30歳・パニ子は、5歳の娘パ二美と夫ケンタとの3人暮らし。
夫のケンタは家事を一切何もしてくれません。
そのため、仕事をしながらすべての家事をパ二子がこなしていました。
おまけに夫は何もしてくれないだけでなく、家事や料理に文句をつけるモラハラ気質だったのです。
時代錯誤のモラ夫に…
その日も、家事で大忙しのパ二子は、ワイシャツのアイロンがけをケンタに自分でやるようにお願いしたものの、「何で俺がやらなきゃいけないの?それは女の仕事だろう」と突き放し、しまいには「要領が悪い!こっちは急いでるんだ!」と、文句ばかりで何もしてくれません。
結婚する前は、家事も積極的に手伝ってくれていたのに、いつの間にか「家事は女の仕事!」と古臭い考えを押し付けてくるように……。
そんな憂鬱な毎日ですが、娘のパ二美は母のパ二子が頑張っている姿をちゃんと見ていてくれ、とくにパ二子が作った料理を「おいしい!」と褒めてくれます。
実は、パ二子は料理が得意。
とくに料理の土台となる出汁にはこだわっていて、各地から昆布や鰹節も取り寄せているほど。
パ二子が作った料理をいつも笑顔で食べてくれる愛娘のおかげで、パ二子はつらいことも乗り越えてきたのです。
娘と一緒に仕返しを決意
この日、パ二美のリクエストで作ったハンバーグでさえ、「何これマズ!もっとおいしく作れよ!」「お前が手抜きしてるのは、一目瞭然なんだw」「とにかく、お前の料理はマズイ!俺がマズいって言ったらマズいんだよ!」と暴言をまき散らします。
おまけに「俺、やっぱりお前と結婚してよかったな〜八つ当たりできる相手がいるって最高だ!」と言い出し、そこら中に脱いだ服を投げつけて、自分の部屋で行ってしまいました。
あまりに理不尽な夫の言動に怒りがこみ上げてくるパ二子。
しかし、怒っていたのはパ二美も同じでした。
「何あれ……。絶対に許せない。ママにあんな酷いことを言うなんて」
ついに夫への仕返しを誓うパ二子とパ二美。
話し合いの結果、パ二子とケンタの共通の友人であるマキノ夫妻をわが家に招待することに決めました。
ケンタに伝えると、とてもうれしそうな様子でしたが、相変わらず「マズい料理で俺に恥をかかせるな!」と減らず口を叩いていました。
かわいそうなパパ…
それから1週間後。
自宅に招待したマキノ夫婦がわが家にやって来ました。
「パニ子、ケンタさん、今日はお招きありがとうございます。私も夫もすごく楽しみにしてたのよ」
穏やかな口調のマキノさんからお土産のケーキを受け取ったパ二美。
「ケーキありがとうございます!今日はママの作ったおいしい料理をたくさん食べてくださいね!」とあいさつするパ二美に、ケンタはわざとらしく遮ります。
「噓つきは泥棒の始まりって言うだろうが~wママの料理はいまいちなんだから、そう言っちゃ嘘になっちゃうだろうwww」
すぐさま、「おいしい料理の味がわからないなんて味オンチでは?単にママを見下しているだけじゃない!作った人に感謝できないって、本当にかわいそうなパパ」と返すパ二美に、ケンタもタジタジに……。
そんなケンタは放っておき、得意料理でマキノ夫妻をもてなすパ二子。
「どれもおいしい!」と言ってもらえて安心しますが、その横では仏頂面でワインをがぶ飲みするケンタがいました。
ギスギスした雰囲気の中、酔っぱらったケンタが「本当にこの料理がうまいと思ってます?」とマキノ夫妻に絡み始めます。
「パニ子の作った料理って、なんかマズイんですwだから俺はいつも言ってやるんです。うわマズ!まともに料理も作れないのか?ってねww」
外面のよいケンタの本性が浮き彫りになったところで、マキノ夫人が売れっ子の料理研究家であることを明かされます。
「いつもこうやってパ二子さんの作った料理をけなしているの!?ホント信じられないわ!!」
料理のプロである第三者からの制裁を受け、次第に顔が真っ青になっていくケンタ。
しまいには、パ二子が用意していた離婚話を突きつけられ、事の重大さに気づいたケンタは泣きながら家を出て行きます。
ケンタのモラハラぶりは会社でもウワサが広まり、居場所を失ったうえに多額の慰謝料を背負うことになったのでした。
妻を見下すことで精神的な満足を得ようとするのは、健全なコミュニケーションとは言えません。いずれ「大人げない人」と、逆に周囲から見下されかねないことを肝に銘じたいですね。