超田舎嫌いの義母で…
ある休日、義父母が孫の顔を見に遊びにきてくれました。
私は、実家から送られてきた野菜や山菜を使って、手料理を振る舞います。
私の両親は、地方で農家をしているのです。
「おいしい! おいしい!」と義父は喜んでくれましたが、義母はどれもこれも田舎臭い貧乏料理だとケチをつけます。
義母は、地方生まれの東京育ちなのですが、どうやら地方出身であることがコンプレックスのようで……。
初対面の人に出身地を聞かれると、決まって東京生まれとウソをつきます。
そして、若いころ渋谷や六本木を庭にして遊んでいたと自慢をするのです。
現在はその当時のお友だちと一緒にバイオリンを習っており、口を開けばその自慢話をしてきます。
義父も夫も、その音色も聴いたことはないようですが……。
とにかく、義母は地方出身の私が気に入らないようで、会うたびに嫌みを言ってくるのです。
しかし、そのたびに義父や夫が義母をいさめ、味方になってくれるので、私はあまり気にせずに過ごしていました。
いよいよ…義母のバイオリンが登場!?
その日は、いつものように義父母が孫の顔を見にやってきていました。
私が玄関に出てみると、お隣に引っ越してきたという女性があいさつに来ていました。
その女性は、旦那さんと一緒に普段は地方の田舎町に暮らしているとのこと。
そして、夫が東京で仕事があるときにだけ、都内に出てくるとのことでした。
そこへ義母がやってきて……。
女性が地方に住んでいると知るやいなや、「私、田舎臭い人嫌いなのよねぇ! ああ、臭い臭い! 臭うわ~!」と、あまりにも失礼な態度。
しかし、女性は平然として「田舎の何が悪いんです?」と、疑問を投げかけます。田舎生活を愛し、誇りを持っている女性に対して、さらに馬鹿にするような発言を繰り返す義母。
そして義母は、十八番(おはこ)であるバイオリン話を持ち出してきたのです。
「田舎じゃバイオリンは習えないし、聴けもしないでしょう」とあおってくる義母に、女性は「私も夫も音楽が好きなので、ぜひバイオリンを聴かせてください」と提案して……!?
破壊力抜群のバイオリンの音色が壊したものは…
翌日――。
義父母と私たち家族は女性の家に招かれ、いよいよ義母のバイオリン演奏が始まりました。
しかし……。
「(な、なんて下手くそなのぉぉぉぉぉぉぉぉ!? )」
あまりにひどい演奏に、寝ていた娘もギャン泣き。
義母は満足げな表情でしたが、皆不快な音に我慢ができず……。
夫は義母からバイオリンを取り上げ、私に渡してきました。
実は、私の祖父はバイオリニスト。
私はその手ほどきを受け、演奏旅行にも同行していたので腕には自信があるのです。義母には特に伝えていませんでしたが……。
私が演奏を終えると、お株を奪われたと思ったのか激怒した義母が、娘を抱く私につかみかかってきました。
大事な孫にまで危害を加える義母に、義父は大激怒!
堪忍袋の緒が切れた義父は、これまでの不満が爆発し、とうとう義母に離婚を言い渡したのです。
家を追い出された義母は、無職だったこともあり、都内で生活を続けることは難しい状況。結局、貧しい地方暮らしをしなければならず……。
仕事に就いても、相変わらずの田舎批判で周囲を怒らせ、すぐクビになり、苦労しているようです。
一方私たち家族は義父と同居し、お隣さん夫婦とも音楽を通じて仲良くなって、みんなで楽しく幸せに暮らしています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。