パニ子は29歳。母親が経営する清掃会社で、清掃員として働いています。
私生活では10歳年上のシュウと婚約し、もうじき両家へ挨拶に行く予定です。
ただ……少し気がかりなのは、シュウの両親。
2人とも元公務員で、公務員至上主義。
その上、シュウ曰く、人の話を聞かないマシンガントークの持ち主だとか。
素敵なシュウのご両親だから彼が言うほどでもないだろう……と、パニ子はたかをくくっていたのですが……。
公務員以外は認めない!?
とんでもない出来事は、ある日突然やってきました。
シュウの留守中、合鍵で中に入ろうとしていたパニ子は、偶然通りかかったシュウの母に不審者と勘違いされます。
誤解はすぐに解けたものの、挨拶も早々に義母のマシンガントークが炸裂。
「ところで、私たち、聞いておきたいことがあるのよ。あなたとご家族のお仕事は?」
パニ子が市役所で清掃をしていることを話し始めようとしたとたん、義母は話を遮り、早合点。
パニ子を、市役所勤務の公務員と勘違いしたのです。
そして、高給、安定、終身雇用と公務員の良いところを言い並べ、嵐のように去っていったのでした……。
その翌日。パニ子とシュンは、彼の実家にいました。
誤解を解こうとしていた2人ですが、義父のマシンガントークの砲火が……。
そこに義母もやって来て、パニ子とシュンは困惑するばかり。
「おい、人の話をちゃんと聞けって!パニ子が2人に話したいことがあるんだってば」
やっとパニ子が誤解を解くと、義父母の態度は豹変。
公務員以外は家族として認めないと大騒ぎし、パニ子とシュンを乱暴に外に追い出したのです。
衝撃の事実に、義父母は…
この状況に一肌脱いでくれたのは、パニ子の母。
シュンの実家へ一緒に出向き、説得に当たってくれました。
そして、ここから義父母のどん底人生が始まったのです……。
「うちは公務員一家なんだ!公務員以外は認めん!帰れ!」
玄関に塩をまき、怒鳴るユキオに、パニ子の母は大きなため息をつきました。
「あのー、息子さんはウチの社員ですけど?」
「は、はぁぁぁああぁああ!?」
なんとシュンは、両親に黙って公務員を辞めていました。
仕事が合わず、心身を病んだシュンは、清掃会社に転職。
そこで働く、社長の娘パニ子と出会ったのです。
「……というわけで、俺ももう2人の息子じゃないよな?」
公務員を辞めていたシュンは、とうとう両親と縁を切ったのでした。
哀れな夫婦の末路
しかし、数年後……。
包帯姿の痛々しい義父が、なんと命乞いにやってきたのです。
義父母は事故に遭って体が不自由になっており、さらに借金も膨らんでいるとの話でした。
そのとき、部屋の奥から赤ちゃんの泣き声が……。
目を輝かせる義父でしたが、孫を抱きたいとの願いも虚しく、非情にもドアはかたく閉ざされたのでした。
その後、高齢の義父母は、老体に鞭打ち、今でも毎日働きづめているようです。
事故に遭った義父母は気の毒ですが、あれだけ常識を欠いた行動で周囲を振り回し、傷つけたのですから、自業自得と言わざるを得ないでしょう。