小学生時代の温かい思い出
私が8歳のころの話。給食の時間になると隣の席のAくんがどこかへ行ってしまうのです。図書室にいた彼を見つけ出し理由を聞いてみると、家庭が貧しくて給食費を払えていないとのこと。
仲良くしているAくんが困っている話を聞いた私は、母に相談して、お店のお弁当を彼に差し入れすることに。彼は何度も何度もお礼を言いながら、本当にお弁当をおいしそうに食べてくれました。
そんなことが数日続いたある日、急にAくんと母親が、遠く離れた親戚のもとに引っ越すことになったそうで、さよならも言えないまま転校してしまいました。
おいしそうに食べる彼の姿は、私の胸の奥に刻まれ、ほのかな思い出として残っています。あれから15年、母のお弁当の味は変わらぬおいしさを保ち続けています。
私に仕事のミスをなすりつける先輩
ある日、私が働いていると、会社の先輩が「とんでもないことをしてくれたな!」と私に詰め寄ってきました。聞けば、発注数を大幅に間違えているとのこと。
しかし、私は先輩から依頼された注文数を発注しただけ。先輩は自身のミスを私になすりつけ、私に全ての責任を押し付けてきたのです。
反論しても、先輩は聞き入れてくれません。私は一人で取引先に謝罪へ行くことに。
取引先に出向いた私は、初めて会う若い男性の担当者に謝罪。
するとその担当者は「わざわざ謝りに来てくださって、ありがとうございます。ミスは誰にでも起こりうることですし、これからは十分にお気をつけくださいね」と許してくれたのです。
そして……!
予期せぬ再会と奇跡の弁当
その男性が「○○さん、だよね……?」と、私の名前を言ってくるではありませんか!
なんとその男性は、小学校のときにお弁当を渡していたAくんだったのです!
あれからAくんの母は会社の社長と再婚し、現在Aくんはその会社で働いているそう。私のお弁当を見て、「うわぁ……懐かしい。あのとき、このお弁当のおかげで、どれだけ僕は気持ちが救われたか。いつか必ず、恩返しをさせてもらうから!」と感動していました。
後日、彼は両親の店を訪れ、15年前の感謝の言葉を伝えてくれました。そしてお店の常連客になってくれたのです。
先輩の不正行為が発覚して…!?
それから1カ月が経ったある日、取引先であるAくんからの通告により、先輩が他の社員にもミスを押し付けていたことや数々の不正が発覚し、左遷されることに。Aくんのおかげで、やっかいな先輩から離れることができました。
結局会社に居づらくなった先輩は退職に追い込まれ、噂によると酒とギャンブルで荒れ果てて無職のまま極貧生活を送っているとのこと。先輩がいなくなったことで、会社の雰囲気は格段に良くなりました。
その後、私はAくんとの交際が始まり、結婚することに。私はこれからも仕事を頑張りつつ、大切なお弁当の味を両親と夫と一緒に守っていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。