パニ子は28歳の専業主婦。都内で、夫のリキヤと生後間もない娘のパニ美と暮らしています。
同じく都内には義理の両親が住んでおり、孫LOVEの義父とはとても良い関係が築けています。
その一方で、義母とは……。
超田舎嫌いの姑で…
ある休日、義理の両親が孫の顔を見に遊びにきてくれました。
パニ子は、実家から送られてきた野菜や山菜を使って、手料理を振る舞います。
パニ子の実家は、地方で農家をしているのです。
「おいしい! おいしい!」と義父は喜んでくれましたが、義母はどれもこれも田舎臭い貧乏料理だとケチをつけます。
彼女は、田舎生まれの東京育ち。
どうやら田舎出身であることがコンプレックスであるようで……。
初対面の人に出身地を聞かれると、決まって東京生まれとウソをつきます。
そして、若いころ渋谷や六本木を庭にして遊んでいたと自慢をするのです。
現在はその当時のお友だちと一緒にバイオリンを習っており、口を開けばその自慢話をしてきます。
義父も息子のリキヤも、その音色も聴いたことはないようですが……。
とにかく、義母は田舎出身のパニ子が気に入らないようで、会うたびに嫌味を言ってくるのです。
しかし、そのたびに義父や夫が義母をいさめ、味方になってくれるので、パニ子はあまり気にせずに過ごしていました。
いよいよ…義母のバイオリンが登場!?
その日は、いつものように義父母が孫の顔を見にやってきていました。
パニ子が玄関に出てみると、お隣に越してきたという女性が挨拶に来ていました。
その女性アスミは、夫と一緒に普段は東北の田舎町に暮らしているとのこと。
そして、夫が東京で仕事があるときにだけ、都内に出てくるとのことでした。
そこへ義母がやってきて……。
アスミが田舎に住んでいると知るやいなや、「私、田舎臭い人嫌いなのよねぇ!ああ、臭い臭い!臭うわ~!」と、あまりにも失礼な態度。
しかし、アスミは平然として「田舎の何が悪いんです? 」と、疑問を投げかけます。田舎生活を愛し、誇りを持っているアスミに対して、さらに馬鹿にするような発言を繰り返す義母。
そして義母は、十八番(おはこ)であるバイオリン話を持ち出してきたのです。
「田舎じゃバイオリンは習えないし、聴けもしないでしょう」とあおってくる義母に、アスミは「じゃ、そのバイオリン、聴かせてください」と言うと……!?
破壊力抜群のバイオリンの音色が壊したものは…
翌日――。
アスミの家に義父母とパニ子家族は招かれ、いよいよ義母のバイオリン演奏が始まりました。
演奏するのは、義母が大ファンだというバンドの曲。
「(な、なんて下手くそなのぉぉぉぉぉぉぉぉ!? )」
寝ていたパニ美もギャン泣き。
義母は満足げな表情でしたが、皆不快な音に我慢ができず……。
リキヤは義母からバイオリンを取り上げ、パニ子に渡してきました。
実は、パニ子の祖父は著名なバイオリニスト。
その手ほどきを受け、演奏旅行にも同行していたパニ子のバイオリンの音色は、とても美しいものでした。
お株を奪われ、激怒した義母は、パニ美を抱くパニ子につかみかかる始末。
大事な孫にまで危害を加える妻に、義父は大激怒!
堪忍袋の緒が切れた義父は、とうとう義母に離婚を言い渡したのです。
家を追い出された義母は、結局貧しい田舎暮らしをしなければならず……。
仕事に就いても、相変わらずの田舎批判で周囲を怒らせ、すぐクビに。
挙げ句、生活ができなくなり、万引きなど犯罪に手を染め、今は塀の中。
一方のパニ子は、アスミさんの夫が参加している義母が大ファンの有名バンドにバイオリニストとして加入することに。
義父とも同居して、家族みんなで幸せに暮らしています。
当然ながら、教養の深さに出身地などは関係ないものですよね。