パニ子は姑と同居する主婦。本当は夫婦水入らずで生活したかったのですが、女ひとり子ひとりで大人になった夫・ユウタは、姑には頭が上がらず、やむを得ずの同居が始まりました。しかしパニ子は、姑にどうしても改めてもらいたいことがあって……。
頻繁に人を家に呼ぶ姑が迷惑
パニ子が仕事から帰ると、いつもの笑い声。姑の友人、キミコが遊びに来ています。
2日に1度はキミコを家に呼ぶ姑。これがとても迷惑で、パニ子が買い置きした飲み物やお菓子を毎回食べ尽くしてしまうのです。
片付けもしないので、夜な夜なパニ子が片付けをするしかありません。
しかも、キミコが来ているときはリビングを占領しているので、パニ子夫婦はリビングで食事がとれず、狭くて寒いキッチンで立って夕飯を食べているのです。
キミコを家に呼ぶ姑も姑ですが、家族の迷惑も考えずやってくるキミコも非常識。どうしたら遊びに来る頻度が減らせるのか、いつも頭を悩ませているのです。
強く言えない夫
キミコを家に呼ぶのは控えてほしいとユウタが言っても、返ってくるのは、いつもの「女手ひとつで育てたのに……」というセリフ。結局強く言うことができません。
それでも、姑のせいで迷惑しているのは事実。それならせめて、呼ぶ頻度を減らしてほしいと伝えます。
すると姑は「そんなに家に来てほしくないのなら、外食代くれない? パート代じゃ足りないんだよぉ~」と耳を疑うようなことを言い出しました。
しかし、これから子育てやマイホーム購入を見据えているパニ子たち。姑にあげるようなお金の余裕はありません。
「そのうち宝くじにでも当たったら、お小遣いあげるよ〜」
と軽く流し、話を終えました。
お金を独り占めするつもり!? そうはさせない!
「え〜! 1等当選!? 最高!」
ある日、ユウタからの電話を受け、歓喜したパニ子。隣の部屋に姑がいることを思い出し、急いで声のボリュームを抑えます。
「買い続けたかいがあったね! あ、でも、お義母さんには内緒ね! 当たったのバレたら取られちゃうよw」
しかしこの会話を聞いていた姑。
「私に内緒で豪遊するつもり!? そうはさせないわ!」
さっそくキミコに電話をかけ、相談します。
「キャー!! 1等が当たったなんですごいじゃない! 億万長者じゃないのぉ〜! このまま黙っていてはダメよ!」とキミコ。
カードを作って先に買い物をして支払いを押し付ければ、賞金を分けざるを得なくなると、姑に助言しました。
そして姑は作れる限りのカードを作り、欲しかった最新のスマホやブランドバッグ、宝石を買い漁ったのでした。
泡のように消えた当選金。姑の手元に残ったのは……
そろそろカードの支払い期限となる翌月、再び家にやってきたキミコ。買い物の代金を払わせようとパニ子とユウタを呼びつけました。
「私たち、あなたたちが1等を当てたってこと知ってるのよ〜! みんなに知られたら大変なことになるわね。みんなおこぼれをもらいに押しかけてくるわよ」
「黙っていてあげてもいいのよ〜ただし、私たちにも分けてくれるならね!」
バレてしまったなら仕方がありません。
「仕方ありませんね……それじゃ、お2人にもお分けします」
そういってパニ子は冷蔵庫をあけました。
「そんなところに隠して! ずるいわねw」
そう言った姑とキミコの前に置かれたのは、おいしそうなプリン。
なんと、先日パニ子が当てたのは、懸賞の1等『プリン1年分』だったのです。
宝くじの1等が当たったものと勘違いした姑。億単位のお金が手に入ると思っていたはずが、手元に残ったのは膨大な借金でした。
宝くじなどで手に入れたお金を「あぶく銭」ということがあります。その言葉通り、『泡』になって消えたお金。姑の場合は単なる妄想でしたが、人のお金をアテにするとロクなことがありません。欲しいものは自分の力で手に入れなければなりませんね。