マザコン夫と息子を溺愛する義母
私が心配していたのは、近所に住む義母のこと。
マザコン気味の夫と、夫を溺愛する義母の距離感は、異様とも言えるくらいです。
「おはよう」と「おやすみ」のあいさつのために毎日欠かさず電話をかけ、週末には必ず会いに行っています。
夫が体調を崩したと聞きつければ、「私の体調管理がなっていないからだ」と怒鳴り込みにきて、過剰なまでの看病を始めます。もちろん夫は義母に甘えっぱなし……。
そんな態度、結婚前は微塵も見せなかったのですが、年々ひどくなるので私はうんざりしています。
「ママがここに住みたいって!」嫁を追い出す義母
「来週そちらに引っ越すわね!」
突然の義母からの電話にあぜんとする私。なぜそのようなことになったのか、訳がわかりません。
夫を問い詰めると、
「部屋も広いから、一緒に住もう」
と、私の許可も取らずに言ったそう。
しかし、義母の同居には大反対の私。毎日の生活が脅かされるのは容易に想像できます。私は、断るよう夫に言いました。
しかし1週間後、引っ越しのトラックと共に、義母が引っ越して来たのです。
「引っ越して来ちゃえばこっちのもん」
「俺の母親だぞ!? お前の許可なんて必要ないだろ」
と、筋の通らないことを言い通します。
「そんなに私のことが嫌なら、あなたが出ていきなさいよ! 息子が稼いできたお給料なのに、あなたがそれを使って生活していると思うとイライラするもの」
義母からのトドメのひと言も発されます。
「あなたと孫がいないほうがずっと良い暮らしができるんだから! だって私には年金があるもの!」
義母のひと言に「えっ!? ホントっ!?」と、目がキラリと光る夫。
「まさか、あなた肝心なことを……」
もっと言いたいことがあったのですが、ここはグッと我慢する私。
「出て行け!ってことは、私たち、離婚するってことでいいんだよね?」と夫に確認し、その場で諸々の手続きを済ませて新居を出ることにしました。
あんなマザコン夫に未練はありません。
大きな勘違いの果てに…
早々に新たなマンションを見つけた私と娘。私の事業がうまくいっているおかげで、これまでよりもさらに良い部屋に住むことができました。
夫の生活なんて知ったことではありませんが、そろそろ連絡がくるころでしょう。
実は夫はもう1年以上前に失業していて無職。しかも、それを義母に言っていないようでした。
もちろん夫にタワマンの賃料なんて払える訳がありません。おそらく義母の年金をアテにしています。
しかし、月50万円以上する賃料。貯蓄もあまりなく、年金暮らしの義母に払える訳がありません。
案の定、慌てふためいた義母から連絡が入りました。
「ちょっとあなた、どういうことなの!? 督促状が来ているじゃない」と義母。
「離婚したので私には無関係です」私は当たり前のように返します。
すると電話の向こうで元夫の声。
「えぇ!! ママが年金で払ってくれたんじゃないの!?」
義母の年金でタワマンの賃料が払えると思っていた元夫、自分の息子が高収入であると疑わなかった義母。互いに勘違いをした結果、住む場所を失うことになった2人なのでした。
◇ ◇ ◇
母親に依存する息子、息子を溺愛するあまり現実を見なかった母親。タワマンに住む夢は、たった1カ月で散ってしまいました。他力本願で無責任な2人。他人の援助や協力をアテにしてはいけませんね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。