考にしてくださいね。
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