母の言葉から始まった節約生活
私が学生のころ、わが家ではとにかく節約が重視されていました。家計を守るため日用品や食品などは可能な限り安い物を買い、毎日節電や節水に取り組む日々。生理用の紙ナプキンに関してはそれまで節約しなさいとは言われなかったのですが、ある日母からこんなことを言われたのです。
「生理2日目は量が多いから仕方ないとしても、3日目や4日目なら、そんなに頻繁にナプキンを取り替えなくても大丈夫なんじゃない?」と。
それは節約のためにできるだけナプキンを使わないでほしいという意味でした。私が高校生になり、ますます家計が苦しくなってきたのかもしれません。私も母の苦労には気づいていたため、すぐに「わかった」と返事をしました。そして、母のためにもナプキンの節約を頑張ろうと心に決めたのです。
思わぬ事態に
その後、いつも通りに生理がきたため、さっそくナプキンの節約を始めました。「たくさん節約して母を喜ばせよう」と意気込んでいた私は、生理3日目から経血がついてもナプキンを取り替えず、同じ物をつけ続けることにしました。
生理3日目になると経血の量が大幅に減るので、いつもナプキンの吸収力はまだありそうなのに取り替えるのがもったいないと思っていた私。そこで「これ以上吸収できないくらいまで汚れたら取り替えるようにしよう」と考えたのです。当時の私は厳しい節約をすればするほど、母が喜ぶと思っていました。
しかし、そのようなことを何カ月か続けていると体に異変を感じるように……。もともと生理期間中はデリケートゾーンにかゆみを感じることが多かったのですが、そのかゆみが耐えられないほどひどくなってしまったのです。あまりのかゆさに爪でひっかいてしまったこともありました。爪でひっかくと傷ができ、さらに痛みを感じていましたが母には言えませんでした。
ひどいかゆみが治った理由は
それでもナプキンの節約を続け、ひどいかゆみは仕方ないとあきらめていました。状況が変わったのは、私が社会人になってからです。自分でお給料を稼げるようになると、もう必死になって節約に励まなくてよくなり「もうナプキンの節約をやめよう」と思ったのです。
それからは「もったいない」と思っても、少しでも経血がついたらこまめにナプキンを取り替えるようにしました。すると、だんだんとあのひどいかゆみが治まっていったのです。陰部を爪でひっかくこともなくなり、自分でも驚くほどストレスが減りました。
のちに、経血がついたナプキンを使い続けていると感染症などの原因にもなるという話を聞き、かゆみだけで済んでいてよかったと恐ろしくなったのを覚えています。
私が社会人になってから、「生理の貧困」という言葉がニュースでも取り上げられるようになりました。今になって思えば、学生のころの私も生理の貧困に近い状態に陥っていたのかもしれません。
生理のことを口に出すのは、大人になった今でも少し抵抗感があります。しかし、必要なときには誰かに相談することも必要なのだなと、今は強く感じています。
※経血のついたナプキンを長時間放置することは、皮膚トラブルにつながるだけでなく、感染症のリスクが高まる可能性もあります。ご注意ください。
著者/大村幸恵
イラスト/アゲちゃん
監修/助産師 松田玲子
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