幼稚園行事に小さい怪獣を連れて…
その日は幼稚園の交通安全の教室で、親の参加が必要でした。普段なら待っていられない息子を義母に預けて参加するのですが、義母の都合がつかなかったため連れていくことに。他にも小さい子を連れた方は多く、みんな同じようにホールの端で遊ばせていました。私も後ろのほうでひっそりと息子の相手をしながら、やり過ごそうと思っていたのですが……。
静かに待っていられない息子は、椅子にのぼったり、大きなブロックを出したりとやりたい放題。大きな声を出されてはたまらない私は、なんとか息子の意思を尊重しながら、その行動に目を光らせていました。
やめてー!ホールに響く息子の声
そんな中でも、ホールの前方では警察や地域の方が話をしています。園児たちはみんなお利口に座っているので、頑張っている子どもたちの邪魔をしてはいけない!と私も頑張って息子を抱っこしていたのですが、散々邪魔されてきた息子の機嫌は悪くなる一方。今にも大声をあげそうです。
そのとき、ひとりの警察の方が壇上に。その方を見た瞬間、私に抱っこされていた息子が叫びました。
「け! け! け、なぁーい!!」。
壇上の警察の方は見事なスキンヘッド。静かなホールに響く息子の声。顔から火が出そうでした。
笑い出す子どもたちとやさしい警察官さん
響き渡る息子の声に笑い出した園児たち。先生たちが「しーっ」と静かにさせようとしても収まりません。保護者席から、こらえた笑いとともにこちらに注がれる視線を感じつつ、申し訳なさでいっぱいでした。
するとスキンヘッドの警察官さんはパチンッと自分の頭を叩き、「かっこいいでしょ? シャンプーしなくていいからラクなんですよ」とにっこり。「さてさて……」とそのまま本題に入っていき、園児たちも息子も落ち着きを取り戻しました。
息子が覚えたばかりの「毛」という言葉。こんなに注目される状況で披露することになるとは思っていませんでした。最後に帰るとき、スキンヘッドの警察の方にお会いできたので「先ほどは大変失礼しました」と謝ると、「場が和んで助かりましたよ! おしゃべりじょうずだね」と返してくれました。あたたかく対応してくださって、本当にありがたいと感じた体験談です。
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著者:山口花
田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。