ハタチが結婚適齢期?!昭和のお見合い事情
私が結婚したのは27歳、1985年の話です。当時は20歳を過ぎると、まわりから結婚をせかされることが少なくありませんでした。結婚する気持ちがなくても、親戚や近隣にいる「おせっかいなおばさん」が仲人になって、お見合い話を持ってこられることが多かったのです。
しかも、本人ではなく親に話がいくことがほとんど。私の場合、父が営業の仕事をしていた関係もあり、お得意様が持ってくるお見合い話は断ることができませんでした。相手方から「一度会うだけでいいから」と言われると、どうすることもできません。下手に断れば「あの家は調子に乗っている」と悪評が付くので、親も断り切れずにいたのです。
このように私が結婚した時代は、自分から婚活しなくても結婚相手に出会うことは十分可能でした。もちろん、恋愛結婚した人も少なくありませんが、異性に声をかけるのが苦手な人にとって、まわりからのお膳立ては大変ありがたかったのです。しかも、ある程度の年齢に達したら結婚するのが当たり前の時代でした。そのため、27歳まで独身でいた私は、かなり浮いていたのが事実です。近隣に住む年配の人から意見されるのに親が耐えられず「早く出ていけ」と言われたことは一度や二度ではありませんでした。
勝手に進む見合い話
せっかくお見合いをしても、相手を気に入るかどうかはわかりません。もし、お見合い後にお断りの電話を入れても、仲人さんからは「もう一度だけ会ってほしい」と懇願されてしまいます。私の場合、仲人さんへの連絡はすべて親を介する形でおこなっていました。親が少しでも妥協してしまうと、私の意に反して結婚話がトントン拍子に突き進んでいくのです。
結婚は当人同士が同意すれば成立しますが、家と家とのつながりという考え方も少なからず残っていました。そのため、新郎新婦の気持ちは二の次といっても過言ではありません。私がお見合いした男性のなかにも、結婚に消極的な人がいました。ただ、親に意見できず納得いかないまま結婚する人もいたのです。
お見合い相手と結婚指輪を買いに行ったけれど…
Aさんとのお見合いは典型的な事例でした。彼との出会いは、父の仕事関係者からの紹介でしたが、私自身は結婚に対して積極的になれずにいたのです。Aさんも同じ気持ちだったと思います。しかし、お互いに断るタイミングを逃した結果、ついに指輪を購入する話にまで進んでしまったのです。その日は、Aさんと彼の両親、私の4人で宝石店まで車で出かけました。Aさんが運転して私が助手席に座っていましたが、Aさんが私に話しかけることは一度もありませんでした。それどころか、Aさんの嫌な面を見せつけられてしまったのです。
事件が起きたのは、お店の場所確認のためにAさんがお店に電話をかけたとき。車から降りて公衆電話に向かうAさんに対して、後部座席にいた彼の母が「市外局番からかけるように」と言ったのです。その言葉を聞いた私は固まってしまいました。いくつになっても子どもはかわいいものですが、結婚しようとしている大人にこれほど過保護な親がいるとは思ってもみなかったのです。親からそう言われたAさんは、さすがに気まずそうでしたが、私の気持ちは一気に冷めてしまいました。このエピソードが決定打となり、Aさんとの縁談をお断りすることができたのです。
私が結婚した時代は、自分の気持ちが置いてきぼりな状態で結婚の話が進むことも少なくありませんでした。私自身もお見合いをした相手とあれよあれよという間に、縁談が進んでいってしまいましたが、最後は自分の意思を守ることができてラッキーだったと思います。
著者/匿名希望
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