(※)母子分離不安:子どもが母親など愛着対象から離れることに、強く不安を感じる状態。
4月から一緒に登校をするようになり、いつの間にか季節は変わって、7月なっていました。わっちちゃんの様子に変化はなく、「1年生のうちは、こんな感じかもなぁ……」と覚悟するねこじまさん。
ある日、いつものように教室までわっちちゃんを送り届けて帰ろうとすると、校長先生がちょうど門を閉めようとしているところに遭遇。校長先生は、毎朝笑顔で元気いっぱいにあいさつをしてくれて、ねこじまさん親子のことを見守ってくれている心強い存在でした。
「お母さん!」
校長先生に呼び止められ、ねこじまさんが振り返ると……。
校長先生の言葉に涙が溢れだす
校長先生はねこじまさんに、
「大丈夫ですよ! 今こうしてわっちさんが泣けるのはとても良いことですよ!」
「こうやって根気よく、今お母さんがしてくださっていることは、必ずこれからのわっちさんの力になりますよ! 大丈夫ですよ!」
と、熱く語りかけました。
毎朝、わっちちゃんのことだけでなく、ねこじまさんのことも見守ってくれていた校長先生。心のどこかにある不安を見えないふりして、自分を奮い立たせながら頑張っていたねこじまさんの目には、うれしさのあまり涙が溢れます。
「あたたかい目で見ていてくれている人がいたということが、当時、とてもうれしかった」と振り返るねこじまさん。
このことがきっかけで、「もう少し、頑張ってみよう」と思えたのでした。
苦しいとき、頑張っているとき、どこかで誰かが見てくれていると思うだけで、前向きな気持ちになれることがありますよね。
ねこじまさんの孤独感が大きくなってきているタイミングで声をかけた校長先生は、ひょっとすると、ねこじまさんが不安の中で、なんとか気持ちを奮い立たせていることに気付いていたのかもしれません。
校長先生のように、人の心を察してそっと応援できるような、素敵な人でいたいものですね。