夫のやさしさに「ありがとう」
子どもが風邪をひいたときのことです。小児科で薬を処方してもらったものの、鼻水がなかなか治まらず、二度三度と受診を繰り返していました。そうしているうちに私自身も風邪をひいてしまい、四度目の受診は夫に任せることになりました。
雨の中、父子2人で傘をさし並んで歩く姿に、「行ってらっしゃい!気を付けてね」と見送りながら、夫への感謝がこみ上がります。夫は残業の多い職業についており、前日も遅くまで仕事をしていました。疲れているなか、子どもや私のためを思って行動してくれた。そう考えると、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。
感謝するはずがイライラに?!
子どもの症状については、あらかじめメモに詳細を書いて夫に渡していました。そこには、鼻水が治まらないこと、そして以前からあるアレルギー症状についても書いていて、鼻水の薬と一緒にアレルギーの薬のもらってきてほしいと伝えていました。
診察を終えた夫から電話があり、夫は「鼻水の薬を追加されたよ」と言います。そこで私が「アレルギーの薬はもらえた?」と聞くと、夫は「なにも言われなかったから、いらないんじゃない?」と言うのです。
「え、言われなかった……?」いやいやいや、いらないかどうかを決めるのは医師であって、夫ではないし、こちらから言わなければアレルギーの症状だって診てもらえないだろ! 思わず感情的になりそうなところをなんとか抑えつつ、夫に病院でもう一度アレルギーの薬について聞いてほしいとお願いしました。
しかし、夫は理解できなかったようでうまく説明できず、病院から「お薬が必要でしたら、再度受診してください」と言われてしまいました。このときはちょうど風邪が流行っていた時期だったので、病院の待ち時間は3時間越え。さすがに、もう一度受診してとは夫に頼めず、帰ってきてもらうことになりました。
帰ってきた夫と子どもを見ると…
家で帰りを待っている間、私の心はイライラでいっぱいでした。連れていってくれたことはありがたいけれど、結局もう一度私が行かなければいけない。なんのために行ってもらったのかわからない。しかも、夫自身は「連れていってあげた」という達成感に満ちあふれている様子でした。
「こんなことなら、最初から私が連れていけばよかった」そう思って、イライラが最高潮に達したとき、2人が帰ってきました。そして私の仏頂面に気づかない子どもが、「おかあさんに、おみやげー」と温かいペットボトルの飲み物を渡してくれます。子ども自身も片腕にジュースを抱えています。どうやら病院の自動販売機で買ってもらったようです。
「お母さん、これが好きだからこれ選んだんだよね」と、ニコニコしながらうれしそうに帰ってきた夫と子ども。私は直前まで怒りでいっぱいでしたが、あまりにも平和な2人の様子を見たら、イライラがどこかへ飛んでいき「まあ、いっか」となったのでした。
よく考えれば、子どもを病院に連れて行くのはほぼ初めてだった夫。鼻水の薬をもらえたことだけでもありがたいことだと思いました。こちらは当たり前だと思っていることでも、相手にとっては未知のこともあるはず。特に子育てにおいては母親と父親とでは知っていること・知らないことも多いと思います。そのことを頭に入れて、夫になにかお願いするときは、相手がわかるように細かく説明するように心がけています。
著者/百田さく
イラスト/すうみ
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