ある日、指先に痛みが!
まるで魔女の手のように…
手指の異変を感じ始めたのは、40代に入ったころ。夫は単身赴任中、私はライターの仕事をしながら、サッカー少年だった小学生の息子と幼稚園に入ったばかりの娘を孤軍奮闘で育てていたときのことでした。
いつものように長男の泥だらけのサッカーソックスを手洗いしていると、指先に痛みが走りました。
指を見てみると手指の第一関節が赤くなっていて少し腫れていましたが、靴下を強くこすり洗いし過ぎたせいだろうと気にも留めませんでした。
ところが痛みは次第に増して、固い瓶のフタを開けたり、重い荷物を持つときにも支障が……。やがて、両手の第一関節が硬く腫れ、指先が曲がり始めました。
すぐに病院に行かなかったのは、母が同じような手をしていたからでした。痛みがない日もあり、単なる老化現象だと考えて放っていました。
そんなある日、けがをした長男を整形外科に連れて行った待合室で、思いがけず自分の手指に起こっていることを知るのです。
診断は変形性関節症「へバーデン結節」
待合室には、骨や関節の疾患を紹介するパンフレットがたくさん置かれていました。長男の診察まで時間つぶしに眺めていると、あるパンフレットのイラストが目に飛び込んできました。
パンフレットには手指の第一関節が赤く腫れ上がったイラストが描いてありました。そこには「へバーデン結節」という病名が書かれていました。
思わず手に取って読んでみると、その内容は手指の第一関節が赤く腫れたり、曲がったりして、痛みを伴うこともあるとのことでした。まさに自分の手指に起こっている違和感そのもの!
さらに、原因不明の変形性関節症とありました。
「これ、私だ……」と思いましたが、そのときは自分が原因不明の疾患にかかっているだなんて信じられませんでした。
私は日を改めて、整形外科を受診してみました。予想通り、診断は「へバーデン結節」。
関節の軟骨がすり減り、骨が変形して腫れたり曲がったりする病気だそうです。先生は「手をよく使う人がなりやすいんですよ。変形は治せませんが、痛みは緩和できます」と言い、湿布を関節の周りに巻き、手指の負担を減らして様子を見るよう指示されました。
手指を酷使する主婦は発症しやすい
家で「へバーデン結節」についてネット検索してみると、この名前は疾患の報告者であるへバーデンにちなんでいるとか。
ちなみに、第二関節に生じる同様の症状は「プシャール結節」というそうです。
この病気になりやすいのは「手や手指を頻繁に使う人」。例えば裁縫や刺繍、農業関係の手仕事をしていた人が発症しやすく、40代以降の女性に多く見られ、約8割が主婦なのだとか。
母娘や姉妹といった家族内で見られるケースも多いそうです。
そうであれば、365日手を酷使する世の主婦たちは皆、予備軍です。加えて、私はライターで毎日パソコンのキーボードを打つのが生業。
趣味のガーデニングも農業並みに重労働で、母も私と同じ手をしていました。
湿布やテーピングで痛みは緩和するそうで、私の手指も2カ月湿布を貼り続けて落ち着いていきました。ただ、痛みや変形が進行すると手術になることもあるようです。
主婦が手を使わない訳にはいきませんが、手指に負担の大きい作業は極力避けるようになりました。
まとめ
発症から十余年。その後、手指の変形は多少進みましたが、痛みはさほど気になりません。大学生と高校生になった子どもたちは、節くれだった私の手を「ハリー・ポッター」に登場する魔法の杖にちなんで「ニワトコの指」と笑います。でも、この不格好な手は私の人生そのものだと、愛着を感じ始めています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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著者:あらた 繭子
大学生と高校生の子をもつアラフィフのフリーライター。長年の無茶な仕事がたたり、満身創痍の身体にムチを打つ毎日。休日のガーデニングと深夜のK-POP動画視聴が趣味。