ママ友(義兄の彼女)は、義兄に会うためによくわが家にやってきます。そして、私の目を盗むようにして家の中をこそこそと探り回っています。ある日、2階から大きな物音がして見に行ってみると、夫の書斎にトイレに行ったはずの彼女の姿が……。
これには、温厚な夫もさすがに頭にきたようで、顔はいつも通り穏やかなままですが、目の奥が笑っていませんでした。夫は怒るとものすごく怖いので、このときの表情を見て、私も義兄も身震いが止まりませんでした。
見覚えのあるネックレス…
ただの幼稚園のママ友なら家に上げないのですが、義兄の彼女なので追い返すこともできず、私はすっかり参っています。実は彼女、非常識な行動を繰り返すだけでなく、私に会うたびに「あの家から出ていけ」と迫ってくるのです。娘のお迎えに行くたびにそんなことを言われるので、うっとうしくて仕方ありません。
彼女は、「実家は長男が継ぐもの。次男夫婦は出て行け」と言います。どうやら私たちを追い出して、自分たちが一緒に暮らすつもりのようです。あまりにしつこいので相談しましたが、気弱な義兄は彼女に何も言えず、状況は全然変わりませんでした。
ある日のお迎えのとき、いつものように絡まれたのですが、彼女が身につけていたネックレスを見て、何だか嫌な予感がしました。慌てて家に帰って、クローゼットを確認すると、やっぱりない。あれはきっと私のネックレスです。
実はこのごろ、わが家では不思議なことが続いています。貯金箱の中のお金が減っていたり、私のマフラーや娘のヘアアクセサリーがなくなっていたり……。
キレると怖い温厚な夫
私はママ友(義兄の彼女)を問い詰めましたが、確固たる証拠がなく、なかなか犯行を白状させるまでにはいきませんでした。そこで夫に相談し、義兄にも内緒で防犯カメラを設置しようとしたのですが……。
夫は、私の大好物であるプリンまでなくなっていることに気づいて、ブチギレてしまいました。あのプリンは、私と娘のために手作りしてくれたもの。「愛情を込めた傑作プリンなのに……」「愛する人に食べてもらおうと思って、丹精を込めて作ったのに……」「それを……それを……」などと、ぶつぶつ言いながら静かにキレている夫。
その夜、夫は一晩中キッチンにいました。ぶつぶつ何かつぶやきながら、徹夜でデザートを作っていたようです。朝、私が起きると、夫の姿はありませんでした。一睡もせずに、そのまま仕事に出かけてしまったのかもしれません。
私はいつものように、娘を幼稚園に送ってからパートへ。仕事を終えてお昼過ぎに帰宅すると、家の中から悲鳴が聞こえてきました。慌てて中に入ると、リビングには夫と義兄、ママ友(義兄の彼女)。夫の目の前では、ママ友と義兄が、ボロボロ涙をこぼしながら正座で謝罪をしています。
なんと夫は、有給を取り、朝からずっとリビングにあるクローゼットの中に隠れていたのです。そして、デザートを盗む犯人を現行犯でとっ捕まえたのでした。
やはり、犯人は彼女だったのです。夫が丹精込めて作ったデスソース入りのプリンを食べてしまったようで、水をくれと泣いていました。
厄介なママ友を成敗!
悪気があったわけじゃないと、義兄は彼女をかばいますが、夫は怒りをぶちまけます。そして、盗んだ物をすべて返すように迫り、夫は警察に通報。慌てた彼女は「もうすぐこの家は私の家になるし、ちょっと借りただけ」と言い訳を始めました。
しかし、持ち主の許可なく物を借りることも、決して許されることではありません。さらに、この家は義兄ではなく夫が相続しています。
義兄は彼女に見栄を張って、夫ではなく自分が家を引き継いでいると嘘をついていたのです。この件は義兄にも責任はあるので、義兄には家から出てもらうことに決めました。
ママ友(義兄の彼女)は警察のお世話になり、娘さんの親権は元の旦那さんに渡りました。義兄との恋愛にうつつを抜かし、ずいぶんと子育てをおろそかにしていたようなので、娘さんのためにはこれで良かったのかもしれません。
そして、盗まれた物も無事に取り返せました。食べられてしまった夫のプリンは戻ってきませんが、私は厄介なママ友との縁が切れてほっと胸をなでおろしています。これからは、夫の特製プリンを食べながら、家族3人で仲良く暮らしていきます。
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「仏の顔も三度まで」と言います。度重なれば、ただでは済みません。大目に見てくれているうちにへたなことは止めるべきですね。ただのママ友とは違い、距離を取りにくい関係でしたが、関係を断つことができてよかったです。少し時間はかかるかもしれませんが、義兄ともまた楽しく笑い合える日が訪れるといいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。